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EUで官民共同プロジェクトがOSSの利用を促進する計画を発表

2008年02月19日 12:34 Marco-Fioretti(2008年2月14日(木)) 1 2

現場からの批判

 Roberto Galoppini氏などのブロガーは、QualiPSoによる報告書の作成にはコストがかかりすぎているうえ、新しい情報はほとんど含まれていないと批判して、次のような質問を投げ掛けている。QualiPSoには必要以上の公的資金が投入されているのではないだろうか? その公的資金は、QualiPSoのメンバー企業にとっての利益にしかなっていないのではないだろうか? コンピテンシー・センターなどの取り組みは、維持できるだけの公的資金が得られなくなれば即刻廃止されるだけなのではないだろうか? なお今回の会議の休憩時間にも、様々な出席者からの同様の声を耳にした。

 コンピテンシー・センター・サブプロジェクトのリーダーであるJean-Pierre Laisné 氏は、QualiPSoの報告書にあまり新しい情報が含まれていないという点について認めた。しかしLaisné 氏によるとそれでもなおそのような情報は、どういう理由であれその辺のハッカーの声には耳を傾けることはできない(あるいはそのつもりはない)地域の企業/行政機関/ヨーロッパ全土に渡る大企業に対して、OSSをサポートするという正式な約束となる形で、きちんとまとめて正式に発表する必要があるものなのだという。ブロガーのDana Blankenhorn氏も「QualiPSoのコストと一見当たり前の内容に思われる報告書について」でほぼ同じ意見を述べている。

 今のところQualiPSoは、ヨーロッパを拠点とするOSS関連の企業が、ヨーロッパの大企業や行政機関からできるだけ多くのOSS関連の契約を獲得するための手段だと言えるだろう。しかしQualiPSoにはブラジルや中国からのメンバーもすでに参加している――つまり今後も、そのような国々のソフトウェア企業が自国の市場で同じ戦略を実践するためにQualiPSoに参加するようになる可能性がある。このことは特に米国の観点から見ると非常に興味深い。QualiPSoは、IBMやMicrosoftやSunやOracleといった企業を自国の市場から駆逐したい――現時点では、米国外の一企業が単独でこれを実現することは不可能だ――と考える米国外のソフトウェア企業の拠り所となる可能性も秘めている。

 ヨーロッパの行政機関が今後、コストと透明性と効率性とをより重視するようになって、コストが高く低速な手動/紙ベースの手続きを全般的に取りやめていくことになれば、高品質なOSS――すなわち、堅固で信頼性が高く、実世界において実際に相互運用が可能で、自国の法律と全面的に互換性のあるソフトウェア――を構築/採用するための明確な規則/ツール/規範が不可欠となる。しかし役所の手続きを相互運用可能な形でソフトウェアとして実装するためのひどく退屈な細かい点をすべて解決するということは、決してボランティアが望んでやりたがることではない。したがってそのような場合には、少なくともEUのいくつかの国においては、QualiPSoのような組織の形で民間からの協力を少し得たとしても決して害にはならないだろう。

 今のところ、QualiPSoの運営がどれほどオープンな形で行われるのか、またQualiPSoの活動がそのメンバーだけでなくヨーロッパのすべてのOSSコミュニティにとってどれほどのプラスとなるのかについてはまだ明らかではない。そのような懸念以外にもこの最初の一年に関して、活動計画が発表されていなかったことや、全体的にQualiPSoとコミュニティとの間で十分な情報交換や接触の機会がなかったことについての不平が聞かれた。しかし今やプロジェクトが正式に公開されたので、今後は改善するだろう。

 そのような不平もあるとは言え、国会から小規模な都市の議会や教育委員会までヨーロッパのあらゆる規模の行政機関は今後QualiPSoの存在によって、提案したのが誰であったとしてもOSSを無視しにくくなる可能性がある。またQualiPSoの存在によって、Microsoftなどのプロプライエタリなソフトウェアを却下したために解雇されるというようなことは起こり得ないというくらいにまでヨーロッパにおけるOSSの地位が正式に高まる可能性もある。QuailPSoには「OSSをサポートする法律/規制の提案、ならびに政治レベルでのOSSの振興」を目的とする「利用と普及」サブプロジェクトもある。イタリアのROSPAグループなどOSSの利用促進を目指すヨーロッパのあらゆる公務員にとって、EUの賛同を得ているQuliPSo報告書は、地元企業からOSS製品/サービスを購入することで地元のIT雇用を生み出すことが最終的には無難な選択肢であるということを上司に説得するための優れた論拠となるだろう。

 さらに言えば、企業や行政機関がすでに公的資金を投入しているという事実があるため、QualiPSo内部についても、それ以外の「OSSは公的な評価が高いのに公的資金を獲得していない」で指摘されているような状況においても、市民は議員に対して意見を主張しやすくなるかもしれない。EUでさえもがその普及に取り組むほどOSSが優れているのであれば、なぜもっと利用しないのだろうか?

 概して、QualiPSoの今後数ヵ月間の動向には興味深く注目すべき理由が数多くある。

Linux.com 原文

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最終更新:2008年04月20日 17:07