現時点でも十分に使える
PSPP 0.6シリーズは完成された製品ではないが、データ変換や基本的な統計解析は実行できる。また、単変量の統計値を示す表や多変量の複雑なクロス集計表を作成することも可能だ。ある変数に基づいて簡単に事例の重み付けを行う機能も、期待どおりに動作する。このままPSPPが成熟を続ければ、SPSSからオープンソースのPSPPへの移行に抵抗を感じない専門家や学生が増えていくだろう。
PSPPには、いくつかの制限がある。MANOVA(多変量分散分析)など、高度な統計解析手法の多くは、まだ実装されていない。また、PSPPで作成した図表は、SPSSやRで作成したものほどカスタマイズ性が高くない。特に重大なのは、バージョン0.6.0の線型回帰の計算に誤りがあることだ。そのため、PSPPプロジェクトは、10月10日にこの回帰計算の不具合を修正したバージョン0.6.1をリリースしている。今後のリリースでは図表の作成機能の改善が優先事項になっているほか、開発者はツール群の拡張にも懸命に取り組んでいる。
PSPPのマニュアルは、GNUのWebサイトにあり、実装済みの機能ごとにプログラマ向けの詳しい説明が記されている。このマニュアルには、まだPSPPに実装されていないSPSSコマンドの一覧も付属する。残念ながら、現時点のマニュアルは、プログラミング言語の実装に重点を置いた内容になっている。PSPPコミュニティでも、GUIのpsppireを対象としたマニュアルは作られていない。
PSPPには、開発者も交えて活発なやりとりが行われているメーリングリストがある。PSPPのコンパイルに関するやりとりが多いが、それ以外の質問も受け付けている。またPSPPプロジェクトでは、協力者の募集も行っており、統計学に詳しい開発者を特に求めている。
Andrew Choensは、リサーチポリシーアナリストとして福祉サービスを専門とするコンサルティング会社に勤務する医療ソーシャルワーカー。2000年にWindowsを捨てSUSE Linuxに移行。ときおりUbuntuフォーラムにgunkstaという名前で投稿している。
