「iPhone」はフリーソフトウェアの敵か?──FSFが抗議

 非営利団体のFree Software Foundation(FSF)は7月31日(米国時間)、米Appleの「iPhone」はフリーソフトウェアと互換性がないという抗議文を発表した。先週末に展開したAppleスタッフに質問するキャンペーンに続くもので、AppleはiPhoneでフリーソフトウェアに敵対する態度をとっている、と批判している。

 FSFは同日、Webサイトに、「Why free software and Apple’s iPhone don’t mix(なぜフリーソフトウェアとAppleのiPhoneは両立しないのか)」というタイトルの抗議文を掲載した。ここでFSFは、AppleはiPhoneは携帯電話に過ぎないとしてフリーソフトウェアとの互換性を軽視していると主張している。

 FSFが問題としているのは、 iPhoneでアプリケーションをダウンロードする際のDRM(Digital Restrictions Management)システムだ。Appleの承認を受けたものかどうかをチェックするもので、FSFはさらに、AppleがiPhoneアプリケーション配信チャンネルとして「iTunes App Store」だけを認めている点も批判している。

 声明文を執筆したFSFのJohn Sullivan氏は、他のプロプライエタリソフトウェアと比較して、iPhoneにはプロプライエタリからの”脱出ルート”がないと指摘する。「Appleの新しい制限的なモデルは、iPhoneユーザーをこれまでにない形で不当にコントロールするものだ。われわれはiPhoneとiPhoneのモデルを拒否し、われわれの自由を尊敬し奨励する企業を支援すべきだ」とSullivan氏は記している。

 FSFはまた、AppleのCEO、Steve Jobs氏に対し、iPhoneでフリーソフトウェアを利用できるよう請願することも呼びかけている。

 FSFはこれまでにも、フリーソフトウェアの観点からiPhone反対キャンペーンを展開している。FSFの反DRMキャンペーン組織、Defective By Designでは、Apple StoreのサポートセンターGenius Barにて7月25日から3日間、アプリケーションの制限やDRMについて質問しようというキャンペーンを展開した。また、FSFが7月10日にブログに発表した「iPhone 3Gを避ける5つの理由」では、iPhoneがOgg VorbisやTheoraなどの特許フリー、DRMフリーなフォーマットを再生しない点などを挙げていた。

Free Software Foundation(FSF)
http://www.fsf.org