金曜日のセッションは、「Open Source Software In Education」(OSSIE)と「Women In Open Source」(WIOS)、および2つの会場で同時進行された「Demonstrating Open Source Health Care Solutions」(DOSHCS)という構成である。このうちOSSIEトラックで解説されていたのは、教育カリキュラムへのコンピュータプログラミングの組み込み方および、Moodleという学習コース管理システムなどの具体的なオープンソース製品を活用した教育インフラストラクチャの構築法という、小学校から大学までをカバーする各種の教育現場におけるオープンソースの活用法である。
オープンソース世界で活動する女性達
OSSIEトラックにも多く興味を引かれる点があったが、私の金曜日の日程は主としてWIOSとDOSHCSの両トラックに分割して過ごすことにした。タイトルに“Women”と冠されたWIOSではあるが、その内容は男女ともに開かれたものとなっており、高度に技術的な解説だけでなく哲学面をもカバーした各種のトピックが用意されていたのである。例えば、開発者であるAngela Byron氏がDrupalというPHPベースのコンテンツ管理システムに関するテクニカル面での講演をする一方で、OpenLogicのStormy Peters氏は最近よく耳にするコミュニティマネージャという肩書きについて解説しており、その実際の役割は個々の企業やプロジェクトごとに大幅に異なるものであって、テクニカル面でのタスク、ビジネスおよび管理面での業務、意見の交換や活動全体の擁護といった多岐にわたることを説明していた。
Peters氏はこの講演のために、オープンソースだけでなくクローズソース関係のオンラインコミュニティも含めたコミュニティマネージャの背景調査を行ったそうだ。そして同氏は、オープンソースプロジェクト全体における女性参加者数は2%程度でしかないものの、コミュニティマネージャのジョブに関してはかなりの割合を占めている点に触れていた。この現象を説明する理由として同氏が提示していたのは、コミュニティマネージャの指導力は(上からの命令形式ではなく)対人的な影響力によって発揮されるものであり、西洋文明においてそうしたものは従来から女性に適した役割とされてきたことおよび、この種のコミュニティは“スキンシップ的”な交流が求められるため、そうした分野でのマネージャ職に適していないと男性自らが感じる傾向にあるのではというものであった。
「Why Whinging Doesn't Work」(愚痴を語ることが実りをもたらさない理由)と題された講演にて、オープンソースに携わる女性陣が形成するコミュニティそのものについて語ったのはIntelのDanese Cooper氏である。タイトルにある“Whinging”とは“不満を愚痴る”という意味のイギリス英語のスラングであるが、Cooper氏の説明するところでは、オープンソースのミーティングで女性陣が愚痴り始めると、本来はディスカッションであったものが“泣き言セッション”と化す傾向にあり、それがwhingingという現象の定義だということになる。こうした泣き言セッションは結局のところ非生産的な活動でしかなく、いったん発動すると検討すべき他のトピックを脇に追いやってしまい、結果的にオープンソース活動に女性が参加する意欲を奪ってしまっているとのことだ。
その一方でCooper氏は、オープンソースで有益な活動をしている女性グループやイベントをいくつか取り上げ、She's GeekyコンファレンスおよびGoogleのGirl Geek Dinnerシリーズといった生産的でポジティブな成果を残したものを紹介していた。同氏の講演を締めくくったのは、他人を批判していると受け取られないように用いる表現を選ぶことや、問題解決の方向に時間を割くようにするなど、負の連鎖に陥ったグループが状況を打開するためのヒントであった。実際こうした見解は男女の性別を超えてすべてのオープンソースコミュニティで役立つ話だということが、質疑応答の際に聴衆サイドからの意見として出されている。
