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「ストレージ2.0」いよいよ発進――ストレージもWebベースの時代に

2007年07月03日 16:38 [IDG-2007/07/02] 1 2 3
 「ストレージ2.0」が単なる概念の域を脱し、いよいよ実用に供され始めた。最大の売りは、その安さと手軽さで、バックアップやアーカイブ用のセカンダリ・ストレージとしては、今後最も有望な選択肢となっていくことも十分に考えられる。本稿では、そんなストレージ2.0を支える技術と、そのメリット/デメリットについて詳しく解説してみることにしたい。

ロバート・シャイアー
Computerworld米国版

 米国Forrester Researchのアナリスト、アンドリュー・ライヒマン氏によれば、通常、株取引や航空券予約といった基幹業務アプリケーション向けのプライマリ・ストレージにかかるコストは、ハードウェアとソフトウェアの購入費用だけで1GB当たり50ドル以上にもなるという。バックアップやアーカイブ用のセカンダリ・ストレージのコストはそれよりはかなり安いが、それでも1GB当たり15~25ドルにはなる。

 ところが、オープンソース・ソフトウェア、低価格ハードウェアを使った分散ストレージ、それにWebを組み合わせた場合の(つまり、いわゆる「ストレージ 2.0」のサービスを利用する場合の)月額ストレージ・コストは、1GB当たりわずか15セントにすぎない。また、それを使ってデータをアップロード/ダウンロードする場合の料金も、1GB当たり10~20セント程度でしかない。

 こうしたコストを見るだけでも、ストレージ2.0の優位性は明らかだ。

 だが、それだけをもってして、現状のFibre Channelストレージ・エリア・ネットワーク(SAN)が直ちに不要になると結論づけるのは、いささか早計に過ぎる。というのも、Webベースのストレージ・サービスには、オンライン・トランザクション対応アプリケーションや膨大なデータベース・クエリに必要なパフォーマンスが得られないという弱点があるからだ。それに、ストレージ2.0には、セキュリティに関する懸念もある。インターネットという雲海に漂うノードに、自分たちのデータを預けることに対して不安を感じる企業も少なくないのだ。

 それでも、そうした不安を払拭するような有望な新技術が登場すれば、既存のストレージ・ベンダーが提供しているプロプライエタリで高価なストレージ・ハードウェア/ソフトウェア製品に対する企業の依存度は、急激に低下することになるかもしれない。

ストレージ2.0時代を切り開くテクノロジー

 新しい時代のストレージ・プラットフォームを支える「第1のテクノロジー」は、「オープンソース・ストレージ・ソフトウェア」である。この技術は、オープンソースのバックアップ・ソフトウェア「Amanda」やハードディスク消去ユーティリティ「Darik's Boot and Nuke (DBAN) 」などのような、特定のストレージ機能を実現するツールとして提供されている。ストレージ・インフラの基本構造を構成するオープンソースのネットワーク・ファイル・システムである「Lustre」、「OpenAFS」、「SAMBA」なども、この第1のテクノロジーに含まれる。

 「第2のテクノロジー」は、「分散グリッド/クラスタ・ベースのストレージ・アーキテクチャ」と「洗練されたサービス」である。前者は米国の新興企業Cleversafeが提案する技術であり、後者は、すでに確固としたユーザー基盤を築いているBerkeley Data Systemsのオンライン・バックアップ・サービス「MozyPro」などで採用されている。

 「第3のテクノロジー」は、こうしたアーキテクチャで、ハイエンド・ストレージ・アレイの代わりに「業界標準のサーバとディスク・ドライブを採用すること」である。

 ここで、この3つのテクノロジーを使った「ストレージ2.0システム」をいくつか見てみよう。

 まず最初に紹介するのは、Berkeley Data SystemsのMozyProだ。このサービスは、同社データ・センターに設置された「ホワイト・ボックス」(ノーブランド)サーバで稼働するストレージ・クラスタリングとファイル・サービング・ソフトウェアによって構成されており、データはサーバの内部ディスク・ドライブに保管されるようになっている。同サービスの利用料金は、デスクトップまたはサーバ1台当たり4ドル/月、データ保管料は1GB当たり50セント/月である。

