GParted-ClonezillaライブCDでパーティションとディスクを管理する

 パーティションやハードディスクのバックアップといえば、それなりに大変な仕事というイメージがある。だが、Clonezillaを試せば、その認識は変わるはずだ。Clonezillaでは、さまざまなフォーマットのパーティションや幅広いサイズのハードディスクを、ローカルまたはネットワーク経由でクローニング(複製)することができる。

 もっとすばらしいのは、面倒なコマンドをまったく入力せずにすべての作業が行えることだ。さらに、ClonezillaはGParted-ClonezillaライブCDの一部として利用できるので、インストールする必要さえない。

 ほとんどのデスクトップユーザは、ハードディスクやパーティションのバックアップを毎日は行っていない。しかし、ときには、パーティションの空きディスク領域を使い切ってしまうこともある。他のパーティションが隣接していて領域を増やせない場合は、別のハードディスク、または同じハードディスクの空き領域に移すことが可能だが、それは口で言うほど簡単なことではない。

 システム管理者ならたやすく解決できる問題かもしれないが、大半のデスクトップユーザは、この状況に面食らってしまうだろう。必死になってGoogleで簡単な解決方法を探し出しても、ほぼすべてのデータをリムーバブルディスクにバックアップしてハードディスクのパーティションを切り直し、ディストリビューションを再インストールして、データのリストアを行うとなると数時間はかかるはずだ。だが実は、もっと手軽な方法がある。

 GParted-ClonezillaライブCDは、サイズがわずか131.5MBというGentoo-catalystベースのディストリビューションで、XサーバとしてXorg、軽量なウィンドウマネージャFluxbox、改良された2.6シリーズのLinuxカーネルを採用している。 このライブCDはサイズが小さいため、Celeron 500MHz以上のプロセッサを搭載したマシンであれば快適に動作させることができる。

 GParted-ClonezillaライブCDには、ClonezillaとパーティションエディタGPartedの両方が含まれている。GPartedツールのほうは、空き領域を利用したパーティションのサイズ変更に利用できるほか、パーティションをバックアップした後のハードディスクの再構成に役立つ。また、既存パーティションの削除、新たなパーティションの作成、パーティション形式の変換も行うことができる。

 GPartedが対応しているファイルシステムの形式には、ext2/3、FAT 16/32、NTFS、ReiserFS、JFSが含まれる。やりたいことがはっきりしていれば、GPartedの使い方は難しくない。実際に使うときは、図入りの詳しいマニュアル昨年のレビュー記事を読むとよい。GPartedの最近のバージョンでは、前方の空き領域にパーティションを拡げられるようになっているが、アプリケーション内部から利用できるヘルプはまだ用意されていない。

Clonezillaとは

 Clonezillaは、そのホームページによれば、プロプライエタリなNorton GhostやオープンソースのPartimageによく似たGPLライセンスのクローニングシステムとされている。しかし、こうした類似アプリケーションとは異なり、Clonezillaでは多数のハードディスクを同時にクローニングすることができる。ただ、そのためには、既存の環境設定を2点変更する必要がある。DRBL(Diskless Remote Boot in Linux)サーバを用意することと、すべてのコンピュータでネットワーク経由のブートを有効にすることである。

 しかし、家庭や小さなオフィスで急を要する場合には、専用のサーバを立ち上げる代わりに、ライブCDを使ってマシン間を行き来しながらパーティションのバックアップとリストアを行ってもよい。ClonezillaはライブCDからも使えるため、個々または複数のパーティションをバックアップ/リストアしたり、ローカルディスクや外部USBストレージにハードディスクをコピーしたり、あるいはそうした作業をSambaやSSHを利用してネットワーク経由で行うこともできる。

 Clonezillaを使うことのもう1つの利点は、サポート対象のファイルシステム(ext2/3、ReiserFS、XFS、JFS、FAT、NTFS)であれば、パーティションやディスク全体をバックアップするのではなく、使用中のブロックだけを保存できることだ。これにより、クローニングとリストアの処理が高速化されるだけでなく、バックアップに必要な容量も少なくなる。

