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ソフトウェア特許侵害で訴えられた企業がFOSSコミュニティに支援を要請

2008年02月01日 12:59 Bruce-Byfield(2008年1月29日(火)) 1 2 3 4
 Trend Microから起こされた特許訴訟を闘うにあたり、Barracuda NetworksはFOSS(フリー/オープンソースソフトウェア)コミュニティに支援を求めた。この訴訟は定評のあるFOSSのセキュリティソフトClam Antivirus(ClamAV)を巡るもので、Barracuda社は自社のファイアウォールおよびWebフィルタリングのハードウェア機器製品と共にこのソフトウェアを配布している。

 これは、FOSSが直接絡んだ2件目のソフトウェア特許訴訟になる。ちなみに、Red HatとNovellのLinuxディストリビューションに仮想作業領域が含まれているとして、IP Innovationが両社を提訴したのが最初のものである。

 ClamAVプロジェクト自体は直接関与していないが、この訴訟の争点に関してBarracudaはすでにFOSSコミュニティの大御所、Software Freedom Law Center(SFLC)のEben Moglen氏とフリーソフトウェア財団(Free Software Foundation)の創設者Richard Stallman氏の支援を受けている。一方のTrend Microは、訴訟の範囲はかなり限定されており、FOSSコミュニティの懸念は早計で根拠のないものだと主張している。

訴訟の経緯

 侵害を受けたとされる特許は米国特許第5,623,600号で、SMTPまたはFTPゲートウェイ上でウイルス検出を行うというものだ。この特許の出願は1995年、登録は1997年4月で、その後すぐにアンチウイルスソフトウェアの大手プロプライエタリ企業SymantecとMcAfeeの両社から和解を引き出すのに使われている。和解に関する情報は公表されていないが、のちにSymantecとMcAfeeがTrend Microと協力していることから、両社はTrend Microに最低限のライセンス料を支払っているとみられる。「一般に入手できる情報を見る限り、支払いに応じた側がこの特許を危険だと思ったことを示す部分は見当たらない」とMoglen氏は言う。「だが、彼らがこれを厄介な特許だと考えていることを示す情報はいくつかあった」

 2005年、3社目となる侵害訴訟が今度はFortinetを相手取って起こされ、米国の国際貿易委員会(ITC:International Trade Commission)がFortinetの侵害を認める判断を示したことで決着がついた。

 Trend Micro側は、ただ正当な権利を行使しているに過ぎないとの立場を取っているが、Barracudaに対する今回の訴訟は懲罰的な意味合いが強い。Barracudaが和解に消極的なことから(同社のCEO、Drako氏は「多額の金が要る」とコメントしている)、Moglen氏は、この訴訟が特許法を利用して競合他社に事業から手を引かせようとするものである可能性もある、と述べている。もしそうなら、このやり方には幾分皮肉めいたものが感じられる。そもそも特許制度は自由経済の発展を目的として技術革新を促すためのものだが、この場合はある意味、自由経済への非公式な当局の介入として利用されているからだ。

 2006年後半、Trend MicroはBarracudaに対して警告書の送付を開始する。その内容は次第に強硬さを増し、Barracudaの製品からClamAVを排除するか、さもなければライセンス料を支払えとの要求が出されるに至った。Drako氏は会合の場を設けようとしたが(その試みは現在も続いている)、失敗に終わる。「正式に拒否の回答をもらったことは一度もない。だが、実際に権限を持った人物とは決して話し合いの場を持てないような気がする。先方のCEOやCFOをはじめ、重要な話ができる人物との交渉を試みているが、彼らの弁護士が認めようとしないのだ」(Drako氏)

 警告状の内容に対する不安を募らせたBarracudaは、法的代理人であるWilson Sonsini Goodrich & Rosatiを通じてカリフォルニア北部地区連邦地方裁判所に宣言的判決を求める申請を行った。これに対し、Trend Microが特許侵害の提訴に踏み切ったというわけだ。

 ただし、Trend MicroがBarracudaのほかにPanda SoftwareとPanda Distributionも相手取ってITCに訴状を提出したのは、Barracuda側の申請による連邦地裁での審理開始前の2007年11月である。Barracudaの要請により、連邦地裁の一件はこのITC訴訟の審理まで延期された(こうした状況では標準的な対処である)。

 Trend Microのこのやり方は、訴訟の管轄区を、一般にソフトウェア特許訴訟に関して比較的公正と見られている(おそらくは、この分野に詳しいシリコンバレーの陪審員にあたる可能性が高いため)カリフォルニア北部地区から、被告にとって不利な管轄区に移すことを狙ったものだ、とDrako氏は述べる。「ITCは被告側にとってきわめて厄介なところだ。証拠開示の量に上限がないため、証拠開示要求への対応に7~10日もかかるし、宣誓証言の数にも制限がない。また、ITCでは事実上1年での解決が保証されている」

 おそらくこの訴訟をITCの管轄下に置くためだろうが、Trend Microの訴状には、ClamAVは世界中のFOSS開発者が手がけたものなので輸入ソフトウェアにあたる、と記されている。米国のWebサイトであるSourceForge.net(このサイトはLinux.comサイトと同様、OSTGが運営している)にある同プロジェクトのページから容易にダウンロードできるというのにである。Barracudaと同社の広報担当者によれば、Trend MicroはBarracudaが自社製品向けに独自のマザーボードおよび電源ユニットを輸入しているとも主張しているようだ。だが、Drako氏は「どこでも買える普通の市販コンポーネントなのだが」と話している。

 そして2007年12月、ITCはこの訴訟の審理に同意する。訴訟のスケジュールの詳細は、2月末に決まる予定である。

 一方、Barracudaはこの訴訟を公表することを決めた。「気持ちのうえでは容易な決断ではなかったが、最後には『事態が事態だけに公にするしかない』ということになった。それに、オープンソースコミュニティでは判例として参考になるかもしれない」(Drako氏)。また、Drako氏はRichard Stallman氏に会ったりSoftware Freedom Law Center(SFLC)に相談したりもしていて、SFLCではこの訴訟におけるBarracudaの支援策(Blackboardのeラーニング特許の際に行った特許の再審理など)を検討している。

最終更新:2008年04月02日 17:08
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