ユーザの価値観が問われる選択
先の疑問に対する答えは、ユーザ各自がデスクトップ環境に何を期待しているかによって異なってくる。他のデスクトップ環境と同様にLXDEでも、パネル、メニュー、マルチワークスペースなどはサポートしているが、カスタマイズの範囲はかなり限定されている。例えばパネルはデフォルトで設定変更できるようにはなっておらず、configファイルを直接編集するにしてもサンプルや解説書なしで実行できるユーザはほとんどいないはずだ。そうした状況は壁紙についても同様で、LXDEでは指定の画像をデスクトップ全域に表示させるだけで、タイル配置やセンタ配置といったオプションは何も用意されていない。
カスタマイズ可能な項目でめぼしいものはこの程度である。またマルチメディア関係にしてもLXMusicの場合は音楽ファイルを単に再生できる程度のものであり、Amarokなどの多機能プログラムに比べると非常に見劣りすると評さざるを得ない。こうした状況はPCManFMとGPicViewについても同様で、これらは“特徴がないのが特徴”という意味において各分野の代表的アプリケーションという位置付けになるだろう。デフォルトのLXPanelに独自な機能を挙げるにしても、デスクトップ上で開かれている全ウィンドウを最小化またはシェードさせるアイコンくらいしか見あたらない。こうした方向性においてLXDEは初期バージョンのXfceに似ていると言えなくもないが、それも軽量性とカスタマイズ性とのバランスを取る前に限ればという制限付きの話である。
つまり、インストールするだけで使用可能な環境ないしは各種の新機能が満載されているデスクトップが理想的というユーザに対して、LXDEはお勧めできないことになる。そうではなく、動作の軽快さこそが最優先というユーザであれば、この結論はまったく逆になる。例えば同プロジェクトのWebページにある説明によると、266MHz Pentium IIマシンで192MBのRAMしか利用できない環境でもLXDEは“中程度の速度”で動作し、1.6GHz AMD Athlonマシンで128MBのRAMという状況下のQEMUエミュレーションにおいては“高速”な動作をしたというレポートが掲載されている。実際、私の手元にある3カ月前に購入したばかりのコンピュータでの動作状況を見ると、こうした主張は事実を述べていると判断していいだろう。これも私の試した範囲内の話だが、GNOMEおよびKDEプログラムの動作速度で比べても、これらのデスクトップを使用するよりLXDEを使用した方が速いように感じられた。
様々な意味において、LXDEを原点回帰型のデスクトップと呼ぶのは理にかなった表現だろう。これは今日の趨勢に真っ向から反するアプローチと言えるが、同プロジェクトが今後どのようなリリースを行うのかに興味が深まるところだ。
Bruce Byfieldは、コンピュータジャーナリストとして活躍しており、Linux.com、IT Manager's Journalに定期的に寄稿している。
