ターゲットとする市場
SunがStarOfficeの扱いに苦慮しているであろうことは、その価格設定に如実に反映されている。6年前におけるStarOffice 7の基本価格は80ドルであり、企業ユーザ150人については単価50ドルにて提供されていた。ところが今日StarOffice 9の価格は60ドルに変更されている一方で、企業向けの提供価格についてはユーザ数に応じて25から90ドルという幅のある単価に改められているのだ。
こうした価格変更から伺い知れるのは、次の2点である。1つ目は、80ドル当時の価格設定でさえプロプライエタリ系オフィススイートに比べれば破格の低価格であったのに、そこから更に割引をしないとSun側は競争力を保てなかったということだ。2つ目は、現在のSunは企業ユーザこそがStarOfficeのメイン市場だと見なしているということである。
市場におけるStarOfficeの最大の競合相手は依然としてMicrosoft Officeであり続けているが、おそらくSunの方向転換は、何らかのMicrosoft側の行動に応じた対抗措置という性質のものではないだろう。そうではなくStarOfficeの価格設定とバンドル戦略を見ると、そのターゲットとして、追加機能の探索とインストールという操作を煩わしく感じるタイプのユーザを狙っているよう感じられるのだ。そして個人ユーザに関しては、こうした追加機能の入手法を知らないという人間の方が今では少数派となりつつある。
つまり“自分でできることは自力で行う”という傾向が薄く、むしろ対照的に“便利な機能なら金を払う”という姿勢が強く見られるのが企業ユーザなのだ。いずれにせよStarOfficeの選んだ方向性は、フリーソフトウェアをパッケージ化した商用ソフトウェアの成功例に対するそつのない模倣と見ていいだろう。模倣とはいえども企業ユーザにとっては魅力的に響くかもしれないが、フリーソフトウェアに関するある程度の知識を持つ人間であれば、さほどの手間がかからずに自力で入手可能な追加機能を得るだけのことに、大枚をはたいてまでソフトウェアベンダとの従来型の関係形成をしようとは思わないだろう。
このような観点で見るとStarOffice 9とは、フリーソフトウェア全般の成功を示す1つの証拠的存在なのであり、そうした中で敢えて特定の成功例を挙げるなら、それはOpenOffice.orgだということになる。Sunの場合、OpenOffice.orgを中核としたコミュニティ形成に成功したとは言い難いが、同社が行った努力は、かつて期待されたStarOfficeの魅力を損なう方向に大いに寄与していると評していいのではなかろうか。
Bruce Byfieldは、コンピュータジャーナリストとして活躍しており、Linux.comに定期的に寄稿している。
