DVDを簡単にバックアップできるK9Copy

 不正コピーは別として、DVDをバックアップすることにはそれなりに正当な理由がある。DVDコピーユーティリティの K9Copy は多くのフォーラムで高い評価を得ている。そこで、試しにちょっと使ってみたが、さすがに評判になるだけのことはあった。

 私は旅先で自分のノートPCを使って映画を見るのが好きだが、オリジナルのDVDを携行する気にはあまりなれない。それよりもハードディスクにダウンロードして、オリジナルは自宅に保管しておきたいと思う。また、子供がまだ小さい場合など、DVDが雑に扱われる恐れがあるので、バックアップを作成しておいた方がよいだろう。ただし、法律は国ごとに異なり、地域によってはそのような公正な使用さえ禁じられていることがあるので注意されたい。

 K9CopyでDVDをコピーするときは、DVDディスクのオリジナルのメニュー構造をそのまま保持してコピーする方法と、新しいメニュー構造を作成してコピーする方法がある。また、ISOイメージを作成するか、オリジナルのビデオを圧縮してAVIファイルなどに変換し、ハードディスクに保存したりCDに焼いたりすることもできる。K9CopyはGNU General Public License(GPLv2)のもとで使用が認可されているので、完全にオープンソースであり、費用もかからない。最新版は2.0.2(2008年6月リリース)で、KDE 4に対応している。まだKDE 3をお使いなら、バージョン1.2.3(2008年1月リリース)を使用することになる。

インストール

 K9Copyにはシェルがあって、そこで各種のユーティリティが実行される。K9Copyパッケージをリポジトリから直接インストールできない場合は、構成パッケージを個別に入手し、手動でインストールする必要がある。必要なものはdvdauthor、growisofs(dvd+rw-toolsに含まれている)、MEncoder(MPlayerの開発者たちによって提供されている)、Vampsで、さらにlibhallibdbuslibdvdreadlibdvdcssなどのライブラリも必要である。libdvdcssがないと、プロテクトされた(商用)DVDを操作できない。

 openSUSEでは、K9Copyをあっけなくインストールできた。かの有名なPackmanリポジトリに当のパッケージそのものが収録されているからだ。私はSmartを使用しているので、いつもの通り「smart install k9copy」というようにコマンドを実行するだけで済んだ。ダウンロードページには、Debian、Fedora、FreeBSD、Gentoo、Mandriva、Slackware(それから派生したSlax)はもちろん、Arch LinuxやPardusなどのあまり知られていないディストリビューションについても対応するバージョンが掲載されている。

使い方

k9copy1_thumb.png
K9Copy

 さて、DVDをドライブにセットし、K9Copyを起動しよう(openSUSEではメインメニューのMultimedia→CD/DVD Burningの下にある)。なお、筋金入りのコマンドライン派なら、「k9copy --help」とタイプしてシェルからK9Copyを直接使うのもよいだろう。起動すると分割画面が現れる。左上のペインでDVDコンテンツ(ツリー形式で表示される)をブラウズし、左下のペインでオプションを選択する。右側のペインには、DVDの再生オプション、プレビュー画面、または言語(オーディオ)オプションが表示される。

 まず、DVDのコピーしたい部分を選択する。DVDを丸ごと別のDVDにバックアップする場合は、オリジナルのメニューを保持するかどうかを指定し、後は言語とサブタイトルのオプションだけ選択し、他のオプションは省略してよい。二層のDVD-9を単層のDVD-5にコピーすると、データが圧縮され、(K9Copy自体かK3bを利用して)ISOイメージまたはVIDEO_TSフォルダが生成され、コピー先のDVDに焼かれる。生成するDVDの種類を指定するには、Settings→DVDをクリックし、必要なオプションを選択する。Settings→Preview(あるいはスパナの形の小さなアイコン)をクリックし、コピーの進行状況を表示するように指示すれば、K9Copyが実際に動いている様子を見ることもできる。

 ノートPCとビデオプレイヤーのどちらでも動作するディスクを作成する場合は、MPEG4 Encoding Optionsをクリックする。ここでは、使用するコーデック、表示画面の幅と高さ(ポータブルビデオプレイヤーで問題とされる)、そしてファイルサイズを選択できる。(サイズはどうすればよいか? ルールは単純だ。大きいほどよいサイズが大きいとは圧縮率が小さいことであり、それだけ画質が高くなる)。媒体としてDVDの代わりにCDを使う場合は、700MB(CDのサイズ)にCDの使用枚数を乗じた値を指定する。CDの枚数が多いほど画質は高くなる。最適な結果を得たければ、「2 pass」ボックスをオンにすること。シングルパスでは固定ビットレート(constant bit rate)に設定できるが、適応的ビットレート(adaptive bit rate)の方がよい。ただし、最終的なサイズが最初に想定したものと異なることがある。実際、仕上がりを300MBと想定して、最終的なファイルサイズが315MBになったことがあるので、計算に余裕を持たせた方がよい。

 必要なオプションをすべて選択したら、所定のアイコンをクリックするか、画面の一番上にあるActionsメニューで処理を選択してコピーを開始し、後は終了を待つ。選択したオプションとPCの速度によって異なるが、処理が終わるまでに数分から2、3時間かかる。PCの性能を知る意味でも自分で実際に試してみる必要があるだろう。デュアルコアプロセッサに4GBのRAMを搭載したデスクトップや、Athlon XPプロセッサで1GBのRAMしか搭載していないノートPCなど、何種類かのPCでK9Copyを使ってみたが、結果は大きく異なった。

結論

 K9Copyは大方の期待を裏切らないものである。コマンドを知らなくても使え、簡単な操作でDVDのバックアップやリッピングを行える。もっと多くのオプションがあって、凝ったことができるプログラムもあるが、私としては無料である点を高く評価したい。

Federico Kerekiは、ウルグアイのシステムエンジニア。20年以上にわたって、システム開発とコンサルティングに従事し、大学で教鞭をとる。

Linux.com 原文(2008年8月22日)