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企業コンピューティング15領域のテクノロジー・トレンド予測[前編]

2007年12月11日 13:39 [IDG-2007/12/11] 1 2
 空飛ぶ自動車、考える機械、部屋を掃除する子供たち──こうしたたぐいのものであっても、今はともかく、現実のものとなる日が来るかもしれない。だが、本稿で提示するのは、このようなあてずっぽうの占いではない。企業コンピューティングの15領域に関して、今日のテクノロジーをベースとして「次に来るテクノロジー」の予測を示す。なかには外れるものもあるだろうが、企業コンピューティングの未来像を考えるうえで、議論を深める一助になればと願っている。

InfoWorld米国版

1. グリーンIT
仮想サーバのシャッフルで電力効率を最適化

データセンターは電源消費の無駄が大きい。もし、仮想サーバ・ファームを瞬時に構築して必要な分だけ電力を使えるようになったらどうだろうか。 テッド・サムソン/InfoWorld米国版

 ある日の昼下がり、米国ニュージャージー州ニューアークでデータセンター・オペレーターを務めるあなたは、サーバ・ルームを歩きながらふと気づく。たくさんのサーバが多数のアプリケーションを走らせているわりには、不気味なほど静かだ。

 動作音がしないのは、重大な障害の前触れとも考えられる。だが、管理コンソールを見るかぎり、アプリケーションは正常に稼働しているようだ。

 種明かしをすれば、インドのデータセンターがほとんどの負荷を肩代わりしているのだ。そのうえ、現地はオフピークの時間帯であるため、節約できている電気代はかなりの額に上る。しかも、各サーバ・マシンが消費電力と仮想ワークロードを自己調整し、必要に応じて電源のオン/オフに切り替えていることが電気代のさらなる節約につながっている。

 地元の電力会社から割り当てられる電力は限られているうえに、データセンターのスペースも無制限ではない。その一方で保有するサーバ・マシンの消費電力は年々増え続け、冷却設備のためにもますます電力が必要になる。こうしたことに頭を抱えるデータセンター管理者にとって、グリーンITの重要コンセプトの1つであるエネルギー効率は切実な問題だ。ベンダー側を見ても、チップからソフトウェアに至るまでサーバの負荷を軽減するための対策を施し、サーバ台数を減らせるように努力しているようだ。

 こうしたデータセンターの現状から判断すれば、グリーンITの分野で次に来るのは、電源管理、システム管理、Webサービス、そして仮想化技術を統合した「ダイナミック・サーバ・ファーム」だと予測できる。

 その技術要素の1つであるハードウェア・レベルの電源管理は、すでにサーバ管理ツールに搭載され始めている。例えば、ヒューレット・パッカードは最近、同社のハードウェア管理プラットフォーム「Systems Insight Manager」に、サーバ・マシン単位で消費電力を制限する新機能を取り入れた。

 HPが指摘するとおり、ハードウェア・ベンダーが所要電力を1,000ワットと設定していても、それはサーバ・マシンがフル稼働している状態のことだ。しかし、データセンターの運用にあたっては、マシンをフル稼働させないのがベスト・プラクティスとされている。もし、常時100%使い切ってしまっていたら、処理量が増えたときにトラブルが発生するのは目に見えている。

 では、80%程度の利用率でサーバが稼働しているときに突然、処理量が急増したらどうなるのか。この場合、ダイナミック・サーバ・ファームにおいては、電源管理ソフトが立ち上がり、それまでリソースを費やすことなく休んでいた他のサーバを目覚めさせるようになるだろう。アピストリが同社のプラットフォーム「Enterprise Application Fabric」のために用意した「EnergySaver」というテクノロジーはまさにこれにあたる。

 筆者は、VMwareからもサーバ仮想化製品ラインに電源管理機能を搭載する計画を聞いた。利用率の低い仮想マシンをできるだけ少数のサーバに動的に転送して、仮想マシンが稼働していないサーバをスリープさせるという仕組みだ。各サーバは必要なときだけ起動するようになり、消費電力を最低限必要な分だけにとどめられるようになる。

