最近までは、ソフトウェアがフリーかどうかというのは、主にライセンスで判断されていた。だが2年前のgNewSenseの登場で、Linuxカーネルにはフリーではない要素も含まれているという事実をフリーソフトウェアコミュニティは認識した。フリーでない要素とは、たとえば非フリーなファームウェアに依存するハードウェアドライバなどだ。gNewSenseは、こうした要素を取り除いてリリースされたディストリビューションだった。これを受けてFSFは、事務局で利用するディストリビューションとしてgNewSenseを採用。さらに今年は、フリーディストリビューションとは何かを明確に定める一連のガイドラインを発表した。その中では、この取り組みがまだ新しいことをふまえて、まだ完全なガイドラインにはなっていないことを明言したうえで、非フリーな要素を取り除くための「真摯な努力」が、ガイドラインの完全な遵守と同じく重要だと述べている。
この新たな定義の普及を目指してOliva氏が立ち上げたのが、完全にフリーなカーネルを提供するための取り組みであるlinux-libreプロジェクトだ。Oliva氏は、一連のスクリプトを使用して作業を進める。「linux-libreのメンテナンス作業には、1日2~3分しかかからない。ほとんどの場合、手動での削除処理は特に必要ない。フリーでない部分はLinuxの中の決まった場所にあることが多く、手動で特段の処理が必要かどうかはスクリプトで判断できるからだ。これらのスクリプトは数日がかりで作り上げ、今でもときどき修正を加えているが、最近はほとんどがルーチンワークだ。新しいLinuxリリースが登場したら、フリー化を施したtarballがわずか数分で出来上がる。リリースの開発サイクル全体を通して、そのための準備を重ねてきているからだ」。
だが、取り組みを進める中でOliva氏は気付いた。こうしてフリー化したカーネルを利用するかどうかは、単なる技術的な問題ではなく、主義主張が絡む問題でもあるのだと。
