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GnuCash 2.0のレビュー

2006年11月09日 10:50 Conrad-Canterford(2006年11月6日(月))
GnuCashは個人および小規模事業者向けの会計パッケージであり、本格的な複式簿記による帳簿処理、自動的に繰り返し発生させる取引の設定、簡単な予算管理の機能を備えている。このアプリケーションは、こぎれいな画面によって資金管理の複雑さを隠そうとするのではなく、どこに(どれだけ)お金が使われているかをはっきりと示してくれる。ちょっと変わった処理方法を学んでみようという気があれば、GnuCashは家庭や小規模な事業にとって非常に強力な選択肢であることがわかるだろう。

GnuCashは多数の言語(リリースノートによれば29種類)をサポートしており、基本的な設計方針の一環として複数の通貨に対応している。QIFファイルのインポート機能を備えているほか、適当な外部パッケージをインストールすれば、HBCIのエレクトロニックバンキング(確かドイツでは主流になっている)や、OFX/QFXおよびMT940形式のファイルのインポート、OFX DirectConnectにも対応する。伝票の作成、管理、支払いや、仕入先や顧客の登録といった基本的な業務サポート機能も整っている。GnuCashは幅広い範囲にわたるレポートを特徴とし、大半のレポートには記録内容を厳密にカスタマイズできる豊富なオプションが用意されている。私が経験してきた範囲では、GnuCashは安定性があって信頼性の高いプログラムであり、GnuCashの開発者たちはどんな苦労も惜しまずにそうした信用を維持している。

GnuCashのインタフェースは各種口座の表を中心として構成されており、それぞれの口座を開くと帳簿と呼ばれる個別のビューが表示される。帳簿は、口座の最新の状態を表示すると同時にデータを入力する場所でもある。本当の複式帳簿形式では、どの取引にも完全に帳尻の合う2つ(またはそれ以上)の項目が存在しなければならない。少し複雑に思われるかもしれないが、これは残高がどうなっているかを表示する効果的な方法であり、私の理解では、「本物の」会計士もこれと大差ない方法で資産の管理を行っているはずだ。

GnuCashはオープンソースのソフトウェアであり、その外観は私が以前扱っていた商用(Windows)の会計ソフトウェアとは異なる。その大きな理由は、飾り気のないインタフェーススタイルにある。このインタフェースの場合、(デフォルトでは)口座の表に重点が置かれている。会計の知識がないと、作業の進め方を理解するのに少し時間がかかるかもしれない。作業を行うにあたって協力や助言が必要であれば、チュートリアルやコンセプトガイド(GnuCashマニュアルのページにリンクがある)、ユーザメーリングリストが貴重なリソースとなる。ほとんどの人々は、gnucash-userメーリングリストに参加する他のユーザから役に立つ回答をきわめて短時間のうちに得ている。

GnuCashには給与台帳や在庫管理、詳細な顧客管理の機能がない。私の利用目的では、手頃な給与台帳の専用ソフトウェアパッケージを購入して、支払いの情報を手作業でGnuCashに入力するのが最適(最も安上がり)であることがわかった。ただし、現時点では他の代替案も利用できるかもしれない。

GnuCash 2.0の新機能

GnuCash 2.0.0(7月にリリース)では、ユーザインタフェースが大幅に変更され、GNOME2のインタフェースライブラリを利用する方式に切り替えられている。その結果、見た目は大きく変わっているが、以前からのユーザでも動作面での支障を感じることはない。何年も前から旧バージョンで取引内容の入力を続けることで身についた反射的なキーストロークもすべて問題なく機能する。私にとっては常にこの入力方法がGnuCashの利点の1つだった。数多くの取引項目の入力をキーボード上で指を動かして行うことが、単に可能であるだけでなく間違いなく実用的なのだ。あまりマウスのクリックに頼らずに済み、2つで1組になった取引項目の入力が終わると、本当にあっと言う間に結果が得られる。この点は2.0になっても変わっていない。

今回のユーザインタフェースは、新たに帳簿やレポートを開くたびに別のウィンドウが開くものではなく、タブ方式のレイアウトになっている。こうした動作は(帳簿用とレポート用の)各設定オプションによって管理されているので、好みで以前の方式に戻すこともできる。メニューの構造はわずかに変更されており、以前より整合性が高く、GNOMEのHuman Interface Guidelines(HIG)に準拠した内容になっている。こうした変更によってプログラムの外観は新しく生まれ変わっているが、有効性が実証された従来のアプローチの良さは損なわれていない。新しいロゴやグラフィックによって見た目も良くなり、GNOME2へのアップグレードによってその他のGNOMEプログラムの大半とほぼ同じ動作をするようになっている。