 サーバ仮想化はハードウェアの利用効率を高めるのに有効な技術だが、今のところ、仮想マシンが動的に移動できるのはサーバ間に限られている。では、仮想マシンがデータセンターという枠を超え、電力供給量とそのコストの判断に基づいて、時差のあるほかの地域のデータセンターにまで動的に移動できるとしたらどうなるだろうか。

 例えば、カリフォルニアにあるデータセンターで需要が急増しているとしよう(図1)。そのとき、電力会社から、電気料金がもうすぐ倍になり、また、電圧低下も差し迫っているというWebサービスのアラートが届く。だが、ダイナミック・サーバ・ファームは、ニューヨークがすでに就業時間外で、電力コストが安く供給量も十分だと知っている。そこで、仮想マシンをニューヨーク州アルバニーの施設に動的に移すわけだ。もちろん、サービス・レベルさえ十分であれば、インドのバンガロールや中国の上海など、電力コストがさらに安い地域のデータセンターにも移せるはずだ。

 以上のようなグリーンITの将来像は、現実離れしたものに聞こえるかもしれない。だが、そのためのテクノロジーはすでに存在しており、ユーザー企業側もそれを求めている。エンジニアはデータこそITの生命線だと考えがちだが、マシンに燃料を送り込むのはデータではなく電力なのだ。

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図1:データセンターを越えて仮想マシンを移行する「ダイナミック・サーバ・ファーム」

2. ストレージ管理
ストレージ管理の簡素化。その切り札はサービス化

ストレージ管理が簡単になるなんて、まだまだ夢の話だ。困難さが改善される兆しはほとんど見られない。解決策は、第三者に任せることだ。 マリオ・アピセラ/InfoWorld米国版

 ストレージ・ベンダーのうたい文句とは裏腹に、ストレージの管理は簡単になるどころか逆に難しくなっているのが実情だ。ベンダーは、原始人でさえ容易にストレージを管理できるようになるとして管理ツールを声高に宣伝する。それは、接続先のデバイスやサーバを自動検出し、それに従って構成も自動で実行してくれるという。

 どのようなセールス・トークにも言えることだが、こうしたうたい文句のすべてが真実だとは言えない。標準構成からほんの少し逸脱しただけで、容易なセットアップという約束はいとも簡単に破られてしまうのだ。経験の浅いストレージ管理者は、何とかしようと四苦八苦するはめに陥る。

 シンプルさを売りにするiSCSIでさえ、実際はそうではなかった。ファイバ・チャネル(FC)と比較したiSCSIの優位点は、IPベース以外のネットワーク装置について学ばなくて済むこととされている。しかし、iSCSIのホストとターゲット・デバイスを連携させるには、通常のLAN管理では学ぶことができなかったスキルを要求されることになる。

 これだけでも大変なのに、ほとんどのストレージ管理スイートはiSCSIを完全に無視するのだから始末が悪い。FCoE(Fibre Channel over Ethernet)のような、今後登場するテクノロジーにしても、もともと難しいストレージ管理をいっそう複雑にするだけだと筆者は考えている。

 データ容量増大への対応とストレージ管理の費用対効果の向上──ユーザー企業が抱えるこの相反する2つの要求が満たされることはないのだろか。

 多くのユーザーにとって、その答えはストレージのサービス化、つまりSaaS(Storage as a Service)である。ストレージとその保守に莫大な金額を払う代わりに、ストレージ・スペースをレンタルすれば、節約した予算とリソースを戦略的なプロジェクトに割り当てられるようになる。

 SaaSはまず、アマゾン・ドットコムやグーグルのような企業が抱える余剰容量の利用という形で火がつくだろう。そして、その流れに乗ろうとするベンダーが現れ、過去に例がないほど大規模なストレージ・サービスがインターネット上で利用できるようになる。それは、EMCやHP、IBMといった既存ストレージ・ベンダーの市場にまで食い込んでいくはずだ。

 SaaSでは、使用する分だけ料金を払えば済むため、ストレージ・コストは大幅に削減される。それによって、これまではコスト的に無理があったテクノロジーでも導入できる余裕が生まれるだろう。

最終更新:2008年02月10日 17:07