特許についての文言
2006年夏にドラフト第2版がリリースされた際に十分に対処されていなかった大きな問題の一つとして、GPLと特許の関係があった。そしてSoftware Freedom Law Centerのドラフト作成メンバーも当時から、GPLv3の作成に協力していた委員会の企業メンバーとの議論が非常に長引くことになるだろうとは予測していた。
その上、FSFも認めている通り(翻訳記事)、特許についての議論は2006年11月にNovell社とMicrosoft社との間の契約があった後、さらに激しいものになった。この契約は、Novell社のSUSE Linux Enterpriseを再配布するためにMicrosoft社がNovell社に対してロイヤリティを支払うということと、GNU/Linuxの中にMicrosoft社の知的所有権が見つかった場合に、Microsoft社はNovell社の顧客に対してだけは特許を主張しないという内容のもので、このことはたとえGPLv2の文面には違反していなくとも、その精神には違反するものと広く受け取られた。そのため、そのような契約を明示的に阻止することがGPLv3の新たな関心事となっていた。
ドラフト第3版では、特許についての懸念のすべてに対処するため、GPLv3の(特許を扱う)第11項が広範囲に渡り手直しされ強化されている。ドラフト第2版では、特許を主張しないというディストリビュータによる誓約に留まっていたが、ドラフト第3版では特許についての取り扱いについては「開発協力成果物に開発協力者が持つ基本的な特許権利が含まれる場合、作成/利用/販売/販売のオファー/輸入などを行なうために必要な、またその他上記以外の目的であっても実行/変更/頒布を行なうために必要な、非排他的で全世界的なロイヤリティなしの特許ライセンス」とはるかに明確に定義されている。
さらにその文言を強化するために、「特許ライセンス」は「特許ライセンス、あるいは特許違反で訴えることはしないという誓約、あるいは特許権を行使することはないというその他の明示的な協定/約束等(いかなる呼び名であれ)」と定義されている。同様に、特許ライセンスに該当することを知っているソフトウェアを配布する場合は、ソースコードを公開して特許ライセンスを放棄するだけでは十分ではなく、特許保護の対象を最終的な受け取り手にまで広げなければならないとも書かれている。
Novell-Microsoft契約への対応
Novell-Microsoft契約への対抗策として第11項ではさらに、サードパーティとのビジネス上の協定の一つとして一部の人々にだけ特許保護を行なうことを禁じている。なおこの段落の最後の文では、2007年3月28日以前の同種の契約については除外されている。ただしこの文はカッコ付きであり、この既得権者に対する例外規定は、現在はまだ試験的に付け加えられているだけの状態であることが示されている。
FSFのコンプライアンス・エンジニアBrett Smith氏によってメディア向けに提供されているドラフト第3版の説明には、「私たちはこの問題についてのコミュニティからの意見を期待」しているとある。Novell社は(Microsoft社との契約は「2007年3月28日以前」なので)将来的にGPLv3でライセンスされるソフトウェアも配布することもでき、フリーソフトウェアコミュニティとの良好な関係を保つことにもなるので、GPLv3を受け入れるかもしれないが、他の企業がそのようなNovell社の特別な立場を受け入れるかどうかは不明だ。
今後の行方
ドラフト第3版はこれから60日間のレビュー期間に入る。この間FSFは、ドラフト第3版の文言や意図するところを広く一般に説明しながら、コミュニティからの意見を踏まえてリリース候補の作成に取り掛かる予定だ。このレビュー期間が終わるとドラフト最終版がリリースされ、その後さらに30日間のレビュー期間となる。
しかしそのようにプロセスが手際よく計画されているからと言って、実際に計画通りに手際よく事が進むのかどうかは定かではない。明確さのための文言の変更や国際化しやすくするための変更が議論を呼ぶことはなさそうだが、ロックダウン技術に対する新たなアプローチについてと特許に関する新たな文言についてはおそらく大々的に議論されることになるだろう。すべての問題を解決するには、90日間では足りないかもしれない。
そして、そのように激しい議論が終わってもなお、広く一般に受け入れられる形で何らかの合意に達することができなかった場合にも、(フリーソフトウェアコミュニティとオープンソースコミュニティとの協力関係が弱まったり、ビジネス界で不満が蔓延したりといったような問題を承知の上で)ライセンスはリリースされることになるかもしれない。何が起こるにしろ、今後90日間は退屈しそうにないことは明らかだ。
Bruce Byfieldは、NewsForge、Linux.com、IT Manager's Journalへ定期的に寄稿するコンピュータジャーナリスト。
