インタフェース
Microsoft Office 2007におけるリボン導入の宣言によって、(その是非をめぐる意見のやりとりで)多くのキーボードが摩耗したに違いない。少なくとも1社の企業が、以前の外観をMicrosoft Office 2007に与えるためのプログラムを現在提供している。しかし、その表面的なごまかしの部分を取り払ってしまえば、リボンはメニューとツールバーを合わせたものに過ぎず、この変化に対して先入観を持たない人であれば大半の目的については20分もあれば操作に慣れることができるだろう。一番の問題はリボンのアイデアそのものではなく、1つのペインに関連する機能群をグループ化しているにもかかわらず、リボン上のアイテムの配置がよろしくないことにある。設定オプションが見つけにくかったり、機能によっては完全に不規則に配置されるものがあったり、以前はファイルメニューや編集メニューにあったコマンドが左上のタブとホームタブの左端および右端に分かれ、さらには挿入タブ上に無作為に放り込まれているものがあったりする。多くのユーザは、ファイルおよび編集メニューの一部はリボン領域の左側にある大きなロゴボタンの下にあったほうがよい、と思うのではないだろうか。
OpenOffice.orgのWriter 2.3は当初から模倣してきた以前のMicrosoft Wordの外観を踏襲したうえで、その他のプログラムやマクロから採り入れたいくつかの機能を新たに統合している。その結果、雑然としたものになってはいるが、少なくともどこに何があるかの予想がつく程度の雑然さになっている。Writer 2.3では、リボンではなく、適切な状況でポップアップされるフローティングツールバーを採用している。こうしたツールバーが作業している領域に唐突に現れることもあるが、全体として見ればそうした表示による混乱はインタフェースの完全な刷新によって生じる混乱よりもずっと小さい。
判定: OpenOffice.orgの勝ち。OpenOffice.orgの設計が優れているわけではないが、Microsoft Wordのインタフェース変更が的外れであり、好ましくない理由でユーザを狼狽させるため。
スタイル
ワープロソフトのスタイルは、ソースコードの変数宣言のようなものである。一度作っておけば、必要になるたびにその作業を繰り返さなくてもよいので手間の削減になる。文字、段落、箇条書き、フレーム、ページの各スタイルを持つWriterは現在使えるワープロの中で最もスタイル指向なものの1つであり、ユーザが高度な機能を活用するにはスタイルの適用が求められることが多い。また、スタイルおよび書式設定のフローティングウィンドウのおかげで、スタイルの適用が最も容易なプログラムの1つにもなっている。
Microsoft Word 2003では独自のフローティングスタイルウィンドウが用意されていたが、Word 2007の開発者はスタイル機能をホームタブのリボンの右半分に配置することを選んだ。この場所には、最もよく使われるスタイル数個と、10種類以上のスタイルが選べるドロップダウンリストが表示されている。これらのスタイルは、Wordの初期のバージョンで使われていたものを思い起こさせるような、「Elegant」、「Formal」、「Modern」といったグループにさらに分割されている。スタイルを変更するにはいくつかの階層を掘り下げる必要があり、新しいスタイルの作成はメニュー選択ではなく文書内の書式設定の選択によって行う。各スタイルの縮小プレビューは評価できるが、一般的なインタフェースとして機能全体を見ると十分な理由なく見た目の派手さを選んだ箇所が数多くある。また、ページやフレームのスタイルが存在しないため、Wordのレイアウトは相変わらず大幅に制限されている。
判定: OpenOffice.orgの勝ち
ページレイアウト
Writerのページレイアウト設定には、中級レベルのデスクトップパブリッシングプログラムの機能に相当する、スタイルを適用するたびにテキストフレームを繰り返すという機能がない。一方、Wordにはデザイン単位としてのページという概念がほとんどない。Word 2007では、何種類かのページレイアウトを含むBuilding Blocksによって望ましい方向へと一歩を踏み出しているが、その柔軟性はWriterのページスタイルには遠く及ばない。
判定: OpenOffice.orgの勝ち
テンプレート
これまでのWordは、複数のテンプレートの適用によってユーザの文書を台無しにしかねないものになっていた。Word 2007では、複数のテンプレートを適用するインタフェースを提供しないことで、こうした傾向をなくそうとしているようだ。理論的にはこの変更によってWordファイルが破壊される可能性は低くなるはずだが、実際にそのとおりになるかどうかは十分に使い込んでみないとわからない。
Wordの場合は何十というテンプレートがインストールされるほか、オンラインでもさらに多くのテンプレートが提供されており、この点では少数のテンプレートしか付随していないWriterよりも圧倒的に優れている。Writerでも何十種類というフリーのテンプレートがオンラインで簡単に入手できるのだが、なぜかOpenOffice.orgにはそれらが収録されていないばかりか、Wordにあるようなそうしたサイトへのリンクさえ用意されていない。
判定: Microsoft Wordの勝ち
アウトライン機能
この機能については、両者とも以前のバージョンから何も変わっていない。以前と変わらず、Wordでは折りたたみ可能なツリー状のアウトライン表示になっており、Writerではナビゲータ・フローティングウィンドウに見出しのリストが表示される。Wordのアウトライン表示ではユーザが個々の見出しを非表示にすることが可能だが、Writerのナビゲータウィンドウにはあるレベルより下のすべての見出しを非表示にするオプションしかない。また、Writerではナビゲータによって本文のテキストを表示する前に「ツール」→「番号付け」でカスタマイズをいくらか行う必要があるが、Wordではそうした表示がデフォルトで行われる。
判定: Microsoft Wordの勝ち。OOo Writerのアウトラインはかろうじて使えるレベルでしかない。
箇条書きと番号付きリスト
Word 2007は、複数レベルの箇条書きの設定ツールに一定数のレイアウトオプションを用意することで、以前のバージョンから改良が施されている。ただしその点を除けば、Word 2007の箇条書きは、番号付けおよびデザインのマクロによってSEQフィールドが自動的に適用されるように編集開始時に設定を行わない限り、やはり正しく表示されない傾向がある。またWordでは、箇条書きのスタイルは定義できるが、行頭文字とテキストとの間隔のような細かい部分の微調整が行えない。
Writerのほうはバージョンが2.3になっても箇条書き機能の実装は変わっていないが、これ以上の改良の余地はほとんどないといえる。箇条書きのスタイルを使う場合も、何の問題もなく項目のレベル付けや移動が可能であり、細部までレイアウトを編集できる。
判定: Writerの勝ち。Word 2007はいくらか改善されているものの、一方のWriterには大きな難点が見当たらない。
表
以前のWriterには深刻な制約がいくつかあったのだが、現在、表の扱いはWordでもWriterでもほとんど変わらず、同じような表の作成機能を持ち、書式設定の選択肢の広さも同じである。ただ、どちらも書式設定にもの足りない部分があり、Writerのオートフォーマットは適用した書式と同じ行数の表にしか使えず、Wordの表の書式は特定の表に関するオプションを変更すると表示がおかしくなりやすい。表を描画するWordのツールを気に入っているユーザもいるだろうが、このツールはとても効率的とはいえず、基本的な数学関数やその集中化された書式設定オプションの利便性を実現するWriterの機能にもあまり影響を与えていない。また、相変わらずWordでは、書式設定にあたって当初の目的を忘れてしまうほど何度もダイアログを開く必要があるようだ。
判定: 引き分け。両者とも大いに改善の余地あり。
