3. SMBテクノロジー
SMBはスタンドアロン・アプリを捨て去る
SMBが選択するアプリケーションはWebブラウザ経由で利用するものになる。つまり、SaaSもしくはホステッド型アプリケーションだ。 オリバー・リスト/InfoWorld米国版
近い将来、SMB(小・中規模企業)がビジネス・ソフトウェアを購入する際の選択肢はオンデマンド・ソフトだけになるかもしれない。スタンドアロンのパッケージ・ソフトは消え去ることになる。Webブラウザからアプリケーションのあらゆる機能にアクセスできるフルSaaSであれ、マイクロソフトのExchangeのようなホステッド型アプリケーションであれ、その費用対効果はSMBにとって大きな魅力だ。
今のところ、唯一気がかりなのはインターネットの信頼性だ。SMBの多くは、インターネットを基幹アプリケーションのインフラとして十分な信頼性を備えているとは見なしていない。
だが、この状況は変わりつつある。米国におけるほとんどの都市部では、ビジネスを麻痺させるようなインターネット障害の件数はこの5年間で激減している。さらに、インターネット・バックアップ・サービスがSMBに提供しているオプションが増えて料金も手ごろになってきたという事情もある。
つまり、インターネットであっても、冗長性を手軽に確保できるようになってきたわけだ。DSLでバックアップするT1サービスにしろ、企業の専用ケーブルでバックアップするDSLにしろ、2本のインターネット回線を同時に走らせても、かなり低コストで済むようになってきた。
そのうえ、スタンドアロン・アプリケーションを全面的にSaaSに切り替えることで、社内アプリケーションの管理のために雇っていたITスタッフに支払う給与が不要になることを考えれば、コスト削減効果は絶大だ。特殊な用途のソフトウェアを必要とするケースではスタンドアロン・アプリケーションも残るだろうが、標準的なもので間に合うのであれば、これまでは社内のITスタッフだけで導入するのが難しかったような高度な機能も容易に利用できるようになる。
しかも、これは今すぐにでも始められることなのだ。セールスフォース・ドットコムのようなSaaSベンダーのアプリケーション・フレームワークを使えば、専門のソフトウェアを必要とするSMBでさえオンラインで十分対応できるだろう。
大企業の場合は別の懸念もあるかもしれない。だが、最小限のTCOで最大限の機能と柔軟性を求めるSMBには、SaaSやホステッド・アプリケーションが注目株として急浮上することはまちがいなさそうだ。
4. データベース
次なるフロンティアは新たな圧縮技術
データベース容量の肥大化は深刻な問題だ。データ圧縮を利用するという手があるが、従来の技術ではパフォーマンスの面などに問題が残る。 ショーン・マッカウン/InfoWorld米国版
現在、データベース容量の肥大化が大問題になっている。個々のデータベースがペタバイト級に膨れ上がるなか、IT/IS部門は、それに見合うストレージを探すのに苦労している。この原因はテーブルの数が増えたからではなく、今まで数百万行だったテーブルが数十億行になってきたことだ。数百億行になるのも時間の問題だろう。
だが、増え続けるデータをいかに格納するかは、問題の3分の1にすぎない。次の3分の1は、データにいかにアクセスするかだ。ディスクの容量単価は低下してきているものの、ペタバイト単位で安定したパフォーマンスを引き出すには数千ものドライブが必要になる。
残りの3分の1は、この膨大なデータをどこにバックアップするかだ。バックアップが必要なデータベースが数テラバイトの現在でさえ、これを圧縮せずにバックアップするとしたら、コストは大きくなりすぎる。
筆者の予測では、次に来るデータベース・テクノロジーは、テーブル・データ(および可能性としてデータベース全体)に対する圧縮アルゴリズムと周辺構造のさらなる効率化だ。現在のデータベース圧縮技術は広く普及してもいなければ、DSS(意思決定支援システム)やOLTP(オンライン・トランザクション処理)システムといった過酷な条件を十分に満たせるほどパフォーマンスが高いわけでもない。
バックアップについては、SQL Server用の圧縮ツールであれば、いくつかのベンダーが取り扱っている。だが、他のRDBMS用には、それほど効果的なツールがない。どれも通常のオープンAPIと標準的な圧縮アルゴリズムに頼っており、将来的にデータベースに要求される高度な圧縮とパフォーマンスに対応するには、別の技術が必要となるだろう。
こうした理由から筆者は、ライブ・データの圧縮とバックアップの圧縮が、データベース領域における次のビッグ・フロンティアになると予測する。
5. ミドルウェア
真のサービス指向に不可欠なビヘイビア管理
まるでアプリケーション基盤全体が1つの巨大なローカル・システムで走っているかのように見せるのが次のミドルウェアの姿である。 デイブ・リンチカム/InfoWorld米国版
ミドルウェアは、ある場所から別の場所に情報を移すだけの役割から、SOA(サービス指向アーキテクチャ)に基づいて、より洗練された役割を持つ基盤へと変貌を遂げつつある。今後は、サーバ間の統合から、真のサービス管理やビヘイビア管理へと重点が移っていくはずだ。
では、具体的に何が違うのか。ミドルウェアは過去10年間、トランスフォーメーション、アプリケーション・セマンティックの整合化、そして場合によっては情報が正しいシステムに届くという保証など、さまざまな機能を追加し、その利便性を高めてきた。ただし、ミドルウェア上に流れるデータのほとんどは、顧客データや売上げデータといった単なる情報にすぎない。
だが、真のサービス指向ミドルウェアは、機能のビヘイビアをどのように扱うのか、そしてそのビヘイビアをシステム間でどのように共有するかを決められなければならない。つまり、単なる情報共有基盤として機能するのではなく、リモート・メソッドの相互呼び出しやサービス・コールがまるでローカル上で行われているかのように実行されなければならない。データはメソッドにバインドされ、従来と同様にデータへのアクセスを制御するにはメソッドを活用することになる。
なぜ、このようなミドルウェアが新しいと言えるのか。これまでもミドルウェアは、統合サーバ、メッセージ・ブローカ、サービス対応のキューイング・システムとして機能していたが、その焦点はサービスでなく情報を交換することに置かれてきた。
今日、サービス指向の環境を構築するために情報指向のミドルウェアが利用されているが、成功しているとは言えない。今後、サービス指向という必要性から、ビヘイビアの共有に焦点が移り、ミドルウェアの構築や展開方法を根本的に変えるだろう。
[中編]に続く
(月刊Computerworld 2007年12月号に掲載)
