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この決議の内容や、Debian憲章の下でのこの決議の正当性については、当記事の執筆時点でも議論が続いているが、仮にこれが可決された場合、次のリリースに向けて障害となる可能性が大いにある。未解決の重大なバグの数々に比べても、克服がはるかに困難な障害である。
Debian憲章では、個々の開発者が「一般決議の草案を提案する、またはその賛同者となる」ことができるということと、開発者が集合体として「プロジェクトリーダを任命、罷免できる」ということが定められている。他の一般決議と同様、決議の草案には10人以上の開発者の賛同または支持が必要である。また開発者は、その決議に反対する決議を提案することもできる。決議案が出尽くすと、Debianの書記が投票の文言を起草する。そして、さらに2~3週間の討論を経たうえで、投票が行われる。
今回の罷免は、Denis Barbier氏が提案したものである。Dunc-Tankは「Debianの開発者、ユーザ、支持者が集まった独立したグループ」だということがDunc-Tankのニュース・リリースで明言されているにもかかわらず、Town氏の地位のせいで、Dunc-TankとDebianとの区別があいまいになったということが、Barbier氏の提案の直接的な動機である。そして、オーストラリアのあるメディア報道で、その区別が不明確なものがあったということを、Barbier氏はその証拠として指摘している。「我々Debian開発者は、この混同を収束することができます。その方法が、プロジェクトリーダの罷免です」とBarbier氏は記している。
Barbier氏は詳しく述べていないものの、Dunc-Tankへの関与によってTowns氏がDebian憲章に違反したという含みがあるようだ。憲章では、「プロジェクトリーダは、開発者の意見の総意に添う決定をするよう努めるべきである」と定められている。開発者に財政的支援を行うという案は、debian-private(Debian開発者専用のメーリングリスト)で議論されていた時期があるようだが、Pierre Habouzit氏によると、「皆の意見が一致するという状況にはほど遠かった」そうである。
つまり、Towns氏が行ったのは個人的な決定だが、氏が置かれている地位のせいで、公式な決定と誤解される、ということである。Habouzit氏はこう述べている。「すべては欺瞞であり、もっと許し難いのは、知名度を悪用してこのような取り組みの支持や支援を行うような連中がその根源にいるということです。憲章の条文と精神の両方が反故にされています」。ただし、Habouzit氏は後に、Towns氏がDunc-Tankから手を引くなら、Barbier氏の一般決議への支持を取り下げることを表明している。
今回の決議の支持者の中には、方針や人柄をめぐる軋轢が支持の動機になっている人もいる。Sven Luther氏は、Town氏が就任した昨春からこれまでの動向をふまえて、Dunc-Tankに関する発表について、「最近のDebianの動きと方向性はしょせん同じです」と述べている。「我らがDPLは、メーリングリストを検閲するということや、選挙運動の中で人々を排除するということをほのめかしていたでしょう」。
驚いたことに、Towns氏自身もBarbier氏の決議を支持している。Towns氏はこう記している。「たしかに、もっともな疑問だと思います。罷免されることについては、それが正当かつ適切だとこのプロジェクトが考えるのであれば、個人的には何ら問題ありません」。
さらにTowns氏は、仮に罷免された場合でもDebianへの関与は続けると述べている。「手を引くことはまったく考えていません。他の面では私と意見が異なる人たちが、私の不変さやDebianのプロセスを信じてくれているようだということ、そしてその結果、各自が信念に従って行動できることや、恐れから行動を控えざるを得ないという状況にならないことを、非常にうれしく思っています」。