Galli氏は、売り上げデータの出所をIDCのQuarterly Server Tracker(QST)としている。そこで、その報告書をIDCのサイトで探していると、8月の報告書に次のような記述が見つかった。「Linuxサーバの売り上げは5四半期連続で増加、前年比で19.0%の成長になり、この四半期の総売上額は18億ドルに及ぶ。また、全サーバの売り上げに占めるLinuxサーバの比率は、前年の12.1%から現在13.6%に伸びている」
とにかく減少には転じていないことを知ってにわかに元気づき、Galli氏が引用したQSTを探し続けたのだが、結局見つからなかった。どうやら有料会員しか閲覧できない報告書らしい。仕方なく、この報告書の写しをくれるようにWebサイトからIDCの広報部に依頼し、翌日電話で状況を確認した。該当するQSTの写しはもらえなかったが、IDCのMike Shirer氏は確かにこう言った。「例のGalli氏の記事はかなりひどく事実を曲解したものだ」
その後、Galli氏の記事にMicrosoftのBill Hilf氏の言葉が引用されていることに気づいた。MicrosoftのCEO、Steve Ballmer氏その人を別にすれば、Linuxについて訊く相手としてはこの地球上で一番信用ならない人物だ。(Linuxを取り上げた記事の)一次情報源にMicrosoftが含まれていること、当のIDCがGalli氏の記事を“事実の曲解”だと言い切ったことから、すべてはでっちあげにすぎず、結局Linuxサーバは市場のシェアを失ってなどいないのではないか、という気がしてきた。
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| 過去6四半期にわたるRed HatとNovell(Linux事業)の売り上げ |
そこでもう少し独自に調査を進めることにして、Linuxの営利事業で最も成功しているRed Hatの売上高とNovellのLinuxプラットフォームに基づく売上高を過去6四半期にわたって調べてみた。驚いたことに、そのグラフからわかったのはFOSSプラットフォームを市販する最大手であるこれら2社のLinuxサーバの売り上げが減少どころか増加していることだった。両社とも四半期ごとに最高値を更新し続けている。
では、Galli氏が参照したというIDCのQSTに誤りがあったのだろうか。だが、その調査報告書が参照できないので何ともいえない。実際には、今回の件で過ちを犯したのはIDCではなくGalli氏のほうではないかと思われる。しかし、IDCが工場レベルでのサーバの出荷台数だけをカウントしているとすれば、実世界におけるLinuxとWindowsの比較という点では無意味なデータを用いていることになる。Red HatもNovellも、(Linuxに関する)収益のかなりの部分をサブスクリプション(一定期間内の利用契約)形式によるサーバソフトウェアの有償サポートで得ているからだ。
たとえば、Red Hatの直近の四半期で見ると、売上高1億2720万ドルの85%がサブスクリプションによるものである。そのため、サーバの出荷台数は市場の規模、成長性、持続性のいずれも反映していない。このことがなかなか理解できない人もいるようだ。ちなみに、オープンソースの利用率を数値化する難しさについては前に記事を書いた。
