合併すべきか否か
こうしたすべての動きが2つのネットワークの再統合の前触れに見えるのも無理はないが、その予想の正否はわからない。Graham氏によると、合併のアイデアは「提案されている」が、「合併の実行に関して確かなことはまだ何も決まっていない」という。
これらのネットワークの合併を実行に移すとしたら、どんなことが必要になるのだろうか。Dahlskjaer氏は「解決すべき技術および運用面での違いが数多くあります」と語る。
「私たちはよく似たサービスを提供していますが、freenodeが『単なるIRC』を超えたものを目指していることはよくご存知だと思います。私たちは、コミュニティの参加を強く意識しながら、オープンソースプロジェクトに対するインフラストラクチャの提供、各プロジェクトが活気に満ちたコミュニティを協調、一体化、権限委譲を助長する環境で作り上げる支援、といった活動を進めています。一方、OFTCは参加型のアプローチをあまりとらずにインフラストラクチャを提供しており、各プロジェクトはコミュニティ側の立場で活動しています」(Dahlskjaer氏)
どちらのネットワークも、より大きな組織の一部にあたる。freenodeは、(501(c)3に基づく)非営利団体のPDPCに属している。Dahlskjaer氏によると、PDPCはFOSSコミュニティを対象とした「各種コミュニティサービスの提供に注力」しており、そこには9月にカリフォルニア州サンディエゴで予定されているFOSSCONも含まれる。
また、PDPCは、FOSSCONに加えて「将来のプログラム案となる基盤の調査と構築も行おうとしています。その範囲には、コード助成プログラム、各種教育プログラム、ピアツーピア基盤との協調推進が含まれますが、これらに限定されてはいません」(Dahlskjaer氏)
一方、OFTCの上位組織は、FOSS関連組織の法的庇護に助力し、メンバーによる運営という観点から無干渉主義的アプローチをとる非営利団体Software in the Public Interest(SPI、これも501(c)3)である。
2つのネットワークには、技術および組織的な違いだけでなく、考慮すべき文化的な違いもある。Graham氏は、OFTCにはfreenodeよりも「ずっと不干渉主義的」な文化がある、と話す。「OFTCのスタッフは、ネットワーク自体の整合性や利便性が危険にさらされたり、チャンネルのスタッフからの要請がない限り、同組織のチャンネルの問題には干渉しない」
「これに対し、freenodeにはチャンネル管理面でネットワークに広く関与するシステムがある。freenodeを利用しているプロジェクトは、単なる名前ではなく、自分たちのチャンネル用の名前空間のブロックを得ることができる。たとえば、NewsForgeがfreenode上でIRCチャンネルを開設したとすると、チャンネル名は##NewsForge(追加のハッシュに注意)になる。あるいは、公式チャンネルであることを示すハッシュが1つだけの#newsforgeを取得するためには、グループ連絡フォームで申請する必要がある。そのために、#newsforgeは別に確保されているわけだ。
ユーザサポートの方法もまた、両ネットワークでは大きく異なる。OFTCは概して公開の#oftcチャンネルを使ってサポート処理を行っているが、freenodeは個人的にスタッフに連絡することをユーザに奨励している、とGraham氏は話す。どちらのやり方もうまく機能しているが、「まったく異なるアプローチだ」と彼は言う。
「OFTCのやり方は、たとえスタッフでなくても周囲の人は誰でも助けになる、という単純な仮定に基づいている。一方、freenodeのサポートは、勤務中や勤務外のスタッフによって1対1で実施される」(Graham氏)
こうした違いの理由は2つのネットワークの規模が大きく異なる点にある、とDahlskjaer氏は話す。OFTCは規模がより小さいために無干渉主義のアプローチを取っているわけで「彼らにとってはこれがうまくいくアプローチなのです」
最終的に2つのネットワークは正式に統合されないかもしれないが、Graham氏は、どちらにせよ今回の提携は有益なものになるだろう、と語る。「両プロジェクトの内部および我々のもとに届く反響の声のなかでは、目標を共有する我々2つのプロジェクトが競合ではなく連携の道をとることが結局はオープンソースおよびフリーソフトウェアのコミュニティにとっての最大の利益になる、という確信がますます強まっている」
編注: David Graham氏はLinux.comの母体組織OSTGの編集請負人。
