LightScribeソフトウェアの完成度の比較
LightScribe版のSimple Labelerは、その名が示唆する通りの機能しか装備していない。Simple Labelerで印刷できる円形のラベルでは、ディスクの上部と下部にテキストを配置する他に、オプションの境界線が追加できるようになっているが、ユーザが行える設定の変更は、テキストの文字列を除くと、フォントの指定(サイズ変更は不可)と数種類しか選択肢のない境界線だけなのだ。実際、このソフトを使う最大のメリットは2~4分で完了する比較的高速な焼き込み時間ということになるだろう。逆に言うと、Simple Labelerを使用する上で遭遇するであろうトラブルはほとんどなく、あえて挙げるなら/optのサブディレクトリにインストールされる実行ファイルの位置がわかりにくいことぐらいである。
一方のLaCieから提供されている4Lには、より多数のオプションが用意されている。4LのGUIバージョンを起動させるには4L-guiというコマンドを実行すればよく(そのインストール先はSimple Labellerとは対照的に通常利用する/usr/binである)、また、BMP、PNG、JPEG、GIFフォーマットで画像をインポートすることもできる。その他4Lの設定ウィンドウでは、こうした画像をディスクテンプレート上のどこに配置するかの指定および、タイトルや収録内容を記述する箇所の背景を白抜き表示する機能が用意されている。もっともこうしたオプションは無理をして使う必要はなく、OpenOffice.orgやGIMPなどのプログラムを利用すれば、タイトルや収録内容を書き込んだディスクテンプレートを基にしてより本格的なラベル用の画像を用意することも可能であり、そもそもLightScribeはそうした見栄えのいいラベル印刷をするために開発されたもののはずである。フルサイズのラベルを使用する場合は、LightScribeの対応ドライブの書き込み速度にもよるが、印刷完了までに20から30分は要すると覚悟しておけばいいだろう。
LaCie側のパッケージには、4L-cliというコマンドライン操作形式のラベラーも同梱されている。この4L-cliは、BMP画像だけしか扱えない点を除けばGUIバージョンと同等の機能を備えており、システム上のLightScribeドライブを一覧する「4L-cli enumerate」、指定ドライブを開く「4L-cli open ドライブパス 」、ソフトウェアのアップデートを実行する「4L-cli update」などの管理オプションも利用できる。
将来的な展望
LightScribeはSimple Labelerのリリースを「何が行えるかをデモンストレーションするため」としており、同社のHenscheid氏もこのアプリケーションにおける機能向上は最優先事項ではないとしている。同氏の説明するところによると、LightScribeテクノロジについては最終的な利益を得るための開発と業界標準化を目指した活動とが並行して進められており、どちらを優先するかと言えばライセンス保護につながるテクノロジ開発を重視しているとのことだ。一方の4Lを擁するLaCie側の説明では、ソフトウェア側から直接ラベルを追加する機能などの改善を検討しているとされている。
現状のLightScribeテクノロジは、むしろ必須のテクノロジでないが故に受け入れられているといった面があり、将来的にどの程度普及するかの不透明さは、特にGNU/Linuxにおいて厳しいものがあると見ていいだろう。Pettigrew氏は「Linux開発者の方々には是非とも弊社の提供するSDKを利用して、ラベル印刷用アプリを作成して頂きたいところです」と語っているが、大多数の人間にとってはプロプライエタリ系ライセンスの存在が最大のネックとなっているはずだ。
LightScribeのLinux版については、SDKが自由に使用できる点でWindowsおよびMac OS X版との差別化が図られているが、そのコアテクノロジに関しては依然としてクローズソースとされており、Pettigrew氏の言葉を借りれば“ブラックボックス”としての利用だけしかできない。HPによるこうした方針に関するPettigrew氏の説明は、LightScribeでは「弊社HPが数年がかりで開発したアルゴリズムが使用されており、それは主業務における知的財産と見なされているものです」ということであり、そうしたコードをHPが公開したがらないのに不思議はないということになる。もっとも同氏は「こうした方針に不満を抱いている方がおられるかもしれません」という点を認めている。「LightScribeテクノロジを利用したドライブを開発ないし使用されているプログラマやユーザの数はかなりの数に達しているはずですし、弊社としても使用を求める方々との意見交換を進めているところです」
同様の事情はLightScribeから使用ライセンスを取得しているLaCieなどのサードパーティ系ベンダにも当てはまり、こうしたGNU/Linux製品のソースコードが公開されない原因となっている。
このような制限付きでGNU/Linux用に開発されるLightScribeソフトウェアは、本質的にプロプライエタリ系テクノロジに依存しているという点でフリーライセンスであるとしていいのか非常に微妙な存在となるはずだ。このタイプのラベラーが多数登場した場合に最もあり得るシナリオとしては、現状のAcrobat ReaderやRealPlayerなどのプログラムと同じ扱いになり、多くのユーザに利用はされるが権利問題に敏感なディストリビューションには同梱されない、という形態で普及していくのではないだろうか。
Bruce Byfieldは、コンピュータジャーナリストとして活躍しており、Linux.com、IT Manager's Journalに定期的に寄稿している。
