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企業コンピューティング15領域のテクノロジー・トレンド予測[後編]

2007年12月27日 13:04 [IDG-2007/12/27] 1 2

14. CPU
チップのマルチスレッド化は仮想化にも貢献

コアの増加で筋骨隆々としたCPUの時代は峠を越した。これからはスループットを高めるためにCMTという新たなアプローチが取られるだろう。 トム・イェイガー/InfoWorld米国版

 1つのチップ上にできるだけ多くのCPUコアとキャッシュ・メモリを詰め込もうとするx86アーキテクチャの方針は、いずれ限界に達することになるだろう。サイズも発熱も大きいCPUコアをチップ上に増やしていくのは、長期間にわたって膨大なワークロードを扱うというサーバ・マシンの役割を考えれば、賢明な方法とは考えられない。

niagra2.jpg
写真1:CMTを採用するサン・マイクロシステムズのUltraSPARC T2プロセッサ

 今後数年間、AMD、IBM、Intel、Sun Microsystemsは、SunのUltraSPARC T2(開発コード名:Niagara 2、写真1)のような、いわゆるCMT(Chip Multi Threading)と呼ばれるスループットを高めるアプローチを採用するようになるだろう。

 x86の世界では、Pentium 4のNetburstマイクロ・アーキテクチャにおいてCMTに近いハイパー・スレッディング技術が採用されていた。これは、1つの物理CPUを2つの論理CPUに分割する技術だが、実装されているのが複雑で扱いにくいCPUアーキテクチャの上というのが問題だった。

 結局、周知のとおりIntelは、Netburstを捨ててCoreマイクロ・アーキテクチャに移行することになった。このときにハイパー・スレッディングをいったん棚上げしたが、よりシンプルなアーキテクチャに移ったことから、ハイパー・スレッディングを復活させる道筋ができたわけだ。ただし、そうする前にIntelは、CPUの世代が新しくなるたびにコアを増やし、キャッシュ・サイズを大きくし、クロック・スピードを高速化しなければならないという強迫観念を取り去ることが先決だろう。

 実現には数年かかるかもしれないが、IntelとAMDがマルチスレッディングで行くことはまちがいなさそうだ。ほかのCPUベンダーも、その道を選ぶだろう。CPUコアはキャッシュとメモリ、I/Oというしがらみにとらわれているが、ハードウェア・スレッディングが適用されれば、コアが提供する全リソースを仮想化に最も適した形に分割できるからだ。

 また、CPUが複数の仮想パーティションをどのようにサポートするかをシステム・ソフトウェアが把握しなければならない仮想化の拡張機能とは異なり、CMTはOSと仮想化ソフトに組み込まれているプログラムさえあれば、複数のCPUを扱うことができる。

 結局、サーバのスループットを高めようとしたら、そうした処理をなるべくソフトウェアで実行しないようにするのが一番なのだ。

15. HPC
スーパーコンピュータもコモディティ化に向かう

スーパーコンピュータはユーザーの裾野を広げつつある。科学技術や設計といった領域だけでなく、ビジネスでもHPCは大いに役立つ。 ジョン・ウェスト/InfoWorld米国版

 HPC(High Performance Computing)は、もはや科学者やスパイのためだけのものではない。今後、企業が収益を上げるためにも、重要な役割を担うようになるだろう。

 政府機関や大規模な科学・工学研究施設は、物理学の複雑な公式を解くため、何十年も前からスーパーコンピュータによるHPCを利用してきた。また、スーパーコンピュータは、プロトタイプの製作前に新型車がどれだけの衝撃に耐えられるかを予測したり、地質学者が新たな油田から原油を採掘する最適な方法を予測したりするのに役立ってきた。

 だが、HPCはさまざまな企業のビジネスにとっても大きなメリットがある。今や古風なタイプの企業でさえ、コア・ビジネスの経営にスーパーコンピュータを活用し始めているのだ。例えば、製造施設は鋳型部品に対する最適な流量を算出するためにHPCを使っており、試行錯誤を繰り返すことによる無駄なコストを省いている。また、配送業者はスーパーコンピュータを使って最も効率的な経路を計算し、時間と燃料の節約に役立てている。

 およそ10年前から、スーパーコンピュータにカスタムCPUでなく、一般的なCPUが採用されるようになった。このおかげで、一般的な部品からスーパーコンピュータを作る方法に関する膨大な知識が蓄積されてきた。つまり、政府機関向けのスーパーコンピュータに採用されるのと同等のテクノロジーを、今や100CPUのマシンを構築するのに利用できるようになったわけだ。価格を見てもわずか1万ドルにすぎない。構成済みのスーパーコンピュータをWebサイトで直販しているベンダーもあるぐらいだ。

 地元の配送業者は今のところ256CPUしか持っていないかもしれないが、給与の支払いから人事管理に至るまで、ビジネス・プロセスを改善する新たな機会が生まれれば、はるかに巨大なスーパーコンピュータを必要とするだろう。そう遠くない未来において、政府機関やグローバル企業と同じように、世界最大のコンピュータが地元の食料雑貨店にも導入されることになるかもしれない。

(月刊Computerworld 2007年12月号に掲載)

提供:Computerworld.jp

最終更新:2008年02月26日 17:07