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ユーザビリティの第一人者が語るWebデザインのベスト・プラクティス――「まずはユーザー評価の実践を!」

2007年06月29日 17:18 [IDG-2007/06/29]
 ユーザビリティの専門家であるスティーブ・クルーグ氏が、このほどIDG News Serviceのインタビューに応じ、Webページをデザインするうえでのベスト・プラクティスと陥りやすい失敗について語ってくれた。同氏は、コンサルタント会社アドバンスド・コモンセンスの経営者で、『ウェブユーザビリティの法則――ストレスを感じさせない作法とは』(原書名:Don't Make Me Think ! A Common Sense Approach to Web Usability)の著者でもある。

ホアン・カルロス・ペレス
IDG News Service マイアミ支局

――Webサイトのユーザビリティを高める方法を教えてほしい。

 いたって簡単だ。外部のユーザーにユーザビリティを評価してもらえばよい。複数のユーザーを招いて目的のWebサイトにアクセスしてもらい、その様子を観察する。これこそベスト・プラクティスだ。このテストを、Webサイトのデザインと並行して徹底的に行う。これは、なるべく早く始めたほうがよい。新しいデザインが完成してからでは遅すぎる。

 なぜこうしたテストが必要かと言えば、Webデザイナーが独り善がりに陥ることを避けるためだ。それには、そのサイトについて何も知らない人に使ってみてもらう必要がある。これが、わたしが提唱する唯一かつ最良のプラクティスだ。

――ユーザーの投稿によるコンテンツ、いわゆるUGC(User-generated Content)は、Webデザインとユーザビリティにどのような影響を与えているのか。UGCをWebデザインに正しく取り込む方法は?

 今日、だれもがUGCを(自分たちのサイトに)取り込む必要性を感じている。今もどこかの会社の会議室で、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)への対応をめぐって話し合いが行われていることだろう。しかし、一部で人気があるからといって、すぐにそれを採用するという考えは大抵間違っている。自分たちの組織に適切かどうかも考えずに流行に飛びつく姿勢は考えものだ。

 SNSを検討するうえで、ユーザビリティの問題よりもはるかに重要なのが、それが自社にとって有効か否かを判断する戦術的または戦略的決定だ。SNSが組織にどれだけ適切かを見極め、導入するにあたっては必要な管理リソースを確保しなければならない。これらは、かなり骨の折れる仕事である。それに比べれば、ユーザビリティなど大した問題ではない。

――ここ1年あまり、ビデオ・コンテンツの人気が高まっている。Webデザインもこの影響を受けているのか。

 つい最近まで、ビデオ・コンテンツが埋め込まれたページにアクセスしたときのユーザーの反応は、「おもしろそうだけど、自分はうまく使えないからやめとこう」というものだった。ビデオについては、「決してダウンロードしない」あるいは「ダウンロードに時間がかかりすぎる」、さらには「特殊なプラグインが必要」と考えるユーザーがほとんどだった。

 しかし、YouTubeの登場でビデオ・コンテンツへのイメージは一変した。ビデオのスムーズな再生を可能にするYouTubeは、あっという間に市民権を得た。従来のビデオ・コンテンツのように、映像が急に動かなくなったりすることもない。

 人々はある日突然、ビデオ・コンテンツに関心を示したわけではない。YouTubeのようなビデオ共有サイトを求めていたのだ。自分のサイトにビデオ・コンテンツを用意するのであれば、YouTubeをお手本にするべきだろう。

――ユーザビリティの観点から見て、企業サイトは以前よりも改善されていると考えているのか。

 5年前と比べれば、明らかに良くなっている。とはいえ、どの企業のサイトでも、ユーザビリティ絡みの問題が少なくとも1つはある。しかし、それは「デザイン」という名のゲームが持つ特性だろう。

 どのサイトでも、大抵はユーザービリティの問題が即座に見つかる。ユーザビリティの問題は隠れているわけでもないし、複雑で難解なものでもない。Webデザインと少々絡まっているだけなのだ。

 ユーザビリティに関して何が問題かがはっきりすれば、サイトが抱える課題を解決できるチャンスは大きくなる。「ユーザーによるユーザビリティ評価」をわたしが提唱しているのは、こうした理由からだ。

――あなたが繰り返し目にする、各サイトに共通するユーザービリティの問題とは?

 よく目につくのが、トップページでサイトを説明する姿勢が非常に控えめであるという点だ。サイトのオーナー、読者ターゲット、掲載コンテンツの概要がひと目でわからないWebサイトが多すぎる。これは、サイト・オーナーが「だれもが知っているサイトだから、あらためて説明する必要はない」という前提に立っているからだ。

 サイト・オーナーは、ビジターに自分自身をもっと明確に説明しなければならない。そのためには、すべてのページのヘッダ・スペースにタグラインなどを設けることが有効な手段の1つとなる。トップページ上部のコンテンツ・スペースの冒頭部分に小さな宣伝文を入れるのもよい。

 それでもサイト・オーナーはこう言うだろう。「サイトのトップページにそんな細工は必要ない。ユーザーのほとんどはGoogle検索でこのページにアクセスしており、トップページにはアクセスしないのだから」と。しかし、Google検索によって特定のページを訪れたユーザーが次にどのような行動に出るのかと言えば、多くの場合、トップページを開く。これは事実だ。

――サイトのユーザビリティを改善するにあたり、ROI(投資利益率)目標を立てるべきなのか。

 具体的な数値を算出するのはかなり難しい。しかし、サイト・デザインの再設計を提案するのであれば、何がどう改善されるかという具体的な目標を掲げるべきだろう。

 サイト・デザイン改善プロジェクトを成功に導くカギは、問題解決に集中し続けることにある。サイトの外観を良くしたり、目新しくしたりするだけではだめだ。デザイン改善にあたっては、手間だけでなく多大なコスト、それにユーザーからの抵抗もいくぶん伴う。人は本来、「変化を嫌う」からだ。

 あらかじめROI目標を掲げるべきか否か、わたし自身は明確な答えを持っていない。しかし、改善したWebページの紹介のしかたについては熟知しているつもりだ。

 まずは、既存ユーザーに新しいデザインのプレビューを見てもらうことだ。出来上がりをいきなり本番環境で披露してはならない。「現在デザインを改善中です」と記したリンクを設け、正式立ち上げの前にその一部をクリック・スルーしてもらう。

 こうしたプロセスを踏むことで、意見を求めていることがユーザー側に伝われば、彼らの抵抗感も和らぐはずだ。また、ユーザーがなぜ特定の要素を嫌うのか、その理由を見つけることができるかもしれない。ユーザーからのフィードバックを事前に得られれば、人々の習慣に反するデザインを避けることはさほど難しくないはずだ。

(Computerworld.jp)

提供:Computerworld.jp

最終更新:2007年07月01日 19:05