書類作成機能
いくつかの取引項目およびカテゴリを定義して、スケジュールを組むタイムスパンを指定できたので、次にアプリケーションの書類作成機能を検証してみた。再び残念な報告なのだが、ここで作成できる書類は役に立つレベルではあるものの、正に“事務的な”という形容がよく似合うテキストオンリーの無味乾燥な形態でしか出力されないのである。これが他の同種のアプリケーションであれば、最低でも支出の内訳を円グラフで添付するなど付加機能が利用できるものなのだが。
こうした一部の不満点はあるものの、KMyMoneyには、税務報告、支出と収入の対比、純資産、保有株式を始め、取引内容の簡易レポートといった書類を作成するためのデフォルトセットが用意されている点を評価する必要があるだろう。一部の書類についてはカスタマイズを施すことも可能で、独自のレポートをユーザ定義することもできる。
投資管理
投資管理の処理に関しては、同じアプリケーションの機能であるにもかかわらず、その他の操作とは完全に趣を異にしている。つまり投資管理の場合、ある作業を完了させるのに右クリックによるコンテキストメニューの呼び出しが必要なのだが、それが分かっていないと何も処理が進まないのだ。結局、どうすれば株式売買の情報を登録できるのかは、解説書を参照して説明を探すまでは分からないままであった。既に取引項目をいくつか入力している場合、台帳に変更を加えた場合、カテゴリの追加ないし修正をしている場合など、その他の取引項目ベースで処理を進める部分とまったく同様な画面に遭遇するはずだが、そこで自分が今何の操作をしていたのかを見失ってはいけない。
要は、投資項目の処理を完了させるには右クリックをする必要があるのであり、それさえ分かっていれば、後は株式銘柄を登録して売買情報を入力するだけである。ここで注意すべきは作業の順序で、株式売買の取引項目を定義するには、その前に株式銘柄を定義しておく必要がある。こうした登録作業がすべて完了さえすれば、煩雑な資産情報の管理をKMyMoneyが代行してくれるようになり、所有する株式の売買記録なども、それなりに整った分かりやすいインタフェースを介して確認できるようになる。
インタフェースに関しては1つ奇妙な動作に遭遇したので、ここで指摘しておこう。株式情報については、最初に株式銘柄を登録した後で、次にその売買情報を入力するという手順になる。ところが、2つ目の株式銘柄を登録してから台帳インタフェースに戻って取引項目を追加しようとすると、登録しておいた2つ目の株式銘柄がドロップダウンリストに表示されないのだ。別の株式銘柄を登録して再度確認してみたが、取引項目を設定できるのはやはり最初の株式銘柄だけになってしまう。この問題に関しては、いったんKMyMoneyを閉じて再度開き直すことで解決された。
好意的に評価すべき点
KMyMoneyについては、いくつかの高く評価すべき点が存在する。その1つは、インタフェースの基本フレームワークの出来がよい点だ。指が痛くなるほどのクリックやコンテキストメニューの再表示を繰り返さなくても、大半の操作にアクセスすることができる。またGNUCashの場合のような強引な操作をしなくても、複式簿記をつけることが可能である。「この件については、こちらに支払った」という意味の項目が用意されているので、インタフェースに従ってゆけば通常の操作の1つとしてそのまま処理できるはずだ。ドキュメントについては『KMyMoney Handbook』という形式で詳しくまとめられており、KMyMoneyのHelpメニューにアクセスすれば参照することができる。
KMyMoneyの総合評価だが、あるべき機能のいくつかが装備されていないことおよび、インタフェース的な不整合が残されている点を勘案すると、一般的なホームユーザに勧めることはできないだろう。確かにいくつかの欠点は些細なものだが、見過ごせないレベルの問題点も残されているからだ。もっともKMyMoneyがこれらの問題点を克服するまでには、それほどの時間がかかることはないだろう。公平を期すために述べておくと、私はKMyMoneyがQuickenなどの商用プログラムに取って代わる存在だとは評価しなかったが、それは他のフリー/オープン系アプリケーションの完成度に関しても当てはまる話である。
