Slackwareにはグラフィカルな設定ユーティリティがあまりなく、自動設定が行われない項目の一部はデスクトップ環境で設定できるようになっている。たとえば、私は適切なカーネルモジュールを読み込んだ後、KLaptopを使ってノートPCのバッテリ監視とCPUのパフォーマンスプロファイルの設定を行った。これらの設定は、サスペンドとハイバネーションのオプションこそ利用できなかったものの、それ以外の点では問題なく機能した。また、プリンタ設定用には、CUPSのブラウザインタフェースが用意されている。ただし、WPA(Wi-Fi Protected Access)を使った無線接続の設定や、画面の解像度調整などの作業では、標準の設定ファイルを使うか、コマンドラインを使わなければならなかった。
KDEのKpackageを使えばパッケージ管理が容易になるのだが、Slackwareでは、各種パッケージの追加、削除、アップグレードを行うためのメニュー形式のコンソールツールpkgtoolが基本的なソフトウェア管理ツールになっている。残念ながら、pkgtoolでは、相変わらずリモートサイトからパッケージをダウンロードできない。かつてはslapt-getやswaretをインストールしてその機能を利用できたのだが、これらのプロジェクトはずっとアップデートされていないようだ。pkgtoolを使ってソフトウェアをインストールするには、ローカルマシンにSlackware用のパッケージをダウンロードし、そのダウンロード先のフォルダを開く必要がある。Slackwareのリポジトリ以外にも、Linuxpackagesのようなサードパーティによるサイトや多くの個別プロジェクトがSlackware用のパッケージを提供している。また、各種ソースディレクトリから独自のSlackwareパッケージを作るためにpkgtoolを使用し、管理を容易にすることもできる。
今回のリリースには、slackpkgツールを使ってSlackwareをバージョン11.0から12.0にアップグレードする機能も用意されている。この機能の使い方はCHANGES_AND_HINTS.TXTファイルに記されているが、どうやら時間のかかる複雑なもののようだ。私には、必要なファイルをすべてバックアップしたうえで最初からインストールし直したほうが簡単で早く済むように思える。もちろん、この機能を使ってみたいという人は自由に利用することができる。
KDE以外のデスクトップ環境を選びたいという人のために、Slackwareには他のデスクトップも用意されている。たとえば、Xfce 4.4.1は、KDEと同じように元々の開発者が意図したとおりの形で提供されている。Xfceには、背景、アイコン、テーマ、ウィンドウ動作などに対するグラフィカルな設定項目が存在するため、そのカスタマイズはきわめて容易に行える。また、Fluxboxを選ぶことも可能で、これはライトウェイトなデスクトップ環境を必要とする誰もにとって申し分のない選択肢だ。その他にも、WindowMaker、Blackbox、FWMVが利用できる。以前のバージョンのSlackwareではサードパーティ製GNOMEパッケージも利用できたが、今回の12.0ではまだサポートされていない。
この最新バージョンにおけるあらゆる改善によって、Slackwareはこれまでで最高の仕上がりになっている。ハードウェアサポートや自動設定は、他のほとんどのディストリビューションと比べても遜色はない。また、各ソフトウェアで最新バージョンが利用できるようになっただけでなく、私が使ってきたなかで最も安定したシステムとしての座も今までどおりに維持している。ただ、今回のSlackwareには、パッケージ管理機能の制限、複雑なアップグレード手順、リムーバブルメディアのサポートの不具合、グラフィカルな設定ツールの欠如といった問題点もある。
それでもやはり、どこか懐かしさを感じさせ、ディストリビューションのなかで最も歴史があり、なおもシンプルさを追求しているという点で、これまでのSlackwareの伝統はこのSlackware 12.0にも受け継がれているといえよう。
