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Debianプロジェクトの新リーダSam Hocevar氏に対する初インタビュー

2007年05月02日 17:27 Bruce-Byfield(2007年4月30日(月)) 1 2 3
 Sam Hocevar氏は先日、7名の対立候補を下して新たなDebian Project Leader(DPL)に選出されたところであり、選挙時にはプロジェクトメンバ間の人的交流態勢の改善を公約としていた。

 Hocevar氏が選出された今回の選挙においては、Debianコミュニティにおけるユーザや開発者のUbuntuへの流出が懸念されており、活動効率の改善および組織的な分裂状態への対策が求められていた時期と重なっていたと表現できるかもしれない。Linux.comは先日、電子メールを介した形ではあるが、DPL選出後におけるHocevar氏への最初のインタビューとして、同氏がこれから直面するであろう各種の課題についてどう取り組むつもりであるのかを質問してみた。

Linux.com:Debian Project Leaderとして最優先すべき課題は何だとお考えですか?

Sam Hocevar:最初に行うべきは、共同作業を妨げているコミュニティ内部の意見対立の現状を把握することだと考えていますが、組織的な変更を施すとしても、意見交換をより重視した形で進める必要が最低限あると思っています。

私が掲げていた公約の中でも、当座は社会的側面の活動に集中するつもりですが、それはこの種の作業は時間を要するものだからです。公約の中には技術的側面の活動に関するものもありますが、その種の作業は選挙結果を待つことなく進められる性質のものですし、実際そうなっています。例えばバグトラッキングシステム用のWebインタフェースについては、Google Summer of Codeプロジェクトを利用した開発を行う予定ですが、現状でもデバッグ用インフラストラクチャで使うためのツールの1つは開発途上にありますし、Webサイトに対する改善案も色々と提出されています。

LC:選挙時の公約の中では、Debianが今日抱える問題点として「保守主義的な風潮」、「統制的な傾向を示す人々」、「ごく一部の人間に対する権限の過度の集中」などを指摘しておられました。この点を詳しくお聞きしたいのですが?

SH:一般論として、保守主義的な風潮が蔓延している状況で権限が過度に集中していると、プロジェクトの発展を大きく妨げる危険性が高くなります。Debianの場合はそれほど危機的な状況には置かれていませんが、これは優秀な人材の手に権限が委ねられており、そうした人々は“Debianにとって何がベストであるか”という意識で活動しているからに他なりません。ただし過去に何度も指摘されている通り、スケジュール的な遅延の慢性化や効率面での不備がしばしば顕在化しているのも事実です(より短期間で達成できた性質のタスクであったはずであるとか、提出したリクエストが無視されたなどの指摘です)。

またあまり公に論じられない性質の話題ですが、「開発者の1人が自動車事故にでも遭遇したらどうなるか」という問題もあります。実際、過去のDebian開発者の中には既に亡くなられた方もおられますし、現在残っている人間も歳を取っていくのは避けられませんから、関係者の人数が増えるほど不幸な出来事の到来には備えておく必要があるはずです。人間は誰でも歳を取るという話を続ければ、「開発者の1人がプロジェクトへの関心を無くしたり、フルタイムの職業に就いたり、家庭や子供を持ったりしたらどうするか」という場合も同じような問題が生じてきます。そうした観点から私は、新メンバの補充は常に必要だと主張しているのです。そうした人々には、パッケージのメンテナというだけではなく、コアスタッフとして活動してもらう必要があるでしょう。こうした問題は今から手を打っておかないと、いざとなった時に途方に暮れることに成りかねません。

LC:Debianプロジェクトの活動にはチームワークの育成が必要だというのは、どういう理由に基づいているのでしょうか? また具体的な育成法として何を考えておられますか?

SH:あるタスクが手を付けられないまま長期間放置されている場合、その原因は往々にして担当者に時間を割く余裕がなかったためであって、それをこなせる別の人間が存在していたにもかかわらず、必要な権限がなかったために実施できなかったというケースが多々見られます。その種の問題は、チームとしてサポートをするように態勢を改めれば軽減されるはずです。結局のところ現状は、何らの対策も執られないまま、同様の事態が繰り返し起こり続けているのだと言えるでしょう。

選挙時の公約の中でも触れていたのですが、私からの要望として“パッケージは(担当メンテナの)所有物である”という意識を薄めていきたいと考えています。それを強制する権限が私にある訳ではありませんが、守備範囲外のパッケージであっても進んでバグフィックスをしたり、担当メンテナ以外の人間によるアップロードをすることを奨励することや、メンテナンス上の問題のあるパッケージに対する監視チームを組織することはできるはずです。メンテナの方々からすると、こうした行為は自分たちの能力を疑われるのに等しく、悪意に満ちた活動だと感じられるかもしれませんが、そう感じる背景にある意識そのものも変えていく必要があるでしょう。

またこうした提案に対する反論として、“チームの全体責任であれば、間違いをしでかしても誰かが始末を付けてくれるだろう”という態度でぞんざいな仕事をする人間を生み出すことになり、無責任な行為を助長する可能性がある、という意見がでてくるかと思います。私としてもそうした意見に異論はありませんが、そもそも誰でも好き勝手し放題にすることを提案するつもりはありません。チームに所属させる人員にある程度の配慮をしておけば、デメリットよりもメリットの方が遥かに大きくなるはずです。

パッケージ管理に関する問題の存在を意識してもらえるようになれば、チームとして管理することのメリットは即座に理解してもらえるでしょう。また、チームとしての活動は性に合わないという場合でも、そうした人々が単独で行うパッケージ管理が適切なものであれば、それはそれで問題ないとも考えています。

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最終更新:2007年07月01日 19:05