今回のコンファレンス1日目は午前9:45というごく真っ当な時間にて開始され、基調講演として語られたのはMozilla FoundationのZak Greant氏による「The Age of Literate Machines」(機械が読み書き能力を備える時代)であるが、これを同氏自身は自らがスライドに使用した歴史資料になぞらえて「Everything I Needed to Know About Open Source, I Learned From Playing Civilization」(オープンソースに必要な知恵はすべて文明から学んだ)であると後にジョークを飛ばしていた。Greant氏による講演の論旨は、フリーソフトウェアおよびオープン標準という最新の技術革新につながる源流には、テレビ/ラジオや印刷機の発明、聖書の各国語への翻訳、ハンムラビ法典の制定など、何千年もの歳月をかけて徐々に培われてきた社会的自由の拡大という潮流が存在するというものである。そして同氏が現在抱いている疑問は、インターネットもやがて規制されることになるのかということよりも、それが果たして正しく規制されることになるのかだとしている。ここでは、機械に対する“正義のアルゴリズム”(justice algorithm)と同氏が呼ぶ概念が提示され、機械が自己認識を有すようになった暁には、その制御をフリーソフトウェアではなくプロプライエタリ的な存在に任せることに納得できるのかという問題提起により締めくくられた。聴衆にとってこの問題提起は想定の範囲外であったようで、あまりに斬新な内容に最初は戸惑っていたようだが、このプレゼンテーションは終日話題に上っていた。
その後短い休憩を挟んで開催されたのは、XML開発の貢献者の1人として知られるTim Bray氏によるWeb開発の現状に関する講演である。同氏は昨今使われている“Web 2.0”などは宣伝目的の言葉遊びに過ぎないと嘆きつつ、現在のトレンドは“貢献という文化”を形成する方向に進んでいるのだと要約し、最新世代のWebアプリケーションの普及によりこの種の貢献活動への参加障壁がいかに低められてきたかを様々な図を使って解説していた。その次に同氏はプログラミング言語の人気状況に話を進め、PHPの利用率は安定しているよう見られるものの、その一方でPythonとRubyの使用が伸びつつあると語っている。同氏が特に興味を抱いているのはRubyであり、「実際Rubyは私のコーディングの考え方に大きな影響を与えています」としていた。そして同氏は開発者たちに向けての要望として、こうした人々は何らかの形で貢献できるものを各自が有しているのであり、それと同時に新世代のコラボレーション的な活動を自分たち自身が利用するための手法を身につける必要性があるとして、“傲慢さと謙虚さのバランスを取る”よう訴えかけた。その後で同氏が私に語ったところによると、今回の講演はSunのWebテクノロジ責任者として観察してきた体験を基にまとめたものとのことだ。
