さてこうしたリストを考える場合、オープンソースソフトウェアにおいて何を持って活動停止したプロジェクトと見なすかの線引きを事前に定めておかなくてはならない。まずアプリケーションの中には、ある程度の完成状態に到達してしまったが故にその後は長期にわたってアップデートされないというものも存在する。システムライブラリ関連のものでこの範疇に属すものはほとんどないが、物好きなプログラマが作成したニッチ中のニッチ的な使い道しかないアプリケーションの場合は、Linuxカーネル側で根本的な変更が加えられでもしない限り何らのアップデートが施されなくても特に不思議はない。例えば私が昨年11月に記事を執筆したHeyuというアプリケーションもこのタイプに属している。これはX10と呼ばれるホームオートメーション制御用のアプリケーションで、ごく限られた種類のハードウェアとシリアルポート通信をするためのものだが、このアプリケーションの新規リリースを必要とするX10プロトコルの改訂などはめったに生じないはずだ。実際Heyuのアップデートはごく稀にしか行われていないが、このプロジェクトは活動停止している訳ではない。
よってここでの線引きは開発者の活動状況を基準とするが、その際には具体的な開発活動だけでなくコミュニティ的な活動状況も配慮することにする。つまりリリースの頻度が極めて低い場合でも、ユーザから出された質問に対する開発者サイドによる回答が積極的に行われている、新規ユーザへのサポート活動が継続され続けている、コードに関する議論が活発であるという場合、そのプロジェクトは生きていると見なすのだ。例えばWengophoneプロジェクトは2007年末に大手企業スポンサによる資金提供を失ったため、有償で参加していた開発者たちはこのプロジェクトから去っていったが、その後もボランティアコミュニティは同アプリケーションの今後について大筋から細部に至る検討を継続していた。その後程なく新たな企業がパートナとなって開発活動に協力する運びとなり、このプロジェクトは見事に息を吹き返したのだ。
この基準に照らし合わせて整理すると、私が2007年中に取り上げたうち正式ないし暗黙の形で店じまいしたプロジェクトは4つ存在し、またそうした危機を憂う段階のあるプロジェクトは5~6件あるように見受けられる。