ライブCDのブート

 GParted-ClonezillaライブCDのパッケージ化と配布は、GPartedプロジェクトによって行われている。Clonezillaプロジェクトには、ClonezillaだけのライブCDも用意されている。本稿では、最新のGParted-ClonezillaライブCDであるバージョン1.9を使用した。

 GParted-ClonezillaライブCDをダウンロードしたら、CDに焼いてブートする。すると、GRUB画面に23のオプションが表示される。最初の11個のオプションは、AppleのMacBookからHewlett-PackardのノートPCまで、あらゆる種類のハードウェアでGPartedを実行するためのものである。ほとんどのユーザは、デフォルトの最初のオプションでうまく実行できるはずだ。

 次の5つのオプションは、Clonezillaに関するものである。これらのオプションを使って、ClonezillaをメモリにコピーすることでCD/DVDドライブを空けたり、どんな環境でも実行できるようにオプション数を最小にしたりできる。やはり、ほとんどのユーザは、単純にClonezillaを実行するだけのデフォルトオプションを選ぶことになるだろう。最後の7つのオプションは、GPartedかClonezillaのどちらかのブートをスキップして、ハードディスクにインストールされているオペレーティングシステムに制御を渡すものだ。

Clonezillaを使ったパーティションとディスクのコピー

 Clonezillaをブートすると、まず言語とキーボードレイアウトの設定について基本的なことを尋ねられる。英語とUS配列のキーボードを使うなら、デフォルトのオプションを選択すればよい。続いて、Clonezillaをコマンドラインから実行するかどうかを訊かれる。Clonezillaを使い慣れたユーザであればシェルに移行してもよいが、そうでなければ「Start_Clonezilla」というオプションを選択する。

 次はいよいよ、バックアップに影響する最初の質問に移る。ここでは、バックアップイメージの保存先となるディレクトリを選択する。選択肢として、ローカルドライブ、SSHサーバ、Sambaサーバが提示される。ローカルドライブのマウントを選択した場合、次の画面には、コンピュータに取り付けられたUSBドライブのパーティションも含めて、ローカルドライブで利用可能なパーティションの一覧が表示される。言うまでもないが、ここでバックアップ対象のパーティションを選択してはならない。ローカルドライブのマウントではなく、SambaまたはSSH経由でのリモートパーティションのマウントを選択した場合は、サーバ名かIPアドレス、ユーザ名、パスワードのような関連する接続情報を尋ねられる。

 ローカルまたはリモートのパーティションを選択すると、Clonezillaによってマウントが行われ、ディスク使用状況が表示される。続いて、ディスクの保存、ディスクのリストア、パーティションの保存、パーティションのリストアという4つのオプションが画面に表示される。どの保存オプションを選んでも、その後には詳細な4つのClonezillaパラメータが現れる。ほとんどの場合は、それぞれデフォルトのオプションを選べばよい。ここでは、NTFSパーティションをクローニングするntfscloneの使用とクローニング実行前の確認表示がデフォルトになっている。

 次に、圧縮のスピードとサイズを重視する割合を4つのオプションから選択する。最初のオプションは、圧縮をまったく行わないので最も高速なクローニングができる(その代わりバックアップイメージは大きくなる)。2番目と3番目のオプションは、それぞれgzipとbzip2を使って、最小のバックアップイメージを作成するが、完了までの時間は長くなる。最後のオプションは、gzipとともにLZ0圧縮を使用してクローニングをもう少し速くしたもので、これがデフォルトになっている。

 最後から2番目の手順では、バックアップ先フォルダの名前を選択する。デフォルトでは、そのときの日時に基づいてフォルダ名が決まるようになっている。そして最後に、バックアップ対象のハードディスクまたはパーティションをリストから選択する。Clonezillaでは、マウントされていないパーティションしかリストに表示されない。そのため、バックアップしたいパーティションがリストにない場合は、これまでの手順で、そのパーティションまたはそのパーティションが存在するハードディスクを誤ってバックアップ先として選択してしまった可能性がある。その場合は、Clonezillaを終了し、最初からやり直す必要がある。

