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Netbookのゆくえ

2008年12月01日 12:00 八田真行

最近人気のNetbookだが、既存のラップトップを代替するような次世代のスタンダードになりうるのだろうか。それとも、一過性の流行りものに過ぎないのだろうか?

ここ十数年、自分用のコンピュータとしては基本的にラップトップのみを使っている。据え置きデスクトップの長所もラップトップの短所も十分に理解しているつもりだが、どこにでも同じ作業環境が持ち運べるというラップトップならではのメリットはどうにも捨てがたい。サイズは持ち運びとの兼ね合いから、12.1インチから13.3インチワイド型くらいが好みである。ラップトップは消耗品だと割り切っているので、まず安いこと、その上でそこそこのスペックというのが選ぶ際の基準となる。メーカに関しては、友人の間では相変わらずThinkPadの人気が高いが、私自身は今までThinkPadを使ったことがなく、時によってHPだったりマウスコンピュータだったりする。個人的な事情として結局GNU/Linuxを入れてそれなりに動くかどうかというのが優先されるので、高い上にファンシーだけれど往々にしてGNU/Linuxでは使えない機能やらソフトウェアやらが満載の日本の有名メーカ製ラップトップにはあまり魅力がないのである。

そういう人間にとって、ASUSのeeePCを筆頭とする昨今のNetbookブームはやや理解しがたいものがあった。確かに安いのは魅力的だが、そもそも私がコンピュータ上で何をしているかと言えば、文章書きとコード書きである(現実逃避というか主に何をやっているかを書くには、この余白はあまりにも狭すぎる)。そういったことをそれなりにやるためには、ある程度広い画面とそれなりの処理能力、そしてそれなりにまともなキーボードが必要だ。もちろん、狭い画面と貧弱な処理能力とぺらぺらのキーボードではそうした作業は全く不可能である、ということを言いたいわけではない。しかし、個人的な意見としては、ある程度条件が揃わないとこうした作業はあまり楽しいものにはならないと思う。そして私が知る限り、これらの条件を満たしているNetbookは存在しない。少なくとも、もう少し全体に大きくなければ、視力や指の太さといった人間の体の前提条件に合わないのである。

とはいえ、本業なり副業なりで日々私と同じような作業をしていると思われる他のDebian開発者の間でもNetbookは大人気である(debian-eeepcなんてプロジェクトもたちまち出来た)。私にしても、実用品としてのラップトップとは別に、ガジェット、おもちゃとしての小さなコンピュータというものは昔から好きで、今から思えばずいぶんお金を無駄にしたものだ。だから、たとえばHP 2133などにはそれなりに心惹かれるものはあったのだが、それは結局のところおもちゃが欲しいということであって、何か実用的なものを求めているわけではない。だから、おもちゃとしてNetbookが流行ったというのなら分かるのだが、どうも見ていると、すれっからしのヘヴィーユーザが遊び半分のサブノートとして買うというよりは、より一般的な、普段はWordとExcel使っていてあとはネットサーフィン(というかニコニコ動画か)とメールとネットゲームが出来れば良いですというようなユーザが飛びついているような印象を受けるのである。彼らは本当にNetbookに満足しているのだろうか?

元々流行に鈍い人間でもあることだし、そんなふうに考えているのは私だけかと思っていたのだが、どうやらIntelのおえらいさんもそう見ているらしい。CNETの記事によると、Intelのセールス/マーケティング担当副社長であるStu Pann氏が、Netbook市場に注力するつもりはないとはっきり言い切ったそうだ。氏曰く、元々Netbookは開発途上国や子供向けといった新たな市場を開拓すると思っていた。でも実際はそうではなく、アメリカやヨーロッパで普通のラップトップの代替として売れている。だから、Netbookは新たな市場を切り開くことはないし、(Pann氏自身ははっきり言っていないが)結局は先進国の既存ラップトップの相場を押し下げるだけだ。だから注力しない。そういうことのようである。これだけだとなんだかメーカのエゴイズムのようだが、そうではない。ようするに氏は、こんなNetbookのブームは一過性で長続きしない、だから変に市場が荒らされて、あとはペンペン草も生えないようになっては困ると考えているのである。彼の言いたいことは、おそらく以下の一文に集約される。

10インチスクリーンサイズのNetbookを使っても、1時間くらいは快適でしょう。しかし、一日中使いたいと思うようなものじゃありませんよ。

私も、実のところこの人に賛成である。こう考えているのはIntelだけかと言うとそうでもなく、CNETの記事中にもある通り、商売敵のAMDもそう考えているようだ。別のCNETの記事によれば、AMDは「Netbookを無視する」とのたもうている。ようするに、チップメーカはみんなNetbook市場に見切りをつけて逃げ始めているのである。そして例によってと言うべきか、サブノートは儲からないとこれまでさんざん授業料を出して学んだはずの日本のメーカが、満を持してというか、今頃になって続々Netbookに参入してきているようですが…。

Netbookというのは本当の意味で「役に立つ」のだろうか? 今まで述べてきた通り、私は役に立たないと思うのだが、たぶん私は間違っているのだろう。実際にばりばり仕事で使っている方の、忌憚のない意見を伺ってみたいところである。

最終更新:2009年01月31日 17:07