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ときには技術的な資質を社会的な側面に振り向ける

2007年09月26日 15:01 Ken-Myers-&-Robert-Lamb(2007年9月18日(火)) 1 2
 IT活動によって影響を受ける人々が自分とは相反する懸念や優先事項を抱えている傾向が強いことに配慮しないITマネージャは、プロジェクトを失敗させることが多い。例として、Georgeのケースを取り上げよう。彼は、米国中西部のあるコンサルティング会社でIT部門を管理していた。社内の業務担当社員たちの求める“改良された”プロジェクトトラッキングシステムの選定と導入に多大な費用と工数をかけたあとになって、Georgeは現場にいるコンサルタントたちがその優れた機能を理解できず、使いこなせないことを知った。

 この新システムは担当者たちに重要な情報を提供できるが、ユーザに相当な時間的負担がかかり、コンサルタントたちはクライアントとの時間を削られる破目になるということの理解をGeorgeは怠っていたのだ。その結果はどうなっただろうか。組織内に多くの災いをもたらしたのち、この高価な新システムは完全にお蔵入りとなってしまった。

 ITマネージャたる者、ITの問題の社会的な側面に配慮する措置を講じる必要がある。でなければ組織のプロジェクトや活動の成功が遠のくばかりか、自らの昇進の機会まで奪われるかもしれない。次回のITプロジェクトを社会的な問題で頓挫させたくなければ、以下に示すいくつかの項目を検討することだ。

情報は組織的な権力と駆け引きの材料である ― 情報とその管理はずっと以前から組織的な権力と駆け引きを生み出す源でもあった。情報のフローとプロセスを新たに作り出す(または既存のものを変える)と、組織内の政治的な権力バランスに変化が生じることが多い。たとえば、これまで情報を管理する重要なポジションにいたマネージャを無下にするような新しい経営情報システムを導入すれば、プロジェクトに対する反発が露骨なものから微妙なものまでさまざまな形で生じるだろう。また、ITマネージャは、技術評価の段階において、結果として起こり得る権力および政治的状況のあらゆる変化を予期しておく必要がある。業務上浅からぬ関係のある他の人々に意見を求めることをためらってはならない。「このプロジェクトの成功によって誰が影響を受けるでしょうか」、「どこで入れ換えが起こるでしょうか」といった質問が、やがて訪れるトラブルの予測に役立つはずだ。また、もう1つ注意すべきは、非常に優れた新しいソフトウェアパッケージが「あなたの組織がまさしく必要としているもの」であることを保証するベンダが、あなたのキャリアがかかったその導入に待ったをかけてくるかもしれない政治的な危険性について教えてくれることはまずない、ということだ。

組織の文化はグループの選択に影響を与える ― 文化とは“そこで物事がなされるやり方”であり、規範とは概してもっと明示的な行動指針である。個人の価値観または共有された価値観もまた、与えられた状況における社員の振る舞い方や協力の度合いに強く影響する。こうした問題のいくつかはミッションステートメントやバリューステートメントといった組織の文書に明記されていることもあるが、ほとんどの場合は文書化されておらず、同じ組織内でも職場ごとに異なることさえある。たいていはこうした問題によって表に現れない多くの複雑さが加わり、ITプロジェクトは多大な影響を受ける可能性がある。また、特に新任のITマネージャは、最初にこうした問題の基本的な理解を深めることなく、活動やプロジェクトの遂行にはやることのないように忠告を受ける。組織に関する理解と前提が不十分なままに活動を進めても、あまり協力が得られないことがある。そんなときは次の点について考えてみるとよい。組織はプロジェクトの設計と開発に参加することの重要性をわかっているだろうか。重大な情報の変化について率直に意見を交わせる仕組みがあるだろうか。休日の勤務を要求できるだろうか。つまり、テクノロジに対する要件の調査にあたり、ITマネージャは時間をかけて職場内を“尋ね回って”その根底にある社会的な側面についてより深く理解する必要があるのだ。正しい方向へと踏み出すためには、あなたが行うITに関する変更によって影響を受ける可能性がある人々の代表者に次のような自由回答式の質問を投げかけてみるとよい。「このプロジェクトをトラブルなく順調に進めるのに役立つ可能性があるこの状況について、私はどんなことを知るべきだろうか」

良好なコミュニケーションは良い結果をもたらす ― ITプロジェクトでは、コミュニケーションが重要な鍵になる。自らの考えと行動について手の内を見せずにおくと、信頼を損なうだけでなくほかの人からの協力も得られなくなる。特定のITプロジェクトのあらゆる詳細を全員が知る必要はないが、ときに全方位的なコミュニケーションはプロジェクトの確実な成功に必要不可欠な情報の最も得難い最後の1つをもたらしてくれることがある。思わぬ副次的効果として他者からの自発的なフィードバックが得られることは、ITプロジェクトにおけるコミュニケーションと周囲との関係づくりの成功がもたらす大きな利点である。同じ理屈により、プロジェクト完了までの進捗やプロジェクト終了後のフィードバックを定期的に収集するための正規の手順や仕組みを作り上げることで、ITマネージャの環境は改善される。逆にそれができなければ、次回のITプロジェクトにとって重要な情報を見過ごしてしまう可能性がある。たとえば、Georgeが導入に失敗したプロジェクトトラッキングシステムの影響を被ったコンサルタントたちの多くは、彼が問いかけさえしていれば、負担があまりにも大きすぎると率直に話してくれていたはずだ。しかし、Georgeはそれをすることなく業務担当社員らの要望に応え、職場環境における社会的側面の最低限のチェックさえ怠り、否応なくIT専門家としてのキャリアに傷をつけることになった。

“必要最低スペックの法則”を忘れてはならない ― 大半の情報技術は“ただ問題なく動作する”ように設計することができ、その多くは驚くほどすばらしい動作をする。とはいえ、“動作する”テクノロジにはどうしても足りない部分があるため、通常は時間をかけて変化と発展を遂げることになる。さらに、組織の社会的側面もまた常に流動的である。ベテランのITマネージャは、自らのプロジェクト活動が、触れ込みどおりに動作しないハードウェアやソフトウェア、実装上の不具合、時間不足、要件に合わないテクノロジ、仕様の誤りなどにより、技術的な側面において混乱しがちなことを認識している。同様に、社会的な側面において、変化し続ける要求、組織の政治的情勢の変化、コミュニケーションの問題、新たな研修要件、非協力的なユーザといった問題も解決しなければならない。かくしてITマネージャは、技術的側面と社会的側面の双方に課題を抱える環境で成功する術を学ぶ必要がある。多くの場合、技術についての不確かさは、技術的に最新の状態を維持し、コミュニケーションを心から楽しみ、あらゆる詳細に過剰に立ち入らないことを要求する。不確実性に対処する1つの方法は“必要最低限のスペック”を確実に保証することである。これは、ときとしてパレートの80対20の法則にも通じる。社会的側面については、心に留めておくべき重要なポイントがいくつかある。それらは、コミュニケーションを十分に取ること、他人を巻き込むこと、“駆け引き上手”になること、自らの置かれている社会的な立場の理解に努めることである。技術的および社会的な側面の不確実性を意識して受け入れることが、成功への近道であることを忘れてはならない。

最終更新:2007年11月26日 17:08