 クローニングに関する設定は以上である。先ほど、クローニング実行前の確認を求めた場合は、作業を進めてよいかどうかの問い合わせがある。バックアップ対象パーティションのサイズと圧縮方法にもよるが、クローニングにはそれなりの時間がかかることもある。今回、私はFAT32、ext3、swapの各パーティションを1つずつ、合わせて2.3GB分のバックアップを行った。Clonezillaで上記のハードディスク全体をUSB 2.0ドライブにバックアップするのに約9分かかり、バックアップ後のサイズは、デフォルトの圧縮方法で950MBになった。

パーティションとディスクのリストア

 パーティションのバックアップが済めば、GPartedを使って、ハードディスクに手を加えたり、新しいハードディスクを用意したりすることが可能になる。GPartedの使い方はすでにまとめられているので、ここでその手順を繰り返すことはしない。ハードディスクを準備したら、パーティションのリストアを行うことができる。

 バックアップしたパーティションやハードディスクのリストア処理は、クローニングのときとそれほど違いはない。やはり、言語とキーボードに関する質問に答えるところから始まる。ただし、バックアップ先のリソースを選択する代わりに、リストア対象のバックアップイメージが収められているローカルまたはネットワーク上のリソースを選択することになる。

 リストアするパーティションまたはディスクを選択すると、Clonezillaによって、ディスクのリストアの場合にはマスタブートレコードの内容の再インストールに関するオプションなど、13種類のパラメータのリストが表示される。Clonezillaは私のディスクを元通りに復元してくれたが、以前のKnoppix 3.7ディストリビューションで利用していたLILOブートローダの再インストールはできなかった。これは、GRUBについても同じである。私の環境では、ディスク全体のバックアップとリストアを行わない場合は、ブートローダが適切にリストアされなかった。だが、ブートローダは、ライブレスキューCDを使えば、簡単にディスクに追加できる。

 Clonezillaの真の利点が明らかになるのは、個々のパーティションをリストアするときだ。ほとんど空き領域がなくて前後を別のパーティションではさまれたパーティション(仮に、1GBのsda1とする)がある場合は、まずはこのパーティションをクローニングし、GPartedを使って別のディスクに移して、もっと大きな20GBのsda1パーティションを作ることができる。あるいは、sda1をクローニングした後に、GPartedを使ってsda1のすぐ後ろにあるパーティションを空いた領域にまで拡げ、ディスクの末尾にsda1パーティションを作ることもできる。あとは、Clonezillaを使って、バックアップした古い1GBのsda1パーティションを、新たに作成した20GBのsda1パーティションにリストアすればよい。リストアが完了すれば、1GBのパーティション上にあったすべてのデータが、同一または別のディスク上のより大きなパーティションに移行されているわけだ。ただし、パーティションのリストア中に表示される詳細な項目から、「クライアントのターゲットハードディスクにパーティションを作成しない(Do not create partition in target hard disk in client)」というオプションを忘れずに選んでおくこと。そうしないと、Clonezillaによって20GBのパーティションのサイズが元の1GBに変更されてしまう。

まとめ

 ホームユーザや少数のシステムを抱える管理者にとって、GParted-ClonezillaライブCDは、ハードディスクを管理するための優れたツールである。新しいディスクを用意したり、ディスク間でパーティションを移行したりする際には、何時間も節約することができる。また、前後に空き領域のないパーティションを、より大きなパーティションに手間をかけずに移動させるすばらしい手段でもある。

 しかし、GPartedもClonezillaも危険を伴うユーティリティであることを忘れてはならない。これらを使いこなせるようになるには、仮想ディスクや仮想パーティション、それに重要でないデータを使って仮想マシン上で試すことを考えるとよい。普通にパーティションやディスクをコピーするだけなら、難しいパラメータを使う必要はない。Clonezillaプロジェクトはマニュアル類をほとんど用意していないため、このアプリケーションを使う際にはポイントをまとめたメモを自分で作り、具体的な使用状況に合わせて選択すべき詳細なパラメータを挙げておくことを勧めする。こうした準備は、パーティションをクローニングして別のディスク上のより大きなパーティションに移すといった、特定の種類のパーティション管理作業を定期的に行う必要がある場合に役立つ。

Linux.com 原文