ファイルマネージャ
Seahorseをインストールすると、Nautilus File Manager用のプラグインも追加され、そこで扱うデータに暗号化や署名を施すメニューコマンドが利用可能となる。こうして追加されるメニューコマンドは、NautilusのEditメニューおよび、個々のファイルやフォルダを右クリックして表示させるコンテクストメニューから実行することができる。具体的に必要な操作は、ファイルやフォルダを選択してから、Edit → EncryptあるいはEdit → Signを選択するだけである。GnuPGによる処理結果は新規ファイルとして出力されるが、暗号化したファイルには.pgpという拡張子が、署名したファイルには.sigという拡張子が付けられ、また暗号化していないオリジナルのファイルは元のまま残される。
.sig拡張子の付けられた署名ファイルを検証するには、右クリックしてOpen with Verify Signatureを選択すればいい。同じく.pgp拡張子の付けられた署名ファイルを復号化するには、右クリックしてOpen with Decrypt Fileを選択する。なお旧バージョンのNautilusプラグインでは、最後のオプションが表示されないことがある。その場合はOpen With → Open with Other Applicationを選択し、Open with Custom Commandオプションをクリックして表示されるテキストフィールドに「seahorse-tool -d」と入力しておく。この設定後に暗号化されたファイルを右クリックすると、コンテクストメニューにOpen with seahorse-toolというアイテムが追加されるはずで、このオプションをクリックすればファイルを復号できるようになる。
Webブラウザ
Seahorseのインストールでは、Epiphany Webブラウザ用のGnuPGプラグインも追加される。このプラグインを使用すると、Webページ上のテキストフィールドで暗号化や署名を施せるようになるが、Tools → ExtensionsメニューからSeahorse機能拡張を選択できるようにするには、あらかじめepiphany-extensionsをインストールしておく必要がある。その後テキストフィールド内部で右クリックをすると、コンテクストメニューに暗号化オプションが表示される。その他FireGPGアドオンを利用すると、Firefoxで表示したWebページにあるテキストフィールドでも暗号化や署名を直接施せるようになる。この場合の操作法も、テキストフィールド中で右クリックしてFireGPGサブメニューに表示される暗号化オプションを選択するだけである。これらのツールは、GmailやYahoo! MailといったWebベースの電子メールクライアントでGnuPGを利用したい場合に重宝するだろう。
電子メール
電子メールクライアントにおけるGnuPGのサポートレベルは、かなりのレベルに達している。例えばThunderbirdの場合は、自己完結したGnuPGのフロントエンドとして機能するEnigmailアドオンをインストールすることで、GnuPGをサポートできる。その他にBalsaやClawsなどの電子メールアプリケーションもGnuPGをサポートしている。
インスタントメッセージ
Psiはクロスプラットフォーム型のJabberクライアントであり、GnuPGを利用した暗号化通信をサポートしている。同じくGabberというJabberクライアントでもGnuPGを使用できる。またPidgin(旧Gaim)の場合は暗号化プラグインとOTRプラグインが用意されており、これらを使うことでインスタントメッセージの通信を暗号化することができるが、どちらもGnuPGとは異なる方式が使われている。
その他のプラットフォームでのGnuPGの対応状況
署名や暗号化を施したデータを受け取る側の人間は、必ずしもLinuxをメインのオペレーティングシステムに使っているとは限らない。もっともGnuPGはWindowsおよびMac OS Xでも実装されており、またこれらのデスクトップ上でGnuPGによるデータ処理をするためのアプリケーションやプラグインも各種作成されているので、プラットフォームの違いが特に問題となることはないはずだ。
まとめ
GNOMEデスクトップには、プラグインまたはビルトインの形式でGnuPGをサポートしたアプリケーションが多数用意されており、デスクトップ環境にデジタルセキュリティを導入する作業が簡単に行えるようになっている。また本稿で紹介したGnuPG対応アプリケーションの大半については、KDE用の同等品が作成されていることも付け加えておこう。このようにLinuxデスクトップは、デジタル世界で交換されるデータや通信をセキュリティ保護するためのツールに関して、非常に恵まれた状況に置かれていると評していいだろう。
Peter Enseleitはオーストラリア出身のソフトウェア開発者であり、Linuxの使用歴は8年以上に及んでいる。
