ソフトウェアに自由を!
改めて言うまでもないが、コード署名および守秘義務契約(NDA)にまつわる制限は、プログラムの使用契約に同意した開発者にのみ適用される問題である。例えばiPhoneをリバースエンジニアリングできれば、思う存分に独自のコード開発ができるはずで、オフィシャルなSDKを介さなければ自分の開発成果に任意のライセンスを付けて公開することは可能なのである。
実際、現在存在しているサードパーティ系iPhone用アプリケーションはいずれもiPhoneというデバイスを取り囲む制限を独自に突破した成果なのであるが、少なくともこうした余技にも等しい成果がAppleをしてiPhone用のSDKを整備させた一因になっていたはずである。
またAppleの開発コミュニティの名誉のために一言触れておくと、非フリーソフトウェアに適用する場合においてもiPhone SDKの使用には制限が伴うことは彼等自身も承知しているようで、その件に言及した記事も各種執筆されている。
iPhone SDK時代の幕開けが告げられた今日、iPhoneというデバイスの登場に際してFSFが何を語っていたかを振り返ることも一興だろう。FSFによるGPLv3の公開は奇しくもAppleによるiPhoneの販売開始日と重なっていたため、このイベントはiPhone購入者に課せられる制限という問題提起の機会としても利用されていたのである。
FSFの取締役を務めるPeter Brown氏は「所有者の制御下にないデバイスは所有者の利益に反した行為を成し得るという点で、(このデバイスは)障害を抱えている」という発言をしており、この発言を掲載した記事では、DRMによるロックおよび“TiVo化”(TiVoization)が最大の問題であると指摘されていた。
その後TiVo化に関する問題は曖昧化してきた印象があったものの、様々な制約が設けられた今回のiPhone SDKの登場によって、iPhone用のフリーソフトウェアが自由に作成できないという件はよりいっそう明確な問題として認識されることになった訳である。