予算の機能が新たに追加されているが、予算管理の対象期間を個別に指定できるほか、取引の実績から予算を計算してくれる「見積もり」機能を備えるなど、この機能には相当な柔軟性があるようだ。また予実報告を提供する際に必須となる「Budget Report(予算報告)」機能も存在する。予算管理の機能を使わなくても他の処理を済ませることは可能なので、この機能なしでも困らない場合やその処理方法が気に入らない場合はいつでも無視することができる。実は、今回のレビューのために予算管理機能を探したときには、「File(ファイル)」メニューに隠れているせいで見つけ出すことさえできず、親切なヒントのおかげでようやくこの機能の場所がわかったのだ。予算管理の機能に不満があるとすれば、オプション機能としての位置付けのままで、プログラムの他の部分ともっと適切な形で統合できたのではないか、という点だろう。

リリースノートには、特にOFX DirectConnectといったオンラインバンキングのさまざまな標準規格のサポートが向上したと記されている。これはaqbankingライブラリのごく最近のバージョンやlibOFXのリリース予定のバージョンに依存しているが、現在使っているディストリビューションにGnuCashが採用される頃にはこれらのライブラリも利用可能になっているだろう。またGnuCash 2.0では、MT940形式ファイルのインポートにも新たに対応したと記されている。

アップグレードを勧める理由

ユーザの立場から見ると、今回のリリースには主な新機能が予算管理しかなく、少しあっさりした内容に感じられるかもしれない。しかし騙されてはいけない。これは見栄えを良くしただけのバグフィックスリリースなどではない。内部のアップデートと改善のために目に見えない部分に対して相当な手間がかけられている。こうした取り組みによって次世代機能の実現が可能になり、うまくすれば開発プロセスも短縮されるだろう。確かにあまり変化がないように見えるが、次世代の機能を可能にするための変更が数多く行われているのだ。

もちろん、今回のリリース版でバグフィックスが行われていないわけではない。アップグレードを行う主な理由の1つは、以前の1.8シリーズのサポートがもう中断されていることにある。今後、1.8シリーズに対してバグフィックスが行われることはないため、すべてのユーザはこの理由だけでも2.0に移行する必要がある。2.0にはすでにコミュニティによる強力なサポートが存在し、開発者からは重要性の低いバグ数個の修正とデフォルト設定のオプション数箇所の調整が行われた2.0.1のリリースが告知されたばかりだ。

アップグレードは簡単で、新しいバージョンのGnuCashをインストールし、バージョン1.8のデータファイルを読み込ませるだけでよい。予算の設定を行わない場合、バージョン2.0は1.8.12に対して完全な後方互換性があるため、必要であればいつでも旧バージョンに戻すことができる。

GnuCashを自分の手でビルドすることは、何をすべきかがわかっていれば、特に難しくはない(私の場合、-develパッケージをすべてインストールしただけで、ビルドが「うまく行えた」)。だが、どうすればよいのかさっぱりわからない場合は、自分が使っているディストリビューション用の事前コンパイルされたパッケージを探すか、そのディストリビューションの新しいバージョンが手に入るようになるまで待つ必要があるだろう。少なくともFedoraとDebianでは、ユーザの手でパッケージが用意されていることがわかっている。

またGnuCashはGNOMEプログラムなので、多数のGNOMEライブラリが必要になる。すでにGNOMEを利用しているならこの点に気を遣う必要はないが、KDEやその他のデスクトップ環境を利用している場合は、GnuCashを動作させるためにGNOMEのライブラリをインストールしなければならない。またGuile(GNU Schemeのインタープリタ)とg-wrap(Guileと他のプログラムとのインタフェースを提供する)も必要になる。ディストリビューションからGnuCashをインストールする場合でも、これらは自分でインストールしなければならない。ソースコードからビルドを行う場合は、これらのビルドも必要になる。ほとんどの主要ディストリビューションについては、必要とされる依存関係の最新のリストがソースコード中に用意されている。最上位ディレクトリ内にある"README.dependencies"というファイルがそれだ。

私は長い間ずっと(実際には1.4のベータリリースの時点から)GnuCashを使っている。自らの(非常に)小規模な事業の口座データがGnuCash内にあるので、これまでずっとヘビーユーザとして利用してきた。もしあなたがX環境のパッケージのような外観と動作を求めるなら、おそらくGnuCashはふさわしくないだろう。しかし、堅牢で安定したオープンソースの会計ソリューションを好み、その操作をちょっと習得してみようという気があるなら、GnuCashを試しても損はないはずだ。

NewsForge.com 原文

最終更新:2007年07月01日 19:05