現行のEquinoxデスクトップ環境に残された不備
EDEを実際に使用すると、些末的なものではあるが、今日では標準的と見なしていいはずの機能のいくつかが未だ装備されていないことに気づかされることになる。例えば、デスクトップにある複数のアイコンをマウス操作で選択しようとしても、点線で囲まれた矩形領域を表示する形での一括選択は行えないし、テキストラベルに対するマウス操作にもアイコンは反応しないのだ。
その他にもMetaキー(あるいはAltキー)と右マウスボタンの押し下げによるウィンドウのサイズ変更機能もここでは使用できない。この操作法によるサイズ変更はウィンドウの境界線上にあるスポットをマウスで選択する方式よりも実行しやすいため、今では多くのウィンドウマネージャにて採用されているものである。同様に、画面の端においてユーザによる操作が認識されにくくなる点も、改善の余地が残されている1つとしていいだろう。
しかしながらEDEの抱える最大の問題は、freedesktopとして普及した標準に適合していない点としてよいのではなかろうか。例えばこの環境ではEDEが独自に用いてきた$HOME/.ede/desktopディレクトリが優先されて、私のDesktop/フォルダに格納されたアイコン群は表示されないのだ。またドラッグ&ドロップ操作についてもこのデスクトップコンポーネントでは互換性のないプロトコルが使われているようで、EDEではウィンドウ内にアイコンをドロップしても実際にはその下側にあるデスクトップ上に移動されてしまう。同様にEDEのメニューシステムも、パッケージ用インストーラ群にて広範に使用されているデスクトップメニューの仕様に則しておらず、このシステムの管理についてはユーザが自己の判断にて行うしかない。その他にもEDEの場合は、起動したアプリケーションに関するスタートアップ通知のフィードバックも行われないのである。
この標準についてはEDE側自身がその準拠を宣言していないのであるが、これは今日広範に用いられているアプリケーション(例えばQtやGTK+2系アプリケーションの多く)およびデスクトップ環境の多くが採用している標準であるので、仮にEDEでも採用されていたならその操作性は大幅に向上していたはずである。
まとめ
軽快に動作する小振りなデスクトップ環境の構築を目指したEDEプロジェクトは、現在その目標達成に向けて成長を遂げつつある段階である。とは言うものの、ウィンドウ群をタイル状に密着配置させるタイル型ウィンドウマネージャなどの斬新なユーザインタフェースが好みというユーザであれば、EDEを気に入ることはないだろう。このプロジェクトにて目標として掲げられているのは、軽量ではあるが保守的なデスクトップ環境なのである。本文中でも触れたドラッグ&ドロップの不備などに関するマイナーな修正さえ行われれば、実務の現場での使用に耐えうる完成度となってくれるはずなのだが、残念ながら同プロジェクトにおける開発作業はかなりのスローペースで進められているので、ごく近い将来にこうした要望がかなえられることはないであろう。
Leslie P. Polzerは、フリーソフトウェアのコンサルタント、ソフトウェア開発者、グラフィックスデザイナ兼、著述家であり、自分の仕事の大半はタイル型ウィンドウマネージャのターミナルウィンドウにてこなすようにしている。
