新機能
最大の違いはGTKからFLTKへの変更だ。以前のGTK版も十分に速く、Firefoxの5分の1程度の待ち時間で開いたように思うが、バージョン2.0はさらに速い。筆者の印象では、およそ2倍。ただし、正確な計測は不可能だ。なにせ、昨今のマシンでDilloを動かした場合、所要時間は1秒前後、ノートパソコンでさえ2秒ほどしかかからないのだ。
そのほかの改良点としては、フォントのアンチエイリアス機能やタブ方式の採用がある。リンクを右クリックし、そのメニューからオプションを選ぶと新しいタブが開く。タブバーはタイトルバーの直下に現れる。ほかのブラウザーでは大概ツールバーの下だから、ちょっと意外だ。それはともかく、Dilloの開発者たちは、空白のタブを開いたり、開いているタブを閉じたりする機能を付け忘れてしまったようだ。この2つの見落としのせいで、せっかくの新機能も利便性が低下してしまった。
パフォーマンスが犠牲にしたもの
Dilloの発想に付き合うには少々慣れが必要だ。初心者にとって必要最小限しかないインタフェースは取っつきにくいだろうし、熟練者にとってもプラグインがほとんどないのはマイナスだ。Dilloにもプラグインの仕組みはあるが、これまでのところクッキーの利用を制御するアドオン以外、誰も何も作っていないようだ。
さらに重要なのは、Dilloのハイパフォーマンスが初心者にとっても熟練者にとっても高くつく点だ。改善が施されたはずの最新版でも、JavaScript、Flash、HTMLフレームはサポートされていない。いずれも現代のサイトでは一般的に使われているものであるにもかかわらずだ。
理念としてFlashに反対している人もおり、そういう人はDilloがFlashをサポートしていなくても気にしないだろう。しかし、JavaScriptがなければ、多くの企業サイトやニュースサイトの表示はできまい。実際、Dilloはテキストベースの代替ページがあればそれを使用する。しかし、いくらトップページに代替ページがあったとしても、トップページがJavaScriptを使っているのであれば、そのサイトのほかのページもJavaScriptを使っているだろうから、ほとんど無意味な対策だ。
こうした欠点が、きわめて残念なことに、Dilloの高速性とデザイン理念の魅力を減殺してしまっている。その高速性は誰もが賞賛するだろうし、その伝統的Unix流ミニマリズムには多くの人が惹かれるだろう。利用者がギガバイト級のRAMを持っていることを前提としてソフトウェアが開発される時代にあって、効率を主張するDilloは新鮮に映るのだが。
Dilloの開発者たちがこうした制約を取り除いたら、この軽量Webブラウザーは模範例となるだろう。しかし、今は残念ながら、実用的な選択肢というより、好奇心の対象でしかない。
Bruce Byfield コンピューター・ジャーナリスト。Linux.comに多く執筆している。
