歓迎の夕食会では、食前酒が出てくる前にひと仕事しようと、このイベントを企画したNick White氏(名刺によれば、Windowsマーケティング広報部のプロダクトマネージャ)に、あなた方のCEO(最高経営責任者)はことあるごとに他のLinuxユーザや私に対して詳細不明な特許の侵害で訴えるぞと脅しているというのに、私がどうしてそんな会社を信用できるでしょうか、と問いかけてみた。
Nickはこう答えた。「それは昔のことだよ。我々は事態を前に進めようと努力している」
私は「さきほど話したのは、つい1、2週間前のSteve Ballmer氏のコメントのことなのですが」と返した。
すると彼は「さあ、それについては何もコメントできないな。私はプロダクトマーケティングに携わる人間だからね」と答えた。
厄介な質問をするといつもこの類の答えが返ってくる。GroklawのPamela Jones氏も、何度かそうした発言をしていた。私が出会ったMicrosoftの人々は誰も、Novellとの提携、Open Document Format(ODF)のサポート、法的なソフトウェアライセンスとしてのGNU General Public License(GPL)の受け入れ、VistaにDRMを組み込むことでどれだけユーザの怒りを買うか、といった読者の皆さんが関心を寄せそうな話題については一言も触れなかった。
いや、前文については少し訂正させていただきたい。というのも、Zuneのマーケティング担当者Tyler Welch氏は、映画および音楽会社の言い分を聞き入れてオンラインデバイス向けコンテンツを販売してもらうことと、消費者が求める制限のない利用とコピーの自由を与えることの間に微妙なバランスがあることを理解しているようだった。Welch氏は態度を一転させたり、予め用意された宣伝文句で応じたりすることなく、こうした立場の異なる支持者どうしの対立は容易には解決できないこと、この問題は時間をかけてじっくりと取り組む必要があることを彼は認めていたのだ。
Microsoft Home of the Futureの不思議
今回の招待イベントの参加者は、LifehackerのGina Trapani氏、CCIAのKen Kurokawa氏、都合がつかなかったthe InquirerのMike Magee氏に代わって彼の19歳の息子、氏名は書き留めなかったが技術的なブログか何かを運営しているボストンの老紳士、そして私の5名だった。
おそらく、全体としては10名ほどが招待客として厳選されたのだろう。というのも対象者はMicrosoftに好意的でない人々だからだ (Microsoftの担当者によるとeWeekのSteven J. Vaughan-Nichols氏も招待したそうだが、当の本人はそんな招待は受けていないと言っていた)。
とにかく今回の参加者は5名だった。夕食会の翌日、最初の公式イベントは秘密保持契約(NDA)に同意したうえでのMicrosoft Home of the Futureの見学ツアーだった。
Inquirerの若者はNDAに同意しなかったためにこのツアーに参加できなかった。私はMicrosoft本社での体験を満喫したかったのでNDAにサインしてツアーに参加したのだが、おかしなことに、NDAの対象になるような本当に新しいテクノロジを目にすることはなかった。「ですが、このようなテクノロジをまとめてご覧になったのは初めてですよね?」 とMicrosoftのマーケティング担当者が尋ねるので、確かに初めてだと答えておいた。だが、同じようなテクノロジが他の多くの場面で使われたり想定されたりしていたことは知っており、それもたいていはもっとさりげないものだった。
このNDAツアーで私の印象に残ったものといえば、Marshall Brainのオンライン小説『 Robotic Nation 』や『 Manna 』くらいのものだ。Kurt Vonnegutが1952年に書いた小説『 Player Piano 』の一部を彷彿とさせるものだった。
Microsoftは、そこに展示したテクノロジの多くとそれらの融合によって未来の生活がどのように変わるのかについて肯定的な見方をしていたが、NDAにより、その楽観的な考え方を読者の皆さんと共有することはできないので、彼らの思い描く未来像については、Brain氏とVonnegut氏の描いた悲観的展望を参考にしてもらいたい。
