昨日Red Hatからは、今年の夏にIntelとの提携との下Global Desktopというプロジェクトを立ち上げるというビッグニュースが発表された。Global Desktopとは、ハードウェアとソフトウェアを統合して提供するための構想だが、その視野の中に開発途上国におけるLinuxマーケットの拡大が取り込まれているのは明らかである。
この新規デスクトップ構想の立ち上げによりRed Hatは、愛好者および開発者向けのFedora、企業ユース向けのEnterprise Desktop、開発途上国向けのGlobal Desktopという都合3種類の路線を取りそろえることになる。もっともRed Hatの技術責任者を務めるBrian Stevens氏が昨日朝の基調講演で描いていた同社のデスクトップに関する将来構想と、この3つの路線との間に不整合さが感じられない訳でもない。
Moglen氏によるGPLv3セッション
コロンビア大学ロースクール教授にて、Free Software FoundationおよびSoftware Freedom Law Centerに所属するEben Moglen氏は今回、GPLv3に関するプレゼンテーションを2回行う予定となっており、昨日はその第1回目が開催された。昨年度のサミットにおいて基調講演が任されていたことからも分かるように、同氏は非常な話し上手として知られており、今年も「In the News」トラックの演者の1人として再び招かれている。そして今回のプレゼンテーションについても、より多くの聴衆に聞いてもらえるよう、金曜日の朝に再演される予定だ。
Moglen氏はまず30分ほどをかけてGPLv3の成り立ちと現在の進捗状況を説明してから、本論へと話を進めた。なお本セッション冒頭でMoglen氏を紹介したのはRed Hatの相談役を務めるMark Webbink氏であったが、今回はあまりに多くの質問が殺到したため、スケジュールを守る関係上、予定時刻になった段階で質疑応答を打ち切る役目も同氏が担うこととなった。
セッション中にMoglen氏は、MicrosoftがNovellから購入したSUSE Linux用クーポンを早急に始末しようとしている問題について触れていた。このクーポンに関しては、やがて訪れるGPLv3のリリースに起因して、使用期限に関する問題が生じているとのことだ。それはつまり、MicrosoftはLinuxコミュニティに対する攻撃手段として特許ポートフォリオの利用を目論んでいるものの、12月に予定されている同ライセンスの適用開始によって、そうした戦略が逆にMicrosoftの首を絞める存在と成りかねないということである。
第1稿段階のGPLv3ドラフトでは、何らかのDRM機構を付けることをソフトウェア開発者に要求するのはGPLライセンス下のコードのユーザによる検証ないし改変を禁じさせる可能性のある行為だとして、ユーザの権利を阻害する形でのパテント(特許)の使用を阻止することが意図されていた。同ドラフトの最新版を見ると、GPLライセンスが適用されている製品のカスタマに与えられるパテント保護についてのあらゆる権利は、ダウンストリームの全ユーザに自動適用される旨が記されているのである。そしてNovellとMicrosoftとで結ばれた合意事項についてだが、この場合SUSE Linuxカスタマに対しては、Microsoftによる特許侵害訴訟の免責権が与えられている。つまりGPLv3ライセンスが適用された場合、この合意事項で免責される範囲は延々と広がり続けることになり、結果としてMicrosoftによる特許訴訟戦略を無効化することになるのだ。先にMicrosoftが早々にSUSEクーポンをWal-MartやDellなどに引き取ってもらったのは、こうした背景があったということである。
