Thunderbird 1.x系に対して私が抱いていた不満の1つに、個々のメッセージに付けられるラベルが5種類に制限されていたことがある。各ラベルの色や名称はユーザが変更できるが、5種類という制限についてはどうしようもなかった。こうしたものは3種類では少なすぎるだろうが、6種類あっても特別困ることもないだろう。Thunderbird 2.0では、従来のラベル機能が全面的に見直され、Web 2.0風のタグ機能を実装することで任意の数のタグを付けられるよう改められている。
今回新設されたタグ機能であるが、ここで問うておくべきは、以前のThunderbirdでも行えたメッセージへのラベル付けやフォルダ単位でのメッセージ管理以外に、特別な何かが行えるのかということであろう。
まず従来のThunderbirdではメッセージごとに事前定義されたラベルの1つを付けられるだけだったが、Thunderbird 2.0のタグについては1つのメッセージに複数のタグを付けることができる。例えば、仕事先のクライアントからメールが送信されてきた場合、まずはクライアント用のタグを付けておくとして、その内容が後日に返信する必要のある用件であったなら、同時にTo-Doというタグも付けておくという使い方ができるのである。熱心な「Getting Things Done」(GTD)信奉者で、何でも細かく整理しなければ済まないという完璧主義者のユーザであっても、今後は細分用のタグに不自由することはないだろう。
ユーザ定義可能なタグのうち最初の9個については、Thunderbirdが自動的にキーボードショートカットを割り当ててくれる。キーボードショートカットの1から9はタグ付け用で、キーボードショートカットの0はタグの削除用だ。9個を越えるタグを定義した場合、メッセージへのタグ付けはメニューショートカットないしマウス操作で行うしかない。
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| レイアウトをワイド表示にしたThunderbird 2.0とメッセージに割り当てたタグの様子(クリックで拡大) |
後から定義したタグに特定のショートカットを割り当てたいなど、タグ間の優先順位をユーザ指定したい場合もあるだろう。その場合は以前に定義したタグを削除して、新たに定義し直すしかない。残念ながらThunderbirdの設定ダイアログでタグの順序を変更することはできないのだ。念のため「設定エディタ」を使ってタグ順を変更できる可能性についても試してみたが、タグ順に関係していそうな設定項目を見つけることはできなかった。
タグ機能は、検索条件を記録させた仮想的な検索フォルダを設定する際に使うこともできる。Thunderbird 2.0のサポートする検索フォルダとは、複数のフォルダを対象としたメッセージ検索など、複雑な検索条件を繰り返し再利用するために保存しておく機能のことである。その際の検索条件では、メッセージの件名、タグ、送信日、重要度、状態、受信日からの日数などの項目別の指定が可能だ。
多くのユーザと同様、私の場合もメールをフォルダ単位で整理しており、例えば仕事関係のメールとLUG関係のメールでは保存先を別々のフォルダにしてあるし、ネット通販サイトを利用した際の領収書メールなどは専用のフォルダに入れておくといった具合だ。ただしこの方式を使い続けていると、管理対象のフォルダが結構な数になってしまう。またメールによっては複数のカテゴリにまたがる性質のものもあり、私の場合そうしたメールについては、ディスクスペースの無駄遣いを承知の上でメッセージのコピーを作成して両方のフォルダに振り分けているが、領収書メールなどは臨機応変に分類して「仕事関係」と「領収書」のどちらのフォルダに入れておいたかを記憶の片隅に止めておくこともある。
実は、タグと検索フォルダの機能を組み合わせることで、こうした方式のメール管理における分類用のフォルダ数を劇的に削減することができるのである。そのために用いるのは、最終的に検索フォルダ機能を使うことを前提に「仕事」や「LUG」などのタグを設定しておくという手法だ。もっともこの場合、検索条件を保存させておく検索フォルダ数は増えることになるが、固定式のフォルダ別管理に比べてより柔軟な運用ができるというメリットがある。
Thunderbirdのタグ機能は、おそらくGMailにあるものを参考にしたのであろう。実際Thunderbird 2.0では、メッセージに星印を付けて区分けするという機能もGMailから借用している。これは、メールないしRSS/Atomフィードの受信メッセージに対し、後から読み返したいものがあれば星印を付けて区別しておけるという機能である。
Thunderbird 2.0ではメッセージ移動の再実行機能も追加されており、この場合、特定のフォルダにメールを移動させると、このフォルダへのメッセージ移動コマンドがメニューに追加されるのである。こうしたメッセージ移動の再実行は、Ctrl-Shift-Mのキーボードショートカットないしコンテキストメニューからも実行できる。
この機能が特に有用なのは、メールボックスからの取得メールを1つのフォルダに入れるよう設定しているユーザであろう。また取得メールの収容フォルダを複数個使い分けているユーザであっても、受信トレイの中身を整理したり、手作業でメッセージの振り分けをする際に役立つはずだ。