 なお、オンライン・ストレージ・プロバイダーの多くは顧客のデータを保護するために2重にコピーを取っているが、Berkeleyの製品担当副社長、バンス・チェケッツ氏によれば、同社のソフトウェアは、オリジナル・データの33%をコピーしておくだけで、必要に応じて全オリジナル・データをリストアできるようになっているという。つまり、ほかのプロバイダーが稼働中のアプリケーションの分も含めてオリジナル・データの300%を保管しておかなければならないのに対し、Berkeleyの場合は133%を保管しておくだけで済むわけだ。

 従業員29名の新興企業、Cleversafeの場合は、さらに保管量をセーブできるという。というのも、同社が現在アルファ・テスト中のソフトウェア(Cleversafe)では、独自のアルゴリズムを使って暗号化されたデータを11の「スライス」に切り分けて分散サーバに保管するようになっているからだ。また、同じアルゴリズムを通せば、スライスからオリジナル・データを再生することも可能だし、スライスを組み合わせることによって、さまざまな有用情報を生み出すことも可能である。

 CleversafeのCEO、クリス・グラッドウィン氏によれば、このように、ファイル全体をバックアップ/アーカイブ/リストアする必要がなくなるので、基幹情報を保護するために保管するデータの量を、オリジナル・データの130%に抑えることができるという。

 また、このデータ・スライシングの手法を使えば、ファイルのコピーを丸ごと保管することがなくなるため、データが盗まれたり破壊されたりといった危険性が薄まる。つまり、この手法は「本質的にセキュアな技術」(グラッドウィン氏)だというわけだ。さらに、Cleversafeでは、11ノードのうち5ノードに障害が発生してもデータを復旧することが可能であり、可用性にも優れている。

 米国テキサス州ヒューストンに本拠を構えるホスティング会社、プラネット・ドットコムは、旧式サーバを使って低コストのストレージ・グリッドを構築するために、 Cleversafeを導入することを検討しているという。「ディスク・ドライブを適切にアップグレードしても、3~4年のライフサイクルを保つのが精一杯だ。だったら、Cleversafeを導入したほうがよい。そうすれば、5~6年のライフサイクルが得られるだけでなく、(スライシングで)節約できたストレージを、顧客に提供することもできる」(同社のCEO、ダグ・エドウィン氏)というのが、その理由だ。

 もっとも、Cleversafeのメリットは「低コスト」だけではない。イリノイ州シカゴにあるネットワーク・コンサルティング会社、オンショア・ネットワークスの創業者兼社長であるステリオス・バラバニス氏は、同社の顧客の間では、「低コスト」よりも「高セキュリティ」というCleversafeのメリットほうが魅力的に映るだろうと見る。

 なお、クレバーセーフは、グリッドに保管する「余分な」コードをさらに少なくする機能や、ユーザーとアプリケーションがグリッドを「ネットワーク・ドライブ」としてとらえる機能を今年末にも提供する予定であり、オンショア・ネットワークスとプラネット・ドットコムはこれらの新機能の登場を待って今後の方向性を決めることにしている。

 現在、世界で最大のオンライン・ストレージ・サービス・プロバイダーは、おそらくAmazon.comであろう。Amazon Web Servicesの製品管理/ディベロッパー・リレーションズ担当副社長アダム・セリプスキー氏によれば、同社のストレージ・サービス「Amazon S3」は、「複数の場所に点在する複数のアレイによって構成されているストレージ・サーバに、顧客データのコピーを複数保管している」という。ちなみに、利用料金をかなり低めに設定している同サービスの顧客ターゲットは、「革新的なアプリケーションを実験的に構築しているディベロッパー」(同氏)である。

 なお、S3のストレージ利用料金は1GB当たり月額15セント。また、アップロード料金は1GB当たり10セント、ダウンロード料金は同13~18セントとなっている。

ストレージ2.0とは?

  • 定義:「オープンソース・ソフトウェア」、「グリッドまたはクラスタ・ストレージ・アーキテクチャ」、さらには「低価格の標準ハードウェア」を使ってWeb経由で提供されるストレージ・サービス。
  • メリット:非常に低コストで、管理がしやすく、高度なスケーラビリティが得られる。
  • デメリット:ハイエンド・アプリケーションに必要なパフォーマンスと信頼性を得ることができない。顧客によってはセキュリティ上の懸念が生じる可能性もある。
  • 結論:少なくとも、バックアップやアーカイブなどのセカンダリ・アプリケーション用として検討する価値はある。また、将来的には企業のファイアウォール内への導入も考えられる。
最終更新:2007年09月02日 17:07
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