先の手順で特定した変更箇所の情報を基にして適切な判断を下すには、GNU/Linuxに関する基本知識が必要となる。ただし比較的経験の浅い新規ユーザであっても、特定された変更の意味を把握することは不可能ではない。
例えば私がFedora 8のアップグレードを実施した際には、ブート時にスキップさせるモジュールをカーネルに指定する/etc/modprobe.d/blacklistを格納した.rpmnewファイルにおいて、bcm43xxに関する行が含まれていることが判明した。仮にその時点でこの指定が何を意味するのか理解できなかったとしても、インターネットで検索すれば、問題の行はBroadcomワイヤレスカード用のfirmware-cutterに対する参照を行うための設定であることが分かったはずだ。firmware-cutterとは、純正ドライバの存在しない一部モデルのワイヤレスカードをGNU/Linuxで使用可能にするためのソリューションである。よってこのfirmware-cutterが対応したカードを使用していたのであれば、実際に用いるblacklistファイルからは先の指定行を削除しておけばよかったということになる。
こうした比較作業を実践するとなると、かなりの時間と手間がかかるはずである。そうした代償を支払うことでハードドライブに蓄積されたすべての.rpmnewおよび.rpmsaveファイルの整理を終了させたというユーザであれば、yum用に最近開発されたyum-merge-confというプラグインをインストールすべきだろう。PirutおよびPupを陰で支え、Fedora系ディストリビューションのアップデータ兼グラフィカルパッケージマネージャとして使われているのがyumというコマンドである。そしてこのプラグインを使うと、これらのファイルの処理を先延ばしにするのではなく、本稿で説明したプロセスがインストール時に実行可能となるのだ。ただしその性質上、アップデートをyumを介して実行しない限りこのプラグインは利用できない。
実際にどのようなソリューションを選ぶかは個々のユーザ次第ではあるが、いずれにせよ.rpmnewおよび.rpmsaveファイルの整理はFedora系システムにおけるシステム管理の基本操作の1つに過ぎない。これらのファイルの整理を怠れば、アップグレードの御利益の大半が受けられないシステムと化す危険性が生じてくるのである。こうした状態はセキュリティ面でも劣ったものになるだろう。更に最悪のシナリオを想定すると、最新版のデフォルト設定を前提とした一部パッケージが問題を引き起こし、次回のメジャーアップグレードにてトラブルに遭遇するという可能性も否定できないのだ。実際にはそこまでのトラブルは発生しないかもしれないが、そのような可能性がゼロではない以上、予防措置として.rpmnewおよび.rpmsaveファイルにおける変更箇所の整理をすることは充分に意味ある作業のはずである。
Bruce Byfieldは、コンピュータジャーナリストとして活躍しており、Linux.com、IT Manager's Journalに定期的に寄稿している。
