DrawにもWriterにもテキストのレイアウトのための同じような機能があるが、Drawは画像とテキストとが混在したページやページごとに多様なレイアウトがあるような文書の作成に向いていて、Writerは各ページがほとんど同じレイアウトである大量のテキストからなる文書の作成に向いている。DrawもWriterも、ハイエンドなレイアウトプログラムにあるような微調整を行なうための機能は不十分ではあるものの、プロ並の作品を作成するのに十分な機能を備えている。
Drawを使ったDTP
Drawは本来的にはベクター画像描画用プログラムだ。しかしDrawのバックエンドの大部分はOpenOffice.orgのプレゼンテーション用プログラムであるImpressのバックエンドと同じものであり、Drawはレイアウト目的にも使いやすい。Impressの文書は通常複数のスライドから構成されるので、他の描画用プログラムの多くとは異なりDrawでは複数ページの文書を扱うことが簡単にできる(ただしページのことを「スライド」と呼んでいるのは分かりにくい)。そのため例えばDrawのデフォルトのビューには、各ページ間の移動に使用することができるページ枠がある。またView(表示)→Master(マスタ)を選択して、全ページに共通するデザイン要素を含むマスターページを作成することができる。あるいはページ内のどこでも良いので右クリックしてPage(ページ)→Slide Design(スライドのデザイン)を実行すれば、文書内にページのテンプレートを読み込んでそれらを選択することもできる。
Drawの個々のページでは、Insert(挿入)メニューを使って画像やテキスト用の「フレーム」を追加し、それらのフレームを必要に応じてドラッグして移動することができる。精密な位置決めを行なうためには、一時的にページ枠をなくして、ルーラーの目盛りを見ることができるようにしておくと良いだろう。またView(表示)→Grid(グリッド線)→Display Grid(グリッド線を表示する)を実行すればグリッド線を表示することができ、必要であればTools(ツール)→Options(オプション)→OpenOffice.org Draw→Grid(グリッド線)からグリッドの大きさを調節することができる。さらに位置決めを簡単にするためには、View(表示)→Grid(グリッド線)→Snap to Grid(グリッド線で位置合わせ)を選択すれば、フレームを自動的にグリッドの位置に合わせて配置することができる。ただしこの機能はグリッドの目を粗く設定している場合には煩わしいかもしれない。
フレーム内のオブジェクトは、各オブジェクトを右クリックしてメニューから項目を選択することで編集することができる。文書の中で同じデザイン要素を繰り返し使用する場合には、Format(書式)→Styles and Formatting(スタイルと書式) 経由でスタイルを定義することができる。なおスタイルを活用するのに、要素は似てさえいればまったく同一である必要はない。例えば枠と背景色のみを定義したテキストフレームのスタイルをデザインしておき、フレームの大きさについては必要に応じて手動で調整するということも可能だ。
OpenOffice.orgスィートに含まれるその他のプログラムと同様に、Drawでは通常テキストと画像テキストとの区別がある。通常テキストは、テキストフレーム内に入力されるテキストであり、そのフレーム内ではちょうどワードプロセッサで編集するのと同じように編集することができる。一方、画像テキストでは、フレームとテキストは一つのオブジェクトになるので、全体としての操作をより簡単に行なうことができる。
Drawをレイアウトに使用する際にはたいていの場合、通常テキストを利用することになるだろう。右クリックのメニューかFormat(書式)メニューからCharacter(文字)を選択すると各文字や文字の間の空白を変更することができ、Paragraph(段落)を選択すると2つの改行で挟まれたテキストブロック全体を変更することができる。また精密な調整を行なうためには、Character(文字)→Position(位置)タブを使用することで、各文字間の空白を変更することができる。なお変更の際は、現在使用中のフォントのデフォルトの空白の大きさに対するパーセントで指定することもできるし、あるいは設定したポイント数だけデフォルトの空白よりも空白を増減することもできる。どちらの方法も、完全に両端揃えをしている行を整える際に、特に単語間の空白に対して使用するのにうってつけだ。またParagraph(段落)→Indent & Spacing(インデントと空白)→Line Spacing(行間の空白)では、同様にパーセントや固定のポイント数を指定して、テキスト行の行間隔を調節することができる。
Drawでは大きなテキストブロックの位置決めをすることができる他にも、特殊効果を使うこともできる。編集用ウィンドウの下部にあるDrawing(描画)ツールバーのFontwork Gallery(フォントワーク)から基本スタイルを選択して、サンプルテキストを自分の希望のテキストと入れ替えれば良い。なおテキストをクリックすることでベースライン(基線)を調整することができるパレットを開くこともでき、例えば一点をベースにしてテキストをアーチ型にすることなども可能だ。また文字の高さ、アラインメント(配置)、テキストの文字間の空白などを変更することもできる。また、テキストフレームの右クリックメニューからConvert(変換)を選択すれば、通常テキストをポリゴンや3Dオブジェクトの画像テキストに変換することができるようになっていて便利だ。
ただしDrawにはレイアウト用プログラムとしての限界もある。例えばDrawは複数レイアウトをサポートしているが、選択肢を見つけるためにはページ上で右クリックするということを知っていなければならない。またDrawにはテキストをオブジェクトの回りに自動的に回り込ませることができないので、フレームを手動で配置する必要がある。さらにDrawには表のサポートがない。ただしこれについてはその代替として、複数のテキストフレームを積み重ねて一つのオブジェクトとしてグループ化することはできる。Drawにはまた、フレーム同士をつなげてその中のテキストを自動的に連結させる機能がない。その他にも、Drawでテキストの両端揃えを行なう際には、最後の短い行の見掛けをそこそこのものにするために空白の調整をかなりする必要があるだろう。とは言え、一部の作業を手動で行なうことをいとわなければ、Drawには1ページ程度の文書やパンフレットなどをデザインするのに使う分には十分な精度があり正確にデザインすることができる。また作品が完成したら最寄りの印刷所に送るためなどに、作品をPDFにエクスポートすることもDrawでは簡単にできる。
