Broadcom firmware cutterの使用法
firmware cutterは、Broadcomのワイヤレスカードに特化した使用が想定されている。この場合に使用されるドライバは比較的最近のLinuxカーネルに含まれるものだが、ここでは必要なファームウェアをWindowsおよびMac用のファイルから抽出するという処理が行われる(Windows用ドライバはbcm43xxという形式のファイル名であり、Mac用ドライバはbem43xx_mac80211という形式のファイル名になっている)。
firmware cutterの使用には、2.6.17-rc2以降のカーネルが必要となる。またndiswrapperの場合と同様、wireless-toolsをインストールしておくと、ワイヤレス接続の設定を簡単化できる。
この場合も、firmware cutterでサポートされているファームウェアのバージョンが、各自のワイヤレスカードで利用できるかを事前に確認しておかなければならない。ファームウェアのバージョンを確認するには、まず最初にlspciコマンドを実行して、最初の列に表示される自分のワイヤレスカードに関するエントリを書き留めておき、次に「lspci -vn」を実行して、先のコマンドで取得しておいた先頭列エントリの情報を基にワイヤレスカードの行を特定する。ここで表示される3ないし4番目の列には、コロンを挟んだ1組の4桁数値という形式で、ワイヤレスカードのChip IDが表示されているはずである。サポートされているカードについては、このIDの後半4桁の数値を基にした一覧が同プロジェクトのDevicesページに掲載されているので、ここで確認をすればいい。最新のコンピュータを購入したばかりで、そのワイヤレスカードがほぼ確実にサポートされているような場合でも、こうした事前のチェックは行っておくべきである。
以前にfirmware cutterを使用したことのある場合は、そのインストレーションに関するすべてを削除してクリーンな再インストールができるようにしておく。具体的な手順としては2通りの操作法が存在し、「modprobe -r drivername 」コマンドを実行するか、あるいは「echo 'blacklist drivername' >> /etc/modprobe.d/blacklist」を実行して、読み込み対象外とする一覧に当該ドライバを登録しておけばいい。また後々の混乱を避ける観点からは、前回ダウンロードしたすべてのファイルも削除しておくべきである。ただしndiswrapperの場合とは異なり、firmware cutterの再インストール前には旧バージョンを削除しておく必要はない。
firmware cutterのインストールについては、多くのディストリビューションがリポジトリからの直接インストールに対応している。また「checkout svn://svn.berlios.de/bcm43xx/trunk/sprom」コマンドを使用して、同プロジェクトの運営するリポジトリから最新バージョンをダウンロードすることもできる。
firmware cutterのインストール後に行うのは、Broadcomファームウェア本体を新規ディレクトリにダウンロードする作業である。こうしたダウンロードをする際の一般的なソースはOpenWrtリポジトリであるが、Ubuntuなど一部のディストリビューションではその他のソースを利用できるようになっており、またユーザフォーラムで探せばファームウェアのカスタムバージョンに関連する情報も取得できるはずだ。firmware cutterを使用する場合、こうしたカスタムバージョンのファームウェアの方がうまく行くこともある。
このようにしてダウンロードしたファームウェアについては、その格納ディレクトリに移動してから「/usr/bin/bcm43xx-fwcutter -w /lib/firmware wl_apsta.o」コマンドを実行する。なお、ファームウェアをカーネルフォルダに追加するため「bcm43xx-fwcutter -w /lib/firmware/`uname -r` ~/Desktop/wl_apsta.o>」コマンドの実行を推奨している解説を見かけたことがあるが、私の経験からすると、これを実行してもしなくても特に何の変化もないはずだ。
wireless-toolsを使用したワイヤレス接続に成功できたら、必要に応じて「modprobe drivername 」の追加をしておけばいい。ここでは完全を期するためにこの手順も敢えて紹介しておいたが、他の多くの解説で割愛されていることからも分かるように、この操作は必須の設定ではない。
まとめ
ndiswrapperおよびfirmware cutterに関するまとめとしては「100%の成功を期待してはいけない」と書かざるを得ないが、いずれのプログラムにしろ一度失敗したくらいであきらめてはいけない。使用するディストリビューションの関連メーリングリストやIRCチャンネルを探せば問題解決に役立つ情報が入手できるかもしれず、またこれらのプログラムをインストールする際にクリーンなシステムを使用することを心がけることで成功率の向上を期待することもできるからだ。またダウンロード元のソースや、ソフトウェアのバージョンやファイルを変更することで、結果が違ってくる場合もある。
かつてのDOSにおけるconfig.sysの存在意義が今では薄れたように、将来的にはこの種のプログラムの必要性もやがては廃れていくのかもしれないが、現状では多くのユーザにとってこれらを利用する以外の選択肢が存在していないのも事実である。その他、手元のコンピュータとワイヤレスカードが骨董品と化す前にネイティブなサポートのされる日が到来することに希望を寄せてひたすら待ち続けるか、あるいはネイティブにサポートされているカードに買い換えるといった手段を取れないこともないだろうが、そうした負担を回避できるかもしれない手段が存在する以上、その可能性に期待をする人間をむげに責めることもできないだろう。
Bruce Byfieldは、コンピュータジャーナリストとして活躍しており、Linux.com、IT Manager's Journalに定期的に寄稿している。
