今後の活動
GPLv3の最終リリースを行なった今、FSFの最重要事項の一つは、今後数ヵ月以内にGPLv3に移行することをGNUプロジェクトの開発チームに対して奨励するということになる。また、ネットワーク越しでフリーソフトウェアを利用する場合のためのGPLの変種であるAffero GPLライセンスと、GFDL(GNUフリー文書利用許諾契約書)の改訂版も間もなく完成する予定だ。さらにFSFは、フリーソフトウェア活動家の活動をコーディネートするためのLibrePlanetというプロジェクトをこの秋に開始することも計画している。
とは言えBrown氏によると、GPLv3ではこれまでに多くの文言が変更され、また批判もあったことから、現在のところ次の大きなステップは最終的にできあがったGPLv3を人々に理解してもらうことだという。Brown氏は「われわれはGPLv3のプロセスが終わったとは考えていない。ある意味、今日でやっと必要な文言を揃えることができただけだ。つまりこれからようやく作業が始まるのだとも言える。人々にGPLv3を理解してもらうためには、実際の文言自体を用意すること以外にもたくさんのやるべきことがある」と述べた。
ライセンス関連の情報を追跡するアプリケーションなどの製品を提供しているソフトウェアベンダのPalamidaは、5,500を越えるプロジェクトがGPLv3への移行を予定していると見積もっている。しかしBrown氏は、GPLv3の採用は徐々にしか行なわれないだろうと考えている。「GPLv3は今後何年間にも渡って使用されることをねらって作成されている。そのため、誰も彼もが今すぐに移行するとは期待していない。とは言っても時が経つにつれて人々が移行の利点を理解してくれることを願っている。しかし実際にどうなるかは数年後までわからないだろう」。
Brown氏はこの18ヶ月間を振り返って、Torvalds氏やその他のカーネル開発者から激しく異議が唱えられたことを残念に思っているという。しかし意見のやり取りにより、(Brown氏の表現によると)プログラマに選択肢を与えることを主眼としているオープンソース支持者たちと、ユーザの自由を広げることを主眼としているフリーソフトウェア支持者たちとの違いが明確になったと指摘した。
Brown氏は「GPLv3策定プロセスの中でもっと多くの時間をカーネルハッカーたちとのコミュニケーションに当てることができれば良かったと皆思っていると思う。そうすれば『こちら側の人たち/あちら側の人たち』的なアプローチではなく、もっと生産的な議論を行なうことができたのかもしれない。その点はいろいろな意味で残念だった」と述べた。
またBrown氏は「一方で、彼らが本当に望んでいることをはっきりさせるために長い時間がかからずに済んだという意味で、議論が先に進むことになったという観点からは良いことでもあった。私たちは、GPLv3とTivo化についてのLinus Torvalds氏の考えを極めてはっきりと把握することができた。彼は、Tivo化に問題はないと考えているのだ」とも続けた。
さらにBrown氏は「GPLv3の策定プロセスの副次的な効果として今や、より多くの人々が、自分たちが使用しているのはLinuxというカーネルを採用した『GNUオペレーティングシステム』であるということを理解するようになった。また、カーネルやオペレーティングシステムの背後にあるライセンス問題や主義主張についても知ることになった。そういう意味で私としては、これまでのところGPLv3は教育的な観点からは大成功だったと思っている」と述べた。
Brown氏はまた、他のプロジェクトがライセンスを改訂する際には今回のGPLv3の改訂プロセスを参考にして欲しいと思っている。「一般の人々の意見に耳を傾けるという今回の体験が他のプロジェクトにも引き継がれて行くと思いたい。このような問題をコミュニティ全体と議論することは非常に有益なことだと思う。そのようなプロセスは、フリーソフトウェアという公共物にとっては不可欠のことであり、他の大きなプロジェクトがライセンスを改訂する際には是非検討すべき事柄だ」。
なお、GPLv3はOSI(Open Source Initiative)の認定を受けるためにOSIに提出されたとのことだ。
Bruce Byfieldは、NewsForge、Linux.com、IT Manager's Journalへ定期的に寄稿するコンピュータジャーナリスト。
