カナダのオンタリオ州チルソンバーグを拠点とするOpen Computingにて活動するフリーランスのシステム管理者であるSean Hurley氏が、Bill C-61の抱える本質的な欠点として指摘しているのは、メディア関連のテクノロジに対するリバースエンジニアリングを違法化することはテクノロジの発展を妨げかねないという点だ。
同氏はカナダにおける現行の著作権法には改善の余地が残されている点は認めつつも、今回の草案については世界知的所有権機関(WIPO:World Intellectual Property Organization)の国際協定とされた価値観を一方的に押しつけるものであって、カナダ国内の消費者やアーティストの意見をフィードバックさせたものにはなっていないとしている。
「オープンソースのモデルと一口に言ってもサーバ関連のものは現状でかなり成熟しているので、それほど大きな影響は受けないでしょう」とHurley氏は語る。「ただしデスクトップ分野についてはオープンソースの普及を妨げることになります。マスコミ関連の巨大企業連合は……、すべてお金がらみで動いていますからね。そうした連中は、法的な観点からは実体を有さない団体であるオープンソースコミュニティとの間で、メディアの再生やロックの解除機構に関する使用許可契約やデジタル著作権に関する提携を結ぼうとはしませんよ。これはつまり、メディアデコーダの類をLinuxベースのデスクトップコンピュータに搭載することの妨げになるどころか、おそらくはその種の行為が違法活動と見なされるようになるということです」
「この法案は、各種の権利間のバランスを損なうことになります。それは消費や創造という活動に対して最低限の貢献しかしない第三者に最大の権利を与えることになるからです。そしてこれまで民法にて扱われていた権利問題は、刑法の管轄に移管されてしまいます。仮にこれが正式な法律として成立した暁には、カナダ国内でLinuxを用いてDVDを再生する人間はすべて犯罪者ということになりますね」
