FSF、RIAAファイル共有訴訟で「フリーソフトウェア運動に反する」とRIAAを非難

 全米レコード協会(RIAA)による個人ユーザーを相手取った訴訟で、フリーソフトウェアを推進する非営利団体、Free Software Foundation(FSF)が、個人ユーザーを弁護する意見書を提出した。FSFでは、「RIAAの行為はフリーソフトウェア運動にとって有害」とその理由を説明している。

 RIAAに加盟するSony BMG Music Entertainmentは、「音楽ファイルを違法に共有する行為は著作権を侵害するものだ」としてボストン大学の学生Joel Tenenbaum氏を提訴、2者は著作権法違反を巡って法廷で戦っている。

 これに対しFSFは、「音楽とは直接関係ないが、RIAAの行為はフリーソフトウェアにとって脅威」として、Tenenbaum氏を支援する意見書を提出した。

 FSFの執行マネージャ、John Sullivan氏は5月14日(米国時間)、FSFのWebサイトに「なぜFSFがRIAAの訴訟に関与するのか」として、FSFの見解を示している。それによると、RIAAはこれらの訴訟を通じて著作権を物理的な資産とする方向で法の拡大を狙っており、これはフリーソフトウェアにとって脅威になると説明している。また、エンターテインメント業界がこれらの判例を下に、Digital Restrictions Management(デジタル制限管理、デジタル著作権管理のこと)などのモニタリングや制御技術を正当化するおそれがあること、共有は窃盗という概念を植えつけかねず、フリーソフトウェア運動、フリーソフトウェアそのものや技術にとって脅威になりかねない、と説明している。

 これらの理由から、この訴訟で反対意見が出されない場合、著作権法拡大につながり、これは音楽だけではなく、フリーソフトウェアにも害を与えると考えているという。

 FSFの弁護士、Ray Beckerman氏のブログによると、RIAAはFSFによる意見書提出を阻止しようとしたと報告している。

Free Software Foundation
http://www.fsf.org/