プレゼンテーションのコンパイルと再生
スライドショー用の設計とコンテンツの配置が終了したファイルは、拡張子を.texとして保存した後、「pdflatex filename 」というコマンドによるコンパイルを施す。先に触れたKileを利用しているユーザであれば、この操作は「Build」→「Compile」→「PDFLaTeX」を選択することでも実行できる。どちらの方式で起動するにせよ、pdflatexコマンドの実行によりPDF形式のファイルが作成されるが、同時に実行結果に関するログファイルも出力されるので、後者は問題発生時のトラブルシューティングに役立つはずだ。これらのファイルの出力先は.texファイルの格納ディレクトリとされる。
プレゼンテーションを実行するには、各自が使用しているPDFビュワーでコンパイル後のファイルを開けばいいが、その際にはウィンドウサイズを最大化しておき、表示倍率も可能な限り大きくしておく必要がある。この種の用途に適したPDFビュワーとしては、フルスクリーンおよびプレゼンテーションモードを備えたEvinceがお勧めだ。その他のPDFビュワーを使った場合はナビゲーションバーとメニューが表示されたままになる場合もあるが、いずれにせよBeamerで作成したプレゼンテーションは、サウンドなしスライドショーとしての及第点を確実に得ることができるはずである。あるいは、スライドデザインの面でオリジナリティを発揮できれば、追加ポイントの取得を期待していいかもしれない。
まとめ
Beamerの使い方をどこまでマスターすべきかは、各自のニーズ次第で異なってくる。このプログラムには詳細なマニュアルが付属しており、そこにはサンプルプレゼンテーションの作成法を始め、プレゼンテーション作成時のプランニングと設計に関するワークフローのアドバイスまでが掲載されているという充実ぶりだ。その他、プレゼンテーションに対するノートやハンドアウトの追加法も解説されている。
Beamerを用いたプレゼンテーション作成は、フリーオペレーティングシステム黎明期への逆行だと捉えられなくもない。実際問題として現状でBeamerを常用することはまずないだろうが、こうした方式の作業を実践することにより、その分だけ自分が使うオペレーティングシステムに対する理解を深めることができたと感じることのできる人間であれば、最初のプレゼンテーションを作り上げた際にある種の達成感を味わうことができるだろう。
本稿で解説したようにLaTeXおよびそのサポートプログラムを利用すれば、その詳細に立ち入らなくても高度な完成度のスライドショーを作成することが可能である。これはまたGNU/Linux系のコマンドライン形式のツールでもデスクトップ形式のツールと同等の作業をこなすことができることを示した事例の1つに過ぎないのだが、そのために必要なのは、ユーザ自身が自らの視点を変更することだと言えよう。
Bruce Byfieldは、コンピュータジャーナリストとして活躍しており、Linux.com、IT Manager's Journalに定期的に寄稿している。
