しかし、LVMによって冗長性は実現できない。LVMのねらいは、耐故障性ではなく柔軟性をストレージに与えることだからだ。先ほどの例では、「/var」ファイルシステムの論理ボリュームが存在するボリュームグループが、2つのハードディスクドライブで構成されている。そのため、どちらか一方のドライブが故障しただけでこのファイルシステム全体が破壊されてしまうが、そもそもLVMにはこうした問題を回避できる機能がない。
耐故障性を求めるなら、RAIDを構成する物理ボリュームでボリュームグループを構築すればよい。先ほどの例であれば、まず容量が10GBのハードディスクドライブ全体で1つのパーティションを作り、そこにRAIDボリューム用の物理領域を割り当てる。次に、20GBのハードディスクにも10GBのパーティションを2つ作り、そのうち1つをRAID用の物理領域にする。続いて、RAIDの設定に入り、両ドライブのそれぞれの10GBのRAIDパーティションでRAID1アレイを構成する。ただし、このRAIDアレイには普通のファイルシステムを割り当てるのではなく、LVMの物理領域として使うための指定を行う。LVMの設定になると、このRAIDアレイがその他の物理ボリュームと同じように表示されるが、実際には冗長化された物理ボリュームになっている。RAIDアレイを構成する物理ドライブが1台故障しても、LVMには影響がなく、データの損失も一切発生しない。当然、標準的なRAIDアレイにも限界はある。故障したハードディスクの数が許容範囲を超え、アレイのシャットダウンに至ると、LVMは正常に動作できなくなる。
インストール時におけるRAIDアレイおよびLVMの設定が済んだら、今度はサーバインストール後のこうしたアレイの管理方法について学ぶ必要があるだろう。これについては、Linux Documentation Projectによるそれぞれの解説ドキュメント(http://www.tldp.org/HOWTO/Software-RAID-HOWTO.htmlおよびhttp://www.tldp.org/HOWTO/LVM-HOWTO)の一読をお勧めする。専門的なところもあるが、ここで説明した内容を把握していれば、かなり細部まで理解できるはずだ。
