Linuxで使えるGoogle Earth
今回リリースされたのは、次のメジャーリビジョンとなる予定のGoogle Earth 4のベータ版である。リリースノートには、ユーザインタフェースの単純化、3Dモデルのテクスチャのサポート、Keyhole Markup Language(KML)の新機能の追加といった点が挙げられている(KMLはGoogle Earthのデータ交換用フォーマット)。
Linuxユーザにとって最大のニュースは、当然ながら、ネイティブなLinuxクライアントが使用できるようになったことだ。これまでもWineの下でならばGoogle Earthを使用できたわけだが、Google Earth 4 Betaは、QtおよびOpenGL上でビルドされたネイティブアプリケーションである。
Linux版のダウンロードファイルは16MBの.bin形式であり、実行可能なシェルスクリプトが自己解凍形式のインストーラでラップされている。システム要件は、2.6シリーズのカーネル、glibc 2.3.5、512MBのRAM、そしてアクティブなネットワーク接続である(Google Earthクライアントはビジュアルデータをサーバから動的に取得するのでネットワーク接続が必須)。
Google Earthの地図表示(クリックすると拡大) |
デフォルトでは、Google Earthは/usr/local/google-earth/にインストールされ、/usr/local/binにシンボリックリンクが作成される。GNOMEおよびKDEでは.desktopメニューエントリがインストールされるとインストーラに書かれているが、私が試した限りでは、どちらでもメニューエントリは表示されなかった。
システム要件では、3D対応のビデオカードが必要ということになっている。要件どおりのビデオカードがある場合はOpenGLを使ってグラフィックがレンダリングされるが、ない場合はソフトウェアレンダリングが行われる。私はソフトウェアレンダリングを試してみた。この方法はCPUをかなり消費するものの、マシンがハングアップしたり、見た目に問題が起きたりすることはなかった。
現時点では、ビルド版のダウンロードファイルが用意されているのはi386アーキテクチャのみである。このGoogle Earthを32ビットのネイティブなUbuntu 6.06で試してみたときは、問題なく動作した。64ビットのAMDアーキテクチャ上では、32ビットのchrootを使用していても、起動時に毎回クラッシュした。
追加コンテンツが続々開発中
当初、Google EarthはGoogle Mapsのスタンドアロン版にすぎないと思われていたのだが、今ではそれをはるかに超えたものになっている。基本のデータレイヤとして高解像度の地図データと建物の3D表示が用意されており、ユーザは自由自在に表示をオンにしたりオフにしたりできる。Googleはその上に重ねるコンテンツとして地理、政治、ビジネス、科学など各分野のデータを用意しているが、その他にも数々のサードパーティがコンテンツの作成を進めている。
Google Earthの3D表示(クリックすると拡大) |
こうした追加コンテンツはGoogle運営の“Google Earth Community”というサイトや、3D Warehouseで公開されている。3D Warehouseは、SketchUpで作成した3Dモデルを公開するためのサイトである。検索を行ってみると、Google Earthの追加機能の開発に関するブログが何十個もあり、その内容も、動的な地震のデータから、Wikipediaなどの情報ソースとの「マッシュアップ」まで多岐にわたることがわかる。
Google Earth Communityから入手できるサードパーティ製の情報の多くは、KMLファイルの形式で配布されている。Linux版のGoogle Earthは、デフォルトでは.KMLという拡張子を処理するようにWebブラウザを設定しないので、リンクをクリックしたときにそれがGoogle Earth上で開くようにするには、ブラウザの設定を手動で変更しなければならない。私はさまざまなKMLファイルをダウンロードしてみたが、どれもLinuxクライアント上で問題なく開き、正しく表示することができた。
他の製品でもネイティブビルドを希望
いずれにしても、Linux版のGoogle Earthは非常にきちんとしたアプリケーションである。GoogleがMac OS XクライアントやWindowsクライアントと同時にLinuxクライアントをリリースしてくれたことに感謝したい。
特に嬉しいのは、このアプリケーションがネイティブビルドであるということだ。Wine環境で実行するPicasaに問題があるという話はいっさい聞かないし、そのおかげでGoogleがWineの開発に協力してくれているというオマケもあるのだが、Google Earthのようなネイティブアプリケーションの方が間違いなく望ましいだろう(同様の動きを検討している他のソフトウェアハウスにとってのプルーフケースという意味があるなら話は別だが)。
Googleが最近買収したSketchUpを移植するときには、ぜひネイティブビルドの道を選んでほしいと思う。
NewsForge.com 原文