ハーバードビジネススクールのKarim Lakhaniが司会を務め、そこにCreative CommonsのScience Commonsプロジェクトを担当するJon Wilbanks、O'Reilly社のAllison Randall、Microsoft社Open Source Software LabのBryan Kirschner、カリフォルニア大学デービス校のSiobhan O'Mahony、MySQLとSun社のZack Urlockerがパネリストとして加わった。オープンソースはどんなときに、なぜ、どのようにうまくいくのか。どんなときにうまくいかないのか。6人は延々3時間に渡ってさまざまに議論し、聴衆からの質問に答えた。
パネリストの背景が多様であることから、意見の激突は必至と思われたが、コンセンサスの成立する場面が意外なほど多かった。これには、たぶん、問いかけの意味を明確にしたことが大きかったと思う。たとえば、「オープンソースがなぜ機能するか」を考えることは、個人開発者をオープンソースプロジェクトに駆り立てる動機は何か、オープンソースコミュニティを活発化させる条件は何か、企業はボランティア開発者のコミュニティとどう関わるのか、オープンソース製品を持つ企業は同分野の開発者・ユーザ・顧客のコミュニティとどう交流するのか、を考えることだとされた。
オープンソースの驚き
司会のLakhaniはパネリストを紹介しながら、オープンソースで一番驚いたことは何かを各人に尋ねた(自身は「Microsoft社にオープンソース室があると知ったのが一番の驚きだ」そうだ)。Wilbanksは、「Science Commons(Creative Commonsが芸術作品で行っているように、学術的な論文・データベース・研究ツールのオープンなリソースを築こうとする試み)をやっていると、驚くことばかり」と言い、その意味を「オープンソースの理念が最も適合すると思われる分野、たとえば教育でそれが根付かず、実に意外な分野で盛んになったりする」と説明した。
RandallとKirschnerは、ともに「オープンソース運動が多くの個人の活動の上に成り立っているのに、全体として実にまとまりのある運動になっていることに驚いている」と述べた。O'Mahonyも同感だと言い、さらに「運動の成長と規模の拡大がバランスよく進行していることも、オープンソース運動の驚くべき点です」と付け加えた。
Urlockerは、「オープンソースがこれほど成長しているのに、ワシントン州レドモントの会社のあまりの反応の鈍さに驚いた」と、Microsoft社の目指す方向を皮肉った。スタートの遅れから、Microsoft社は丸々1世代分のプログラマを失った。Microsoft社に入ったかもしれないそのプログラマたちは、いまオープンソースツールを自主学習し、それを使って市場に参入しようとしている。「いまのベンチャーを見てください。Microsoft製品など使わず、Linux、Apache、PHP、MySQLでビジネスを組み立てていますよ」
Microsoft社のKirschnerも同感のようだ。この運動が開発者に与えたインパクトの大きさに気づくのが遅れたことを認め、にやりと笑って、「いまや有名になったSteve Ballmerの『開発者、開発者、開発者!』という雄叫びは実に正しかったわけだ」と語った。同社には昔から"Shared Source"(ソース共有)計画があるが、オープンソースモデルがそれとどう違うのかが理解されたのは最近のことだ。その理解に至る過程では、社内技術者の力がとても大きかった。プログラマにとって便利でも、製品として売り出すのに適さないツールは、極力外部に開放していこう、と技術者が圧力をかけつづけた。
