Celestia
Stellariumで天界を眺めているうちに、今度は星々を巡りたくなった。この Celestia を使えば、Stellariumに出てくるほとんどすべての星を探索することができる。火星の上を浮遊したり、北極星に行ったり、何十光年も離れたところから太陽を見たりといった状況のすべてが、驚くほど美しいグラフィックで描画される。
NASAでは福祉活動にCelestiaが利用されている。このソフトウェアは可能な範囲については事実を再現しつつ、ほかの部分についても宇宙がどのように見えるかの推測を天文学の理論を使って行っている。ただし、どれが事実でどれが推測かはわからないので、ちょっとした発見 ― たとえば、北極星の黒点 ― をした際にこれは果たして事実なのだろうかと思うことがある。だが、Celestiaによる推測は有用でこそあれ害にはならない、と私は思っている。
ほとんどのコンピュータでは、Celestiaを実行するのにハードウェア・グラフィック・アクセラレーションが必要になる。CelestiaにはGNOME、KDE、汎用のGimp Toolkit(Gtk)用の各フロントエンドが存在するが、使用するものをコンパイル時に選択するか、使っているディストリビューション用のCelestiaパッケージを選択する必要がある。今回のレビューでは、KDE用のフロントエンドを使用した。
Celestiaには、詳細な情報が数多く含まれている。太陽系のすべての惑星と主な衛星、太陽系の外側にあるいくつかの惑星、そして何千という恒星をレンダリングするための画像とデータだ。これで足りなければ、Celestiaの公式アドオンサイト「The Celestia Motherlode」に10GBを超える容量の拡張機能群が用意されている。特定の場所や宇宙探査機を高画質でレンダリングするための拡張機能のほか、『バビロン5』や『スター・ウォーズ』のようなSFファンタジーに登場する惑星や宇宙船を追加できるものもある。
Celestiaを起動するには、デスクトップのメニューアイコンを使うか、コマンドプロンプトのあとに「celestia」と入力する。最初は、地球の近くで太陽を中心とした軌道を周回する実体のない宇宙船からの眺めが表示される。
Celestiaの感触をつかむには、あらかじめ用意されているデモを見るよい。キーボードの「d」キーを押すと、宇宙を周遊しながらの機能紹介が始まる。あるいは、自分で宇宙船を操縦することもできる。「a」キーで前進、カーソルキーで方向転換、「z」キーで減速だ。
また、Stellariumと同じように時間の進み具合を速めるには「l」キーを、遅くするには「k」キーを使う。地球を眺めながら時間の流れを速くしていくと、数秒おきに昼と夜が入れ替わるのがわかる。さらに速くすると、月がほんの数秒で軌道を一周するようになる。注意深く見ていると、月食や日食も観測できるはずだ。日食のときには、ぜひ時間の進行を遅くして月影が地球上を横切るのを見てもらいたい。Celestiaの画像を、国際宇宙ステーションにいる宇宙飛行士が撮影した本物の日食の写真と比較することも可能だ。
光源をクリックすると、その情報が表示される。ダブルクリックすると、その光源が画面の中心に来る。選択している対象に行くには「g」キーを、その動きに追随するには「f」キーを押せばよい。
また、「p」、「m」、「b」の各キーを押すと、それぞれ付近の惑星、衛星、恒星の各ラベルの表示/非表示が切り替わる。星を線でつないで星座の形を描き出すには、「/」キーを押す。星座を表す線を表示させたままで太陽系のはるか遠くへと飛んで行くと、その星座の見え方が少しずつ変化し、最終的には見えなくなるのがわかる。
Celestia以上に楽しくてすばらしい教育用のフリーソフトウェアを私は知らない。ただ、もう少し使いやすければよいのにとは思う。スペースシャトルの操縦を覚えるほうが、目に見えないCelestiaの宇宙船の操縦を覚えるよりも簡単なのではないかと感じることがあるくらいだ。しかし、Celestiaをマスターすれば、指先1つで宇宙の美しさをくまなく堪能できるようになる。
