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プロプライエタリのくびきから逃れよ!
16年前(GPLv2がリリースされた1991年6月)と今回との最大の違い、それはフリー・ソフトウェア(あるいはストールマン氏)が、「企業」をターゲットに据えたことだ。今回のイベントで、ストールマン氏は、大勢のGPLマニアを前に、「規模の大小にかかわらず、あらゆる企業はフリー・ソフトウェア・プログラムを導入すべきだ」と力説したのである。
例えば、MicrosoftのWindowsに代表されるプロプライエタリ・システムの代わりに、同氏が推進するGNU OSを導入すれば、ユーザー企業は骨の折れるアプリケーション開発やセキュリティ上の問題解決を、ベンダーに依存しなくても済むようになる、というのがその理由だ。その裏には、企業がフリー・ソフトウェアの採用にもう少し前向きになってくれれば、Windowsのようなプロプライエタリ製品が市場にかけている“縛り”を解き放つことができるはずだという、ストールマン氏の思いがある。その思いが、同氏に、次のような言葉をはかせるのだ。
「企業ユーザーといえども、自分たちが使うソフトウェアに関しては、すべてのユーザーと同様、自由の権利を持つべきだ。企業が、自分でコントロールできないプロプライエタリ・ソフトウェアを使うのは、愚かとしか言いようがない」
「世の中には、『フリー・ソフトウェアは利便性の点でプロプライエタリよりはるかに劣る。したがって、プロプライエタリからフリー・ソフトウェアへの移行は不可能だ』と主張する企業が、まだ少なくない。だが実際には、企業のさまざまなニーズにこたえることのできるフリー・ソフトウェアがすでにたくさん提供されているのだ」
プロプライエタリの象徴「Vista」
プロプライエタリ・ソフトウェアの中でも、ストールマン氏にとって最も大きな存在、それはもちろん「Vista」(そして、ベンダーとしてのMicrosoft)である。当然、今回のイベントでもMicrosoft“口撃”、Vista“口撃”の舌鋒がさえ渡った。
曰く。
「旧バージョンのコンピューティング・デバイスやアプリケーションのサポートを打ち切ってしまうMicrosoftの慣行は、“強制アップグレード”という終わりのないサイクルに企業を封じ込めてしまうものだ。よって、こうしたシステムは違法とみなすべきである」
また、曰く。
「リモート・ソフトウェア・アップグレードなどのようなVista搭載機能には、Microsoftの意のままにエンドユーザーのコンピュータをコントロールし、操作する環境を作り上げてしまおうという“危険”が潜んでいる」
さらに、同氏は、MicrosoftやApple製品に組み込まれているDRM(Digital Rights Management:デジタル権限管理)技術に対しても反対姿勢を貫き通している。
だが、業界標準ともなっているMicrosoft製品と決別するとなると、企業は(たとえ一時的にではあるにせよ)多大な不便を強いられることになる。それに耐えてまでフリー・ソフトウェアに移行したところで、企業にはいったいどういったメリットが得られるというのだろうか。
ストールマン氏は、それこそが「自力でコントロールできる環境、自由の権利」であるという。「フリー・ソフトウェアは単なる『プロプライエタリ・ソフトウェアの代替選択肢』ではない。ユーザーの権利を倫理的に守る唯一の手段なのだ」というのが、同氏が口を極めて主張するところなのである。