フリーソフトウェア/オープンソースに最も貢献した10人

「フリーソフトウェア/オープンソースに最も貢献した10人」(10 Individuals who have contributed the most to FOSS)という、何だかずいぶん怖い物知らずな記事をl2admin.comが書いている。そのうちカミソリ入りの手紙でも送りつけられないかと心配だ。

冗談はともかく、この10人というのがまたなかなか渋いチョイスなので紹介する気になった。選ぶにあたっては、達成したことの技術的な困難さに加え、社会に与えたインパクトの大きさも相当に考慮しているようである。

10位から6位

10位: ラスムス・ラードフ(Rasmus Lerdorf 1968-)

グリーンランド出身。1995年にPHPの最初期のバージョンを書いた人物。「プログラミングPHP」の著者の一人。その後開発チームに加わったアンディ・グートマンス(Andi Gutmans)とジーブ・スラスキ(Zeev Surasuki)が設立したのが、今のZend社である。現在はYahoo!に在籍。

PHPもなんだかんだと悪口を言われる言語ではあるが(そしてまあ言われてもしょうがないところが無くもないのではあるが)、一見ダサいものというのは往々にしてシビアな需要があるところに出現するもので、いろいろな意味で「実用的」であることを否定する人は誰もいないだろう。そういうものを作れる人が、実は一番偉いのである。

9位: ミカエル・ウィデニウス(Ulf Michael Widenius 1962-)

通称Monty。フィンランド出身。ヘルシンキ工科大中退。1996年にMySQLの最初のバージョンを書いた人物。その後もMySQLの開発を主導し、後にはMySQL AB社を設立。MySQL ABがSunに買われた後はしばらく雇われCTOをやっていたが、最近辞めてしまった(MySQLのゆくえ)。

今回ちょっと経歴を調べてみて、MySQLを書くずっと前、23歳の若さでスウェーデンでデータセンター会社(TCX DataKonsult AB)を起業していたというのに驚いた。異国での社長業の片手間に、あれを書いていたということか。できる人は時間の見つけ方がうまいのですね。

8位: ミゲル・ディ・イカーザ(Miguel de Icaza 1972-)

メキシコ出身。この人も大学中退である。GNOME(1997年開始)やMono(2001年ごろ開始)の創始者。スプレッドシートGnumericを書いたのも彼。

私が言っても何の保証にもならないだろうが、この人は掛け値なしの天才だ。コード書きもさることながら、大規模なプロジェクト運営に独特の才能がある(KDEと比較したときの初期のGNOMEのボロボロさ加減を覚えている人なら、現在ここまでなったことに驚きを隠せないはずだ)。一つのプロジェクトだけで燃え尽きる開発者が多い中、いくつもの大規模プロジェクトを成功させたという点でも希有な存在である。

フリーソフトウェアのハードコアな支持者としても知られている彼には、1997年、Microsoftに就職の面接に行って、IEをフリーソフトウェアにするよう説得したという逸話もある(もちろん、NetscapeがNavigatorをMozillaとしてオープンソース化するより前の話)。現在は(Ximianを買った)Novellの副社長を務める。

7位: マーク・イウィング(Marc Ewing)

Red HatのCTO。この人が大学でいつも赤い変な帽子をかぶっていたので、社名がレッドハットになったそうだ。知りませんでした。個人的にはRed Hatというとボブ・ヤングやクリフ・ミラーの印象が強いが、彼らは技術者ではありませんね。

6位: マーク・シャトルワース(Mark Shuttleworth 1973-)

南アフリカ出身。Thawte社のVerisignへの売却で一山当てて若くして大富豪になり、今はCanonical社の社長、Ubuntuのリーダー、最近流行りの言い方をすればSABDFL(Self-Appointed Benevolent Dictator For Life, 自ら任命した終身優しい独裁者)である。大昔はDebianの開発者の一人でもあった。私たち他のぼんくらDebian開発者にマーケティングとリリース・マネジメントの重要性を教えてくれた人物である。これからUbuntuはいろいろと大変だと思うが、がんばってください。