Debianの未来を位置づけるDebConf 7――効果的なイベントの運営法

 木曜日には、Debian開発者がコンファレンスに招待された際のブース運営に役立つことをねらった「Debian Events Howto(Debianイベントハウツー)」というタイトルのディスカッション・グループの司会をAlex "Tolimar" Schmehi氏が務めた。

 Schmehi氏によると問題は、Debianが世界中のコンファレンスや展示会に参加するよう招待されているにも関わらず、現時点ではその要望に応えることができていないことだという。Debianプロジェクトはボランティアの人数不足が原因で昨年だけでも少なくとも15件の招待を断らざるを得ず、非常に残念な状況だとのことだ。

 Schmehi氏自身は、ブースの運営方法を数年前にフランクフルトで開催されたLinuxWorldで実体験として学んだのだが、経験がなかったにも関わらず結果は上々だったとのことだ。Schmehi氏はディスカッション・グループの参加者に対し、ブースの運営は簡単だと言って安心させた。

 ブースの運営はまず、何が必要かをブレーンストーミングすることから始める。何が必要かということに関して、参加者は次のような項目を以下の順で挙げた。Tシャツなどの宣伝用のグッズ、訪問者に安心感を与え話しかけやすくするためのブース担当のボランティア用の名札、訪問者(ブース担当ボランティア以外の人たち)が見て楽しむことのできる何か(デモ用のコンピュータなど)、ブース担当ボランティア向けの行動規範(ブースに参加しているのは部屋の隅でハックするためではないということを覚えていてもらうなど)。

 また、結局のところ人々はDebianのためにブースにやって来るのだから、当然のことながらDVDとCDは極めて重要だ。またSchmehi氏によると、DVDやCDをあらかじめ作成しておくのも良いが、DVDやCDをその場で作成するのも良い方法とのことだ。そうすることにより、訪問者はDVDやCDの作成が完了するのを待ちながら、Debianについて話したり説明を聞いたりすることもできるのだという。

 また非常に大切なこととして、テクニカルサポートをその場で行なうことができる場所を用意しておくと良い。Debianに関する手助けを求めて、ノートPCのみならずデスクトップシステムをまるまる抱えてやって来る訪問者も少なからずいるので、比較的邪魔にならない場所にそのような人たちを手助けするための場所を確保しておくことも大切だとSchmehi氏はアドバイスした。

 ボランティアの人たちに行動規範を守ってもらうことはできるのかと参加者の一人が尋ねたところSchmehi氏は、開発者はすでにDebianパッケージを作成する際に行動規範を守る努力をしているということを指摘した。同じことがブースでのボランティアにも当てはまり、ブースのボランティアになるための最低限の基準として行動規範が必要だとのことだ。

 また、コンファレンスの最初の1時間を過ぎても配布用のCDの在庫がなくならないように、CDにわずかな料金を課してはどうかという提案もあった。これについてSchmehi氏は、CDはやはり最低価格の寄付、すなわち0セントで提供することが望ましいと答えた。

 Schmehi氏は、訪問者にDebianを覚えてもらうためにはポスターやビラなども大切だと指摘した。また参加者からも、繰り返し再生しておくためのスライドもあるべきだという提案が出ていた。

 またもし可能であれば、(数分ブースを離れるとしても)少なくとも一人のDebian開発者がブースにいると望ましいと指摘した。Schmehi氏によると、GPG鍵に署名してもらいDebian keyringに入れてもらうためだけにDebianブースまでわざわざ遠方からやって来る人もいるのだという。またSchmehi氏は、訪問者にメモを書いて渡すことができるように紙とペンも用意しておくようにアドバイスした。

 Schmehi氏は、様々なコンファレンスのブースを写した3つの写真を見せた。最初の写真には、あまり服を着ていない女性の壁紙が表示されたノートPCのまわりに人だかりができている様子が映っているもので、Schmehi氏がこのブースの問題点は何かと参加者に問いかけた。参加者は技術者ばかりだったため、最初に指摘された点は壁紙についてではなく、ブースの係の人がコンファレンスの通路に対して背を向けているという点だった。また別の問題点として、何についてのブースかを明らかにするためのポスターなどが展示されていないという点なども指摘された。

 Schmehi氏が警告した点の中には、デモ用のコンピュータを使用するためのパスワードをブースにいる全員が持っていることを確認するということもあった。そうでなければ、訪問者がブースに来てデモを見たいと言っているのに、その場にいるボランティアの誰もデモを実行することができないという気まずい雰囲気になってしまうとのことだ。

 ボランティアがブースの仕事から外れて休憩を取ることができるように、ブースに複数の人員がいるということも大切だという。またSchmehi氏によると、ボランティアのために食物と休憩時間を確保しておくことも非常に重要で、そうしておかなければ一日の終りにはボランティアは不親切で怒りっぽくなってしまうのだという。またSchmehi氏は、ボランティアが各コンファレンスや展示会に相応しい服装をするように確認しておくことを勧めた。例えばビジネスマン向けのコンファレンスでは、開発者向けのコンファレンスよりもきちんとした服装をする必要がある。また目に付かない場所にボランティアの私物を置くための場所を用意しておくと良い。さらにSchmehi氏は、人々が知りたがっていそうなことを前もって予測して準備しておくのも良いとアドバイスした。ブースについてのFAQやブース情報について詳しくは、Schmehi氏によるイベントハウツーやDebianブース情報ページを参照して欲しい。

 最後に参加者の一人が、最も重要なこととして、招待されて引き受けたのなら当日ちゃんと来て欲しいと述べた。

今後の予定

DebConf 8はアルゼンチンで開催される予定だ。2009年のDebConf 9コンファレンスは、今のところ唯一候補地として名乗りを挙げているスペインのエストレマドゥラ地方で開催されることになる可能性が最も高い。

NewsForge.com 原